TCP/IPのプロトコル構造は、ネットワーク インターフェイス層、インターネット層、トランスポート層、アプリケーション層という、4つの層から構成される。OSI参照モデルとの類似点が多く、ある程度の対応はとれるが、完全に一致しているわけではない(OSI参照モデルについては、連載第3回「OSI参照モデル」を参照のこと)。
■ネットワーク インターフェイス層
IPが、伝送システムとして利用する各種ネットワークのプロトコルが位置する層である。社内ネットワークなどでよく使われるEthernetや、電話回線を利用したダイヤルアップ接続などで使われるPPP(Point-to-Point Protocol)など、各種のプロトコルが存在する。IPアドレスと各ネットワーク固有のアドレスとの対応をとるためのARP(Address Resolution Protocol)/RARP(Reverse Address Resolution Protocol)などのプロトコルもここに位置する。OSI参照モデルの第1層「物理層」と第2層「データリンク層」に相当する層である。
■インターネット層
IPが位置する層である。下位層のネットワーク インターフェイス層のプロトコルを利用して、仮想的なパケット交換ネットワークを構築し、ホスト(ネットワークに接続しているコンピュータを「ホスト」と呼ぶ)とホストの間の通信を実現する。また、ネットワークの動作状態を診断するためのICMP(Internet Control Message Protocol)などのプロトコルもここに位置する。OSI参照モデルの第3層「ネットワーク層」に相当する層である。
■トランスポート層
IPを利用するTCPやUDPが位置する層である。プロセスとプロセスの間の通信を実現する。OSI参照モデルの第4層「トランスポート層」に相当する。
■アプリケーション層
TCPやUDPを利用するアプリケーションが位置する層である。WebサーバとWebブラウザが利用するHTTP(HyperText Transfer Protocol)や、電子メールの送受信を行うためのSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)、POP3(Post Office Protocol)、ファイルの転送のためのFTP(File Transfer Protocol)など、各種のプロトコルが位置する層である。OSI参照モデルの第5層「セッション層」と第6層「プレゼンテーション層」、第7層「アプリケーション層」に相当する層である(セッション層やプレゼンテーション層の機能が必要ならば、アプリケーション自身で対応することになる)。
今回のまとめ
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