ご縁がなかったということで退職活動やってはいけないこんなこと(4)(2/2 ページ)

» 2006年02月16日 00時00分 公開
[山口孝之アデコ]
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そして逆転勝利

 私が藤山さんと会ったのは、藤山さんがこのように転職に失敗し、離職した状態で活動をリスタートしたときでした。

 今度は人材紹介会社経由で希望する仕事へチャレンジしたいとのことでした。私は藤山さんが希望する数件の大手SI企業のプロジェクトマネージャ職へ推薦状を送りました。

 すでに退職している点を問題にされ、書類選考で落とされた会社もありましたが、おおむね転職活動は順調に進みました。やはり藤山さんは非常に優秀なITエンジニアなのです。

 複数の会社から面接のオファーが届いたところで、私は彼にアドバイスをしました。「希望年収は○○○万円ですが、基本的には御社規定に沿いたく思っております」。希望条件を聞かれたらこう答えるようにと伝えたのです。

 私は彼の面接が終わるたびに企業に連絡をし、こういうのです。「いかがですか、藤山さんの印象は。彼は非常に優秀なITエンジニアで、ほかの多くの企業からも面接のオファーが入っているのです。採用したいとお考えでしたら、年収面で彼の希望を下回るようですと厳しいでしょう」

 藤山さんは数回の面接を経て、2社から内定を獲得しました。それも以前に内定を取り消されたときより高い年収額でのオファーだったのです。彼は2通の採用内定通知を見比べて良い意味で悩み、決断しサインしました。

逆転勝利の原因は

 今度こそ内定を勝ち取った藤山さん。勝因は何だったのでしょう。

1.駆け引きをしなかったこと

 1つの勝因は、条件面について本人が駆け引きをしなかったことです。希望年収の主張は、本人がするよりも第三者がする方がうまくいくものです。自分の希望を伝えつつも会社規定に沿いますといったことで、企業は藤山さんに謙虚な印象を持ったことでしょう。かつ、藤山さんを採用するには相応の金額を提示しなければならないことを認識したのです。

2.転職活動をすぐにリスタートしたこと

 もう1つの勝因は、内定取り消しというめったにない悲劇を経験したのに、すぐに気持ちを切り替えて転職活動を再開したことでしょう。再開が遅れればブランクができます。企業はブランクのある人材を嫌い、その理由を突いてきます。もし藤山さんが内定を取り消された悲しみに打ちひしがれ、転職活動の再開に時間がかかっていたら、ここまでうまく再就職できたかどうか分かりません。

金銭面の交渉は、第三者が行った方がうまくいく

 内定取り消しなんて、めったに起こることではありません。しかしながら人生において何度もしない転職活動。自分の希望条件を主張しながら、相手に好意を持たれたままスムーズに交渉を進めることは、重要であると同時に至難の業です。

 仮にうまくいったとしても、あまり主張しすぎたのでは入社してからが大変です。金額的な主張が強い人間とのレッテルを貼られると、会社内の人間関係に悪影響を及ぼすことも考えられます。

 そんなときには、ぜひとも人材紹介会社をご利用ください。転職希望者の要望を適切なタイミングと表現で求人企業側に伝えることができます。

著者紹介

山口孝之

アデコ

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千葉県出身。大学卒業後、建設会社にて人事、経理などの管理業務を経験。その後ITエンジニアに特化したスカウト型の人材紹介会社に転職し、キャリアアドバイザー業に従事する。その後アデコに参画。キャリアアドバイザーとしては一貫してIT業界を担当。ギャップのない転職を支援するための情報収集能力、転職者側と採用企業側の両方の目線で行うカウンセリングには定評があるという。



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