これからインストール方法を解説していきますが、以降の作業はサーバにroot権限があることを前提としています(“#”はスーパーユーザーで実行されることを前提としたプロンプトです)。レンタルサーバを使用されている方で、root権限を持てない場合でも、契約されているディスク領域に一般ユーザーでインストールすることはできます。しかし、当然自身のユーザー権限で動かす以上リスクもつきまといます。なるべくサーバ管理者に相談し、MySQLをサービス提供してもらえるようにしましょう。
MySQL ABのホームページ
http://www.mysql.com/downloads/
MySQLは現在“3.23.29a-gamma”までリリースされています(2000年12月23日時点)。alpha、betaの段階を終わってgammaになっており、使用にはほとんど問題ありません。また、さまざまなバイナリファイルが用意されているので、makeをしなくてもすぐ導入できます。もちろんバイナリの中にはRPMファイルも用意されています。ですが、まずはソースからのインストールを見て、どのディレクトリに何が格納されるのかを知るのも、とても有意義なことです。rpmコマンドを使用される方も、以下の解説を読み飛ばさず、ぜひご一読ください。
まずMySQL ABのホームページでDownloads→MySQL 3.23を選択します。ソースファイルはSource downloads for 3.23.28-gammaの項目中のTarballで取得できます。
MySQLはrootでも起動できますが、昨今のネットワーク事情を考えると、専用ユーザーを使用した方がより安全です。そこでグループとユーザーを追加します。ユーザーホームはMySQLのデータディレクトリ/usr/local/varを指定します。
# groupadd mysql # adduser -g mysql -d /usr/local/var mysql
次に、適当なディレクトリにダウンロードしたtarファイルを展開します。
# tar xvfz mysql-3.23.28-gamma.tar.gz
展開されたディレクトリに移動しconfigureを実行します。
# cd mysql-3.23.28-gamma/ # ./configure --with-charset=ujis -with-extra-charsets=all --with-mysqld-user=mysql
configureで指定したオプションは次のような意味です。
--with-charset
デフォルトで使用される文字コードを指定します。EUCならujis、Shift-JISならsjisになります。
--with-extra-charset
デフォルトで指定された文字コード以外をサポートしたい場合の指定です。"--with-extra-charset=ujis,sjis,..."のように個別に指定できますが、ここでは“all”とします。このオプションを指定することで、makeをし直さずとも、異なる文字コードでサーバを起動することができます。
--with-mysqld-user
MySQLデーモンを起動するユーザーの指定で、例では先ほど作成したユーザー“mysql”にしています。
うまくいったら、
# make # make install
を実行します。
make install で、/usr/local/ディレクトリ下にプログラムやファイルが以下のようにインストールされます。
ディレクトリ | 保存されるファイル |
---|---|
/usr/local/libexec/mysqld | MySQLサーバ |
/usr/local/bin/ | コマンド類 |
/usr/local/lib/mysql/ | ライブラリ |
/usr/local/include/mysql/ | includeファイル |
/usr/local/var/ | データベース保存先 |
次にデータベースを初期化し、その後データディレクトリのオーナーを先ほど作成したmysqlユーザーに修正します。
# /usr/local/bin/scripts/mysql_install_db --user=mysql # chown -R mysql /usr/local/var # chgrp -R mysql /usr/local/var
これで、起動の準備が整いました。下記のようにして起動します。
# /usr/local/bin/safe_mysqld --user=mysql &
再起動のたびにこのコマンドを手打ちするのも大変なので、/etc/rc.d/rc.localにこの1行を追加するか、rcスクリプト(起動スクリプト)を用意します。展開されたソースの中(support-files)にrcスクリプトのひな型(mysql.server)がありますので、そちらを使用します。mysql.serverをrc.mysqlなどの適当な名前に変更します。
# cd support-files # mv mysql.server rc.mysql # chmod +x rc.mysql
で実行可能にし、/etc/rc.d/init.dにファイルを移動します。
# mv rc.mysql /etc/rc.d/init.d/
ただし、このままではマシンを再起動しても有効に働きません。/etc/rc.d/rc2.d/にリンクを張っておきましょう。
# cd /etc/rc.d/rc2.d/ # ln -s ../init.d/rc.mysql S90mysql
このrcスクリプトを使うことで、起動時のオプションを/etc/my.cnfファイルに記述する形で指定できます。support-filesディレクトリにはさまざまな場合に応じたcnfファイルが用意されています。huge→large→medium→smallの順で規模を選べますが、大きなデータベースに合わせたcnfファイルは、当然ながら大容量のメモリを積んでいることを前提としています。
適当なcnfファイルを選び、/etc/my.cnfにコピーします。
# cp my-XXX.cnf /etc/my.cnf
とりあえず、MySQLを動かしたいという人は/usr/local/bin/safe_mysqld --user=mysql &で十分です。後々データベースを最適に動作するように調整したい場合、接続クライアント数をデフォルトから増やしたい場合などには、「/etc/my.cnfファイルを書き換えることで対処できる」ということを覚えておいてください。
「ソースファイルからのインストールは面倒だ!」「アンインストールも簡単にしたい!」といったことは、rpmコマンドを備えたLinuxディストリビューションを使う人には当然のことです。
MySQL ABのホームページ(http://www.mysql.com/downloads/)でDownloads→MySQL 3.23→Standard binary RPMsを選択することでRPMファイルを取得できますが、筆者が試した限りでは、TurboLinux Workstation 6やRed Hat Linux 6.0Jでは/usr/bin/perlのファイル名の問題でインストールが完了しません。
そこで、MySQL ABにおかれているSRPMファイルから--default-charset=ujisを有効にして作成したRPMファイルを以下のURLに用意しました。
ダウンロードページ
注:2000年12月18日時点の最新版3.23.38-gammaを使用しています。
ではインストールです。
# rpm -ivh MySQL-3.23.28-1.i386.rpm # rpm -ivh MySQL-client-3.23.28-1.i386.rpm # rpm -ivh MySQL-bench-3.23.28-1.i386.rpm # rpm -ivh MySQL-devel-3.23.28-1.i386.rpm # rpm -ivh MySQL-shared-3.23.28-1.i386.rpm
MySQLの日本代理店であるソフトエージェンシーのサイトには、さまざまなプラットフォームに合わせたバイナリファイルがおかれています。
新バージョンリリース後も比較的早く、新しいパッケージが提供されます。また、Debian、Solaris、Cobalt Qube2用なども用意されていますので、一度のぞいてみてください。
次にインストールしたMySQLがちゃんと稼働しているか確認してみましょう。ここでは、UNIXのshellを使った管理に慣れるため、簡単なコマンドを実行してみましょう。
まず、デフォルトでどんなテーブルが存在しているのか確認してみましょう。
# /usr/local/bin/mysqlshow
と入力して(rpmでインストールした場合は# /usr/bin/mysqlshowになります)、
+-----------+ | Databases | +-----------+ | mysql | | test | +-----------+
と返ってくれば成功です。ちなみに上記のデータベースのtestはテスト用で、ベンチマークの測定などに用いられます。必要なければ削除しても構いません。mysqlはMySQLデーモンが使用する設定テーブルです。MySQLはデータベースに接続するユーザーやホストの管理といった特権情報も自身のデータベースを用いています。データベースにアクセスするユーザーおよびホストの追加、削除、更新を行いたいときは、このデータベースに対してINSERTしたり、UPDATE、DELETEなどのSQL文を実行します。PostgreSQLのcreateuserに慣れ親しんだ人には、少し違和感があるかもしれませんね。
まずはインストールまでできました。初めにお話ししたように、今後はWeb+MySQLをさまざまなインターフェイスを通して構築していく過程を説明していきます。次回は管理コマンドなど、shellで使えるコマンドを説明した後、いよいよアプリケーションの作成に取りかかります。まずは「CGIといったらPerl」といわれるほどメジャーになったPerlで作ってみましょう。さらに、今後
を予定しています。また、「こんなことをやってほしい」「MySQLの*について知りたい」などのご要望があれば、積極的に記事で取り上げていきたいと思います。ぜひ皆さんのご意見/ご希望をLinux Square掲示板にお寄せください。
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