律子さんの会社には一応Webサイトがあるのですが、ほとんど更新されることもなく、いったい誰が更新しているのかすら分からないほど存在感がありません。律子さんもまめにOSやサーバをアップデートしたりはしているのですが、ページ自体についてはあまり考えたこともありません。
ある日のこと、急に社長が思い立ったのか、会議の席で「わが社のホームページもナウでヤングなものにして、世間の注目を集めたいのだ」といい出したらしく、サイトをリニューアルすることになったようです。
そして会議に出ていた部長から呼び出されます。
部長 「律子君、君も聞いていると思うがホームページをリニューアルしようかということになったんだよ」
律子 「そんなうわさは聞きましたが」
律子さんもこれ以上仕事を増やしたくないので素っ気なく答えます。
部長 「そこで毎日どれくらい人が来てるのか知りたいのだけど、分かるか? いまの時点で大人気だったならリニューアルの必要もないしな」
律子 「いや、数えたこともないですけど」
部長 「じゃあ、数えてくれないか」
律子 「えっ、私がですか」
部長 「管理してるんだから当たり前じゃないか」
部長 「あと、社長に説明しなきゃいけないから、グラフとかで分かりやすくな」
律子 「は、はい……」
もう律子さんは投げやりです。
部長 「あと、説明するのも任せたから。明日の1時から、時間空けといてね」
律子 「えーっ!?」
そういうと、部長はスタスタと消えてしまいました。
さて、どうしよう。ログをエクセルか何かで集計して、グラフを書いたり統計情報を計算したりなんてことをすればいいのかもしれませんが、それをやることを考えると死んでしまいそうです。
今回だけなら乗り切れそうですが、これから毎回ログをコピペして、並べ替えて、数を数えて、そんなことを考えただけで気が遠くなりそうです。コンビニに電話代を払いに行くついでに出奔してしまおうかしら、そんなネガティブな考えが律子さんの頭の中をよぎり始めました。
とにかく身近なところにいる博君に聞いてみることにします。博君は休みの日はネットを1日中徘徊しているというので、きっとWebサーバにも詳しいに違いありません。と無理に前向きに考えて聞いてみましたが、案の定博君はログのことには興味がないそうでちっとも分かりません。
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