Solaris ZFSは新世代のファイルシステムだ。アプリケーションのOSとしてOpenSolarisを使わない人でもNASあるいはiSCSIストレージを簡単に構築できる。本連載では、Solaris ZFSの基本的なコンセプトやアーキテクチャから、その機能や実用・応用例を解説する
前回は、Solaris ZFS(以下、ZFS)の具体的な機能を説明しました。
今回はこのZFSを使った応用例を紹介します。
ZFSは、最近注目されている SSD(Solid State Drive)をファイルシステムのキャッシュとして扱う 「Hybrid Storage Pool」を構成することが可能です。
SSDは、従来の ハードディスクドライブ(HDD)と比べ I/O パフォーマンスに優れ、さらに低消費電力という特長を持っており、最近注目されています。
図1 Hybrid Storage Pool
ここで、Hybrid Storage Poolの用語を説明します。
ARC(Adaptive Replacement Cache)は、サーバのDRAM上にあるZFSのメモリキャッシュで、1次キャッシュとして動作します。
L2ARC(Level 2 Adaptive Replacement Cache)は、ARCのRead用拡張2次キャッシュであり、SSDを適用することでRead速度の向上を促します。
ZIL(ZFS Intent Log)は、ZFSのWriteログ領域であり、SSDを適用することでWrite速度の向上を促します。
Disk Storage Poolは、HDD群で構成されます。
図1のように、Hybrid Storage Pool は、ZFSの一時キャッシュであるサーバ上のDRAMと、プールを構成するHDD群の間に、SSDを使ったRead/Write専用キャッシュを構成することで、ストレージI/Oのボトルネックを大幅に削減することが可能になります。特に、大容量で低価格な特徴を持つSATA HDDでストレージプールを構成する場合に効果を発揮します。
もう1つの利点として、従来型のファイルシステムにSSDの適用を想定する場合、HDDと比較して高価なSSDはファイルシステム全体でなく一部分に適用することになります。そのため、SSDの物理パスや容量を考慮した面倒な設計が必要になります。
一方、ZFSのHybrid Storage Poolでは、システム管理者がSSDの存在を意識せずに、Storage Pool全体に対して高速なSSDパフォーマンスの恩恵を受けることが可能です(図2参照)。
実際に、Hybrid Storage Pool を作成するには、ZFS のプール作成時(zpool コマンド)にオプションで Read 用と Log Write 用のキャッシュデバイスをそれぞれ指定します。
# zpool create tank mirror c1t1d0 c1t2d0 cache c1t5d0 log c1t6d0
cacheオプション: Read用2次キャッシュデバイスを指定(OpenSolaris でサポート)
logオプション : Log Write用キャッシュデバイスを指定
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