インターネット上でXML文書の交換による通信が盛んになってきた。このやりとりを「なんらかの『要求』に対してその『応答』を返す一連のプロセスである」と見ると、これを「要求を受けて応答を返す」という処理機能(=サービス)を持った「1つのプログラム部品(ソフトウェア・コンポーネント)」のように考えることができる。このような、XMLベースの応答を行うサービスプログラム(サーバプログラム)を「Webサービス」と呼ぶようになった(ただし、これはある意味、狭義のWebサービスである)。
Webサービスは、当然のことながらWWW、すなわちインターネット上で使われる。インターネットの利点は、前回「UDDIって何だ?」の回で説明したように、瞬時に世界中に情報を発信したり、集めたりできることにある。Webサービスのようなプログラム部品からこの利点を考えると、瞬時に世界中のコンピュータと接続してサービスを提供できる、という点にあるだろう。
ところで、XML文書のフォーマットは、すでに何百何千と存在する。Webサービスがこれに固定的に対応していたのでは、「相手を探して動的に接続し、サービスを提供する」なんてことは技術的にも不可能に近いように思える。
そこでWebサービスには、「自己記述」ということが求められている。自己記述とは「自分が提供するサービスを説明する」ということである。サービスを説明するためには、たくさんの情報が必要だ。自分がだれなのか、どういう業種なのか、どのURLで、どういうインターフェイスで機能を提供するのか。こういった内容をXMLベースで提供する必要がある。このうち、だれなのか、どういう業種なのか、URLは、などの情報はUDDIで記述できることは前回説明した。今回説明するWSDLは、最後の、どういうインターフェイスでサービスを提供するのか、を定義するためのものである。
実は、インターフェイスを記述するためのXML文書のフォーマットやプロトコルはすでにICE、RSS、MIME、WIDL、SCL、NASSLなど多くのものが存在し、しのぎを削ってきた歴史を持っている。ここではそれぞれの解説はしないが、WSDLはその中でも、Webサービスにおけるインターフェイス記述の最新の仕様である。WSDLは、Ariba、IBM、Microsoftが共同で考案し、W3Cに提案されている(http://www.w3.org/TR/wsdl)。
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