日本HP、中規模向けデータセンタースイッチなどを発表SANデータ暗号化も推進

» 2009年03月11日 00時00分 公開
[三木泉,@IT]

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は3月11日、ストレージ・ネットワーキングの新製品を4月上旬に出荷開始すると発表した。中規模ストレージ環境用のデータセンタースイッチ、このデータセンタースイッチに搭載できるブレード型、およびボックス型の2形態で提供されるデータ暗号化装置、そしてデータ暗号化装置用の鍵管理アプライアンスだ。データセンタースイッチとデータ暗号化装置はブロケードコミュニケーションズシステムズからOEM供給を受けている。ブロケード日本法人にとって、日本HPは昨年度における累計ポート出荷の約30%を占める関係だという。

 データセンタースイッチの新製品は「HP StorageWorks DC04 SAN Director」(630万円から)。これはブロケードが2月に発表した「Brocade DCX-4S」と同一だ。日本HPが「DC Backbone Director」の名称で販売している「Brocade DCX」に比べ、ポート数やスイッチング容量が半分になっていて、中規模以上の統合インフラに適用できる。

日本HPのストレージ・ネットワーキング製品群における新製品の位置付け

 日本HPでは「DC04 SAN Director」の用途として、特に数十台規模のサーバ統合、および既存ストレージを生かしたデータ統合を想定している。前者はサーバ仮想化技術を活用した企業データセンターへのサーバ集約。「HP StorageWorks XP」「HP StorageWorks EVA」といったストレージに仮想マシンイメージを集約し、SANブートする形態だ。後者はストレージの新規投資が困難になっている環境下で、既存ストレージを企業データセンターに集約し、複数業務、複数部門のデータを集中管理する形態。

 これらの統合ができると、2拠点間の遠隔ミラーリングによる災害対策が可能になり、統合的なデータセキュリティ管理が実現する、というシナリオを日本HPは描いている。

日本HP ストレージワークスビジネス本部 プロダクトマーケティング部 諏訪英一郎氏

 日本HP ストレージワークスビジネス本部 プロダクトマーケティング部 諏訪英一郎氏は、新製品の最大の特徴としてマルチプロトコル対応を挙げる。DC04 SAN DirectorはDC Backbone Directorと同様、8Gbps/10Gbpsのファイバチャネル、FCIP、FCルーティング、iSCSIなどに対応する。将来はFCoE(Fibre Channel over Ethernet)への対応も予定されている。

 諏訪氏は、利用プロトコルが多様化しているストレージについて、統合的な遠隔ミラーリングを行うにはマルチプロトコル対応のスイッチが不可欠と話した。また、今後FCoEを活用したSANとLANの融合が進むにしても、既存のストレージ・ネットワーキング・プロトコルとの共存が求められるとした。

HP StorageWorks Encryption SAN Switch

 データ暗号化の新製品は「HP StorageWorks Encryption SAN Switch」(1890万円から)。ボックス型の32ポートタイプと、ブレード型の16ポートタイプがある。いずれもSANでやり取りされるデータの暗号化/復号を実行する。暗号化スループットは最大96Gbpsで、諏訪氏によると競合製品の約10倍だという。テープやストレージでは、メディアあるいは製品単位で暗号化機能が提供されているケースがあるが、それぞれ異なる方式で暗号化すると情報ライフサイクル管理に適用できない。特に使用済みデバイスの廃棄時に情報漏えいを確実に防止する、あるいは廃棄証明としての法的要件に対応できない。新製品はデータ記憶媒体/装置から独立したデータ暗号化メカニズムを提供することで、コンプライアンス確保に貢献するという。新製品は、暗号化されていない既存のデータについても、いったん読み込んで暗号化できる機能を備えている。

 鍵管理アプライアンスの「HP StorageWorks Secure Key Manager」(420万円から)はHPの開発による製品で、同社のテープライブラリ製品(EML、ESL)の暗号化機能にも直接対応する。クラスタリング機能、鍵のバックアップ機能を備えている。

 諏訪氏は、FCoEでイーサネット上をLANデータとストレージデータが混在して流れるようになれば、こうした暗号化製品のニーズがさらに高まるだろうと話している。

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