青山学院とEMCジャパンは12月9日、青山学院がEMCのストレージ製品群を採用し、データ管理を一元化することを発表した。教育機関が教育系と事務系を統合したストレージインフラを構築するのは、国内外を問わず非常に稀(まれ)だという。
「青山学院は、今後の教育機関のあるべき姿として教育研究拠点を世界的に展開する国際的教育研究ネットワークの構築を目指しており、その基盤として、堅固で統合的なストレージインフラが必要だった」と、青山学院 常務理事の山口雅司氏は説明した。
また、幼稚園から大学院までを持つ青山学院はこの基盤を活用し、学生・生徒のID情報に、データベースで管理されるデータと非定型データ、あるいは事務系のデータと教育系のデータをともにひも付けることで、在校生や卒業生が任意に、過去の自分の成績やテスト結果、活動履歴などを閲覧できるアプリケーションを構築する。答案用紙などの紙ベースの情報をスキャンし、学生・生徒の情報として登録できるようにするプロジェクトも推進しているという。「事務系はすでにID情報とひも付けた情報管理ができていたが、教育現場で発生するデータを統合するのは新しい試み」と青山学院 特命事項担当局長 濱中正邦氏は話す。
教育機関は生涯教育の場に変化してきている。青山学院はファミリー意識が強くて卒業生の子弟が入学する例も多いため、個々の学生・生徒を顧客としてとらえ、その情報を管理して教育や交流に生かしていくことが重要と同学では話している。青山学院は12月1日、マイクロソフトとの共同プロジェクトを発表したが、その中で顧客管理システム「Microsoft Dyamics CRM」を用い、在学生や卒業生の情報を管理していくことを発表している。
今回のインフラは青山学院の神奈川・相模原キャンパスと東京・青山キャンパスにEMCのストレージ製品最上位シリーズ「Symmetrix DMX-4」を導入。事務系のデータに加え、教育系のデータやコンテンツもこれに格納する。各キャンパスではDMX-4と対になる形でNAS製品の「Celerra NS80G」を設置。Celerraはデータの長期保存用に安価なディスクドライブを搭載し、長期間アクセスされていないファイルなどを自動的にDMX-4から移行(情報ライフサイクル管理)する。
相模原キャンパスと青山キャンパスのストレージ間では、双方向でWANを介したレプリケーション(複製)を実施してデータの二重化を図り、災害に備える。両キャンパスのDMX-4上のすべてのデータがレプリケーション対象になるという。
濱中氏は、「データはどんどん増加するので、稼働を止めずにストレージを拡張できる機能が必要。だからといって、(新しいストレージを)くっつけて拡張できればいいというものではない。重要なデータを長期に保管するので、信頼性を確保しながらオンライン拡張ができなければならない。EMCは2003年から導入(事務系の一部SANストレージ)しているが、まったくトラブルは発生していない。この信頼性を評価した」とEMC採用の理由を説明した。
関東にしか拠点を持たない青山学院は、今後他地域の教育機関と連携して、相互に災害復旧拠点としての役割を果たせるよう、セキュリティを確保した上でデータを持ち合うことも考えている。
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