ゼロ円でできるデュアルブート
LinuxとWindowsを共存させる
1. パーティション構成の検討
OSを共存させる際には、HDDの管理方法にも留意する必要がある。HDDの「パーティション」および「ファイルシステム」という概念が、OSのインストールに大きく作用するからだ。今回共存させるWindows 98は「FAT32」、Linuxは「ext2」というファイルシステムでフォーマットされたパーティションにインストールしなければならない(一部例外もある)。たとえば、Windows 98プリインストールマシンで、HDD全体が単一のFAT32パーティションになっている場合、このままではLinuxをインストールできないということになる。
PartitionMagicなどのパーティションユーティリティを利用すれば、既存のデータを残したままパーティション構成を変更することもできる。だが、パーティションユーティリティの利用方法は本稿の目的から外れるため、今回はOSの基本機能によるHDDの初期化を前提として話を進める。ただし、これから紹介する方法では、HDDの内容が完全に消去される。必要なデータがある場合は必ずバックアップしておくこと。
OSの仕様を確認する
Windows 98とLinuxを共存させる場合、どのようなパーティション構成にしたらよいのだろうか? まずはOSの仕様を検討する必要がある。
Windows 98の仕様 |
ファイルシステムはFAT16あるいはFAT32でなければならない |
OSのブートに必要なファイルがアクティブパーティションになければならない |
Linuxの仕様 |
ファイルシステムはext2でなければならない(redhat Linuxは除く) |
アクティブパーティション以外にインストールすることもできる |
LILOを使う場合、カーネルが1023シリンダ以前になければならない |
スワップ専用パーティションが必要(TurboLinuxはなくてもインストールできる) |
ちなみに、WindowsとLinuxではパーティションの扱い方が異なる。これについては「コラム パーティションの概念」を参照してほしい。
また、データ専用のパーティションを用意しておくと、OSにトラブルが発生した際の処理が容易になる。データが別パーティションに保存されていれば、OSをインストールしたパーティションをフォーマットしなければならない事態にも容易に対応できる。データ用パーティションをWindows 98とLinux双方で利用できるファイルシステムにすれば、データを一元的に管理・共有することもできるなど、メリットは大きい。
パーティション構成例
以上の点をふまえて作成したのが、以下のようなパーティション構成である。本来ならLinux用のパーティションは「/」(ルート)や「/boot」などに細分化するのが望ましいのだが、今回はシンプルを旨として単一のパーティションとした。
下から見ると、基本パーティションはWindows 98用。アプリケーションもデータ用パーティションにインストールするなら、1〜2GB程度でもよい。また、このパーティションをアクティブにする。
その次はLinux用パーティションで、基本パーティションあるいは論理ドライブにする。以下では基本パーティションとして話を進める。さらに、Linux用のスワップ専用パーティション。搭載メモリの2倍あるいは128MB程度でよい(カーネル2.0は128MBまでしか認識できない)。そして残りをFAT32で確保し、データ用パーティションとする。FAT32であれば、Windows 98とLinuxの双方から利用できる。
もちろん、1と2のパーティションをより大きくしてもよい。ただし、LILOには1024シリンダの壁があるので、Windows 98用のパーティションは最大でも5〜6GB程度にしておく必要がある(後述するloadlin.exeを使う場合は1024シリンダの壁はない)。
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Index | |
ゼロ円でできるデュアルブート LinuxとWindowsを共存させる |
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1.パーティション構成の検討 OSの仕様を確認する パーティション構成例 コラム:パーティションの概念 |
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2.WindowsとLinuxをインストールする Windows 98の再インストール redhat Linuxのインストール そしてLILOの設定 |
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3.TurboLinuxの場合 データ用パーティションの作成 コラム:ブートストラップ |
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4.loadlinによるLinuxのブート loadinのメリットと導入 ブートするOSを選択できるようにする |
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