Oracleの表領域の管理ORACLE MASTER Silver DBAポイント解説(4)

» 2004年11月12日 00時00分 公開
[小野寺智子@IT]

これまで連載してきた「ORACLE MASTER Goldポイント解説」では第4回までは「PL/SQL」を解説し、第5回以降にDBAの解説を行っている。しかし、2003年10月の資格制度の変更に合わせ、連載タイトルを「新ORALCE MASTER Silver DBAポイント解説」に変更する。そのため、本連載は「ORACLE MASTER Goldポイント解説」で紹介した内容を確認したうえでお読みいただきたい。


 DBAの内容も表領域の管理について解説も、ちょうど半ばに差しかかってきました。ここから先は論理的な内容になります。若干ですが、ほかの回と比べて出題される問題が多い部分です。今回は表領域だけを集中的に解説いたします。表領域の構成をしっかり押さえれば、試験でも応用が効くはずです。

表領域の構成

 Oracleのデータベースには、データ・ファイル、制御ファイル、REDOログ・ファイルの3つのファイルが存在することは前回までに紹介しました。いままで紹介してきたファイルの構成は、OS側からみた物理的な構成です。物理的な構成と対応しながらOracle側からみた構成が論理的な構成です。Oracleでは、データベースに格納されているすべてのデータに対して、「データブロック」「エクステント」「セグメント」といった単位で「表領域」を構成しています。このように、単位ごとに区切って領域を構成することによって、管理者がきめ細かい管理をすることができるのです。

 では、表領域の構成を具体的に図で紹介します。

図1 表領域の構成 図1 表領域の構成

 表領域には表や索引といったオブジェクトを格納します。そして、表や索引に使用可能な領域を割り当てます。

表領域の分類

 表領域は大きく分けると2つに分類できます。

  • SYSTEM表領域
  • 非SYSTEM表領域

 SYSTEM表領域はデータベース作成時に作成され、すべてのデータベースで必要な表領域です。SYSTEM表領域にはデータ・ディクショナリとストアド・プログラム・ユニットが含まれます。データ・ディクショナリが含まれるということは、表が作成されたり、削除されるといったことが発生すると、データ・ディクショナリに情報を書き込むため、頻繁にI/Oが発生します。SYSTEM表領域にユーザーデータを含むことは可能ですが、パフォーマンスの面からみても、SYSTEM表領域にはユーザーデータを格納しないようにしてください(実際は、パフォーマンスだけが原因ではありません。しかし、ほかの原因については各カテゴリにまたがるため、ここでは解説を割愛します)。

 もう1つの表領域、非SYSTEM表領域は、データベース作成後に作成します。非SYSTEM表領域はDBAが任意で作成します。ユーザーデータはこの非SYSTEM表領域に格納されます。

表領域の領域管理

 表領域は次の方法によって管理されています。

  • ローカル管理
  • ディクショナリ管理

 ローカル管理表領域はOracle 8iからの機能で、データ・ファイルのヘッダ部分のビットマップにて管理をする方法です。ビット値で使用可能のエクステントを管理します。ローカル管理の利点は、以下のとおりです。

  • エクステントの情報を自分自身で管理するため、データ・ディクショナリへのI/Oが発生しない。
  • 隣接している空きエクステントを自動的に追跡し結合する。
  • ビットマップへの変更では、データ・ディクショナリが更新されない。よって、UNDOデータが発生しない。ただし、表領域のクォータの変更があった場合などは除く。
図2 ローカル管理の仕組み。ローカル管理では、各表領域ごとに空き領域を管理している 図2 ローカル管理の仕組み。ローカル管理では、各表領域ごとに空き領域を管理している

 ディクショナリ管理は、エクステントの管理をデータ・ディクショナリで行います。表領域内の各セグメントに、異なるパラメータを指定できます。また、ディクショナリ管理では、表領域のエクステントのサイズを変更することができます。変更後は、新しく作成されたオブジェクトに対して適用されます。ローカル管理では、エクステントの変更はできません。SYSTEM表領域はデータ・ディクショナリ管理で管理されています。

図3 ディクショナリ管理の仕組み。ディクショナリ管理はデータディクショナリで各表領域の空き領域を管理している 図3 ディクショナリ管理の仕組み。ディクショナリ管理はデータディクショナリで各表領域の空き領域を管理している

表領域の種類

 非SYSTEM表領域は、使用目的によって任意に作成することができます。ユーザーデータを格納する表領域のほかに以下の表領域があります。

  • UNDO表領域
     Oracle 8iまでは、ロールバック・セグメントといわれていました。この表領域の目的はトランザクションが発生し、変更する前のデータを格納するために存在します。UNDO表領域により、読み取り一貫性の実現やロールバックが発生した場合に変更前のデータを戻すことができます。UNDO表領域の詳しい管理方法については次回、紹介する予定です。

  Oracle 8iまでは、ロールバック・セグメントといわれていました。この表領域の目的はトランザクションが発生し、変更する前のデータを格納するために存在します。UNDO表領域により、読み取り一貫性の実現やロールバックが発生した場合に変更前のデータを戻すことができます。UNDO表領域の詳しい管理方法については次回、紹介する予定です。

  • 一時表領域
     ソート作業が発生すると、OracleはPGAのソート領域を使用してソートを行いますが、PGAだけでは処理しきれない場合は、この表領域を使用してソート作業を行います。ソート作業により、I/Oが多く発生するため一番断片化の多い表領域でもあります。

  ソート作業が発生すると、OracleはPGAのソート領域を使用してソートを行いますが、PGAだけでは処理しきれない場合は、この表領域を使用してソート作業を行います。ソート作業により、I/Oが多く発生するため一番断片化の多い表領域でもあります。

表領域の操作

 表領域は、必要に応じてオンライン・オフラインにすることができます。DBAが任意に作成した表領域はオフラインにして、メンテナンスを行うことができます。ただし、以下の表領域は常にオンラインにする必要があります。

  • SYSTEM表領域
  • アクティブなUNDOセグメントがある表領域
  • 一時表領域

 表領域をオンライン/オフラインにする構文は以下のとおりです。

ALTER TABLESPACE data1 ONLINE;
表領域のオンライン
ALTER TABLESPACE data1 OFFLINE;
表領域のオフライン

 表領域の削除には注意が必要です。構文は以下のとおりです。

DROP TABLESPACE data1
INCLUDING CONTENTS;
表領域の削除

 上記の構文だけでは、表領域のセグメントがすべて削除されたという情報だけがデータ・ディクショナリに送られます。ですから、対応するOSファイルまでは削除されません。以下のオプションを使用すると、対応するOSファイルまで削除します。

DROP TABLESPACE data1
INCLUDING CONTENTS AND DATAFILES;

 ほかにも、制約によって参照関係がある表領域を削除する場合は、以下のオプションを使用します(図4も参照のこと)。

DROP TABLESPACE data1
INCLUDING CONTENTS CASACADE CONSTRAINTS;
図4 削除する表領域が制約によって参照されている場合。表領域data1を削除したいが、表領域data2に存在する表から制約によって参照されている。表領域data1を削除すると表領域data2に存在する表が表領域data1に存在する表を参照できなくなるため、表領域data2に参照されている表から参照関係の制約のみを削除する 図4 削除する表領域が制約によって参照されている場合。表領域data1を削除したいが、表領域data2に存在する表から制約によって参照されている。表領域data1を削除すると表領域data2に存在する表が表領域data1に存在する表を参照できなくなるため、表領域data2に参照されている表から参照関係の制約のみを削除する

 表を削除するときもそうですが、削除したい表がほかの表から参照されていると、参照関係が崩れてしまうので、参照している方の制約を削除するというオプションがあります。

表領域のサイズ変更

 表領域は必要に応じて、表領域のサイズを変更することができます。領域不足によってトラブルが発生することは多くあります。表領域のサイズを変更する方法は以下のとおりです。

ALTER DATABASE DATAFILE
‘/HOME/ORADATA/u03/data01.dbf’
AUTOEXTEND ON NEXT 10M MAXSIZE 500M;
データ・ファイルの自動拡張
ALTER DATABASE DATAFILE
‘/HOME/ORADATA/u03/data01.dbf’
RESIZE 200M;
データ・ファイルを手動でサイズを変更する
ALTER TABLESPACE data1
ADD DATAFILE ‘/HOME/ORADATA/u03/data01.dbf’
SIZE 200M;
データ・ファイルの追加

データ・ファイルの移動

 SYSTEM表領域と非SYSTEM表領域の違いを理解したうえで、データ・ファイルの移動を紹介します。データ・ファイルの移動方法は次の2種類です。

●ALTER TABLESPACE文を使用して移動

 ALTER TABLE SPACE文を使用して移動する場合の手順は以下のとおりです。

(1)移動する表領域をオフラインにする。

ALTER TABLESPACE data1 OFFLINE;

(2)OSコマンドを利用してファイルを移動またはコピーする。

(3)移動先を指定する。

ALTER TABLESPACE data1
RENAME DATAFILE '/HOME/ORADADTA/u05/data01.dfb';

(4)表領域をオンラインにする。

ALTER TABLESPACE data1 ONLINE;

(5)必要に応じてOSコマンドを使用して元ファイルを削除する。

●ALTER DATABASE文を使用して移動

ALTER DATABASE文を使用して移動する場合の手順は、次のとおりです。

(1)インスタンスを停止する。

SHUTDOWN IMMEDIATE;

(2)OSコマンドを利用してファイルを移動する。

(3)データベースをマウントする。

STARTUP MOUNT;

(4)移動先を指定する。

ALTER DATABAS
RENAME FILE 'HOME/ORACLEDATA/u01/system01.dbf'
TO '/HOME/ORADATA/u03/system01.dbf';

 この2つの違いは、SYSTEM表領域を移動するのか、非SYSTEM表領域を移動するのかという違いです。手順と構文もSYSTEM表領域か非SYSTEM表領域かで、それぞれ移動する手順が異なります。この手順はとても重要なので、構文と手順をしっかり押さえてください。

 なぜ、同じ表領域なのにSYSTEM表領域と非SYSTEM表領域では構文も手順も違うのでしょうか。それは、表領域をオフラインにできるかできないかという事がポイントです。SYSTEM表領域にはデータ・ディクショナリが存在しています。データベースがオープンしている間は、常にSYSTEM表領域にあるデータ・ディクショナリにアクセスしています。そのような状態で表領域の移動を行うということは、とても危険です。ですから、SYSTEM表領域は、オフラインにできません。1度、データベースをシャットダウンしてから作業を行います。

 非SYSTEM表領域は、データ・ディクショナリのように頻繁にアクセスする事はありません。よって、表領域をオフラインにできます。ですから、データベースをシャットダウンしなくとも、データ・ファイルを移動することができます。

OMFでの表領域の作成

 OMFを使用して表領域を作成する場合は、以下のパラメータを使用します。

やり方は、REDOログ・ファイルや制御ファイルの回でも紹介した方法と同じです。

  • OMFのパラメータ→ db_create_file_dest

表領域の情報を取得する

 表領域のさまざまな情報を取得する場合は、以下のデータ・ディクショナリ、動的パフォーマンス・ビューを使用します。

取得したい情報 データ・ディクショナリ 動的パフォーマンス・ビュー
表領域の情報 DBA_TABLESPACES V$TABLESPACE
データ・ファイルの情報 DBA_DATA_FILES V$DATAFILE
一時ファイルの情報 DBA_TEMP_FILES V$TEMPFILE

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