
岡田 大助
@IT編集部
2007年3月15日
■EPCglobalネットワークとは何ですか?
RFID技術の利活用シーンとして、サプライチェーンマネジメントや製品ライフサイクル管理などが挙げられます。日本では、官公庁が予算を付けて大規模な実証実験を行っているほか、先進的な企業では実運用も始まっています。
このとき、キーワードとして登場するのが「EPCglobalネットワーク」です。これは、RFIDとインターネットの技術を応用した新しいデータキャリアのシステムアーキテクチャとして期待されています。EPC(Electronic Product Code)と呼ばれるユニークなIDが付与されたRFIDタグを使って、すべてのモノの位置情報をネットワーク経由で把握することを目指しています。
EPCglobalネットワークの構成は、インターネット(WWW)の構成に非常によく似ています。それぞれの構成要素を比較してみましょう。
EPCglobalネットワーク | インターネット(WWW) | |
---|---|---|
名前解決 | ONS(ルート/ローカル) | DNS(ルート/ローカル) |
名前検索 | ディスカバリーサービス (EPC DS、検討中) |
検索エンジン |
詳細情報保管 | インフォメーションサービス (EPCIS) |
Webサーバ |
クライアント | 業務アプリケーション | Webブラウザ |
識別ID | EPC | URL(URI) |
データ形式 | XML | HTML、XHTMLなど |
ここに挙げた構成要素以外にも、EPCタグ、EPCリーダ、RFIDミドルウェアなどの仕様を標準化しているのが非営利法人であるEPCglobal Inc.です。EPCglobalの活動によって、コード体系やインターフェイスの仕様が標準化されることで、データの企業間連携がしやすくなるといわれています。EPCglobalネットワークのアーキテクチャフレームワークはWeb上で公開されています(The EPCglobal Architecture Framework、PDF)。それぞれの構成要素については後述します。
なお、EPCglobalネットワークを利用するためには、企業の本社や団体の本部が存在する国のGS-1組織で「エンドユーザー」として加入手続きをする必要があります。日本では、財団法人流通システム開発センター(EPCglobal Japan/GS-1 Japan)が窓口になっています(加入要綱、PDF)。EPCglobalに加盟すると、企業コードである「EPC Manager Number」が付与されます。すでにJANコードを持っている企業は、JANメーカコードを利用できます。
Index | |
5分で絶対に分かるEPCglobalネットワーク | |
![]() |
EPCglobalネットワークとは何ですか? |
製品を識別するEPCのコード体系とは | |
EPCの出発点、タグとリーダ | |
RFIDミドルウェアが百花繚乱なのは? | |
EPCglobalネットワークのキモとなるEPCIS | |
ネットワーク上に分散配置されたデータを探すために |
関連記事 |
5分で絶対に分かるRFID |
連載:RFIDシステム構築エンジニアへの道 |
連載:RDSC Frameworkで体験するEPCglobal |
![]() |
RFID+ICフォーラム トップページ |
- 人と地域を結ぶリレーションデザイン (2008/9/2)
無人駅に息づく独特の温かさ。IT技術を駆使して、ユーザーが中心となる無人駅の新たな形を模索する - パラメータを組み合わせるアクセス制御術 (2008/8/26)
富士通製RFIDシステムの特徴である「EdgeBase」。VBのサンプルコードでアクセス制御の一端に触れてみよう - テーブルを介したコミュニケーションデザイン (2008/7/23)
人々が集まる「場」の中心にある「テーブル」。それにRFID技術を組み込むとコミュニケーションに変化が現れる - “新電波法”でRFIDビジネスは新たなステージへ (2008/7/16)
電波法改正によりミラーサブキャリア方式の展開が柔軟になった。950MHz帯パッシブタグはRFID普及を促進できるのか
![]() |
||
|
||
![]() |
Master of IP Network 記事ランキング
- 「AI」でベンダー依存脱却へ、セブン&アイに学ぶ企業ネットワークでのAI活用
- 新衛星通信サービス「Eutelsat OneWeb」は「Starlink」と何が違うのか?
- SIM内蔵PCを3100台 静岡銀行がSASEで統合した新OA基盤、最大の特徴とは
- 貴社で「メールが届かない」問題が起こる理由――メール送信/受信の基礎知識
- 高速性や低遅延ではない、九州電力がローカル5G「実用化」で最重視した着眼点とは?
- 「Skype」2025年5月にサービス終了 Skypeユーザー向けFAQを公開 Microsoft
- AIに「イベントがあるからネットワークの対応しておいて」と依頼すると、自動でトラフィックを制御する技術 KDDIが開発
- 貴社のメール送信用IPアドレスが汚れる理由――レピュテーションを高めるウォームアップの5ステップ
- SASEの選択はどうすべきか? JFEエンジニアリングの考え方と導入効果
- オリンパス「IOWN APN」によるクラウド内視鏡システムを検証 APNは企業ネットワークで使えるか?
- SIM内蔵PCを3100台 静岡銀行がSASEで統合した新OA基盤、最大の特徴とは
- 貴社のメール送信用IPアドレスが汚れる理由――レピュテーションを高めるウォームアップの5ステップ
- 「Skype」2025年5月にサービス終了 Skypeユーザー向けFAQを公開 Microsoft
- NTT Comが新たなローカル5Gを投入 クラウド型により低コストで導入しやすく
- 「AI」でベンダー依存脱却へ、セブン&アイに学ぶ企業ネットワークでのAI活用
- 新衛星通信サービス「Eutelsat OneWeb」は「Starlink」と何が違うのか?
- 貴社で「メールが届かない」問題が起こる理由――メール送信/受信の基礎知識
- 高速性や低遅延ではない、九州電力がローカル5G「実用化」で最重視した着眼点とは?
- 「メールが届かない」事態を避けるための送信要件の確認と送信用インフラ選定の注意点
- 実は「メールが届かない」問題にはドメイン名も影響する――ドメインレピュテーションの基本とGmail送信者ガイドラインの要件