いま、最も勢いのあるオープンソースRDBMSといえばMySQLだ。2004年1月に公開された5.0アルファ版は、従来のMySQLとは一線を画する拡張が加えられており、エンタープライズ市場への進出を予感させる。
2004年1月12日、ストアドプロシージャ、サーバサイドカーソル機能など、エンタープライズ向け機能が強化されたMySQL 5.0のアルファ版が公開されました。
それ以前から、BitKeeper(http://www.mysql.com/doc/ja/Installing_source_tree.html)を利用すれば開発中のスナップショットが入手可能だったとはいえ、MySQL社のWebページで手軽にダウンロードできるようになった意義は大きいでしょう。また、この時期にアルファ版がリリースされたことは、MySQLの開発者でありMySQL社の創始者であるMicheal "Monty" Widenius氏とDavid Axmark氏が「MySQL 創業者来日記念講演会」で予告したとおり、正式リリースが近いことを裏付けています。
今回は、正式リリースを控えた5.0の新機能や強化ポイントを、アルファ版を通して見ていきましょう。
快速MySQLでデータベースアプリ!という連載でMySQL 3.23の利用方法を紹介していますが、連載終了後もバージョンアップは続き、トランザクションを可能にしたInnoDBテーブルタイプの採用やクエリーキャッシュ、副問い合わせなどが実現しています。そこには、「動作速度重視のため機能が少ない」というMySQLの印象を払しょくしようという意図と、重量級の機能が必須な分野への参入の意志がうかがえます。PostgreSQLと比較されることが多かったMySQLが、LAMPプラットフォーム(注)の躍進をバネに、Oracle DatabaseやMicrosoft SQL Serverが得意とする分野にも活躍の場を広げようというのです。
また、最近の同社の傾向としてSQL99などの業界標準に準拠している点が挙げられます。既存DBシステムの置き換えを考えた場合、標準仕様に準拠していないと移行作業が膨大になります。
さらに、MySQL本体だけでなくMySQL統合管理GUIであるMySQL Administrator(http://www.mysql.com/products/administrator/)の開発や公式Webサイトの日本語ドキュメント(注)の整備など、エンタープライズ市場に向けて着実に準備を進めているようです。
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