まずは、タグが検索に及ぼす影響から見ていきましょう。インターネットの情報検索の3つの方法から、情報検索に「タグ」はどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
●情報管理・検索の王道「ディレクトリ型」
ディレクトリ型は従来から行われていた、情報を収集し、カテゴリ別に分類し、管理・検索できるタイプです。カテゴリ別に階層構造を持ち、「Webディレクトリ」とも呼ばれています。いろいろと説明するよりも、「Yahoo!のカテゴリ検索」(http://dir.yahoo.co.jp/)といった方が想像しやすいでしょう。
例えば、「@IT」をYahoo!のディレクトリ検索で調べていくと、「トップページ」→「コンピュータとインターネット」→「イベント」(この構造を「階層(ツリー)構造」といいます)の場所で発見できます。あいまいな単語やキーワードしか分からなくても、ユーザーが検索できるのが「ディレクトリ型」の利点です。
しかし、探したいカテゴリがなかったり、お目当てのWebサイトが登録されていなければ、どうしようもありません。また、ディレクトリ型は、情報の位置を固定化させるため、カテゴリを横断するような検索も苦手です。
ローカルパソコンで、データをフォルダごとに保存するのはこのタイプです。
●何も考えずに情報管理・検索できる「サーチ型」
サーチ型の検索エンジンは、インターネット上のWebページをプログラム(ロボット)が巡回し、掲載されているページのデータをどんどん記録していきます。検索時にロボットが記録したデータを参照に全文検索が可能で、ディレクトリ型と違い、幅広いWebページを対象に情報検索ができます。
しかし検索キーワードを絞り込まないと、多くのページがヒットし過ぎて、逆に探し出したいページにたどり着けないといった問題や、ロボットの精度や種類によって検索結果に揺らぎが出てきたりする弱点もあります。
ローカルパソコンでの「ファイル検索」や「デスクトップ検索」でデータを管理するのはこの方法です。
●Web 2.0時代の情報・管理検索タイプ「タグ型」
ディレクトリ、ロボット型の情報管理・検索は一長一短です。タグ型は、最近脚光を浴びている情報管理方法がキーとなる単語を「タグ」として、データに付けるタイプです。ディレクトリ型と違い、複数の情報をジャンルや要素ごとに集合させたり、逆に1つのデータを多面的に扱ったりすることができます。
例えば、自分が飼っているペットの写真を発表するWebサイトを作成したとします。このサイトをディレクトリ型検索サービスに登録します。基本的に分類登録は1度きりの場合が多いので、「トップ > 自然科学と技術 > 生物学 > 動物学 > 動物、生き物の種類」のフォルダに登録するか、「トップ > 芸術と人文 > 視覚芸術、ビジュアルアート > 写真」のフォルダのどちらに登録するか悩むはずです。
もし「写真」で登録した場合、「動物」のカテゴリから検索してくるユーザーには自分のサイトがヒットしない可能性が高いのですし、「動物」で登録した場合は「写真」から来るユーザーには見つかりません。
そこで、登場するのが「タグ」です。自分のサイトのアップルのMacintoshに関するコンテンツに「音楽」「Mac」「Web2.0」といったキーワードとなる「タグ」を設定しておけば、「音楽」「Mac」「Web2.0」で検索されても自分のページがヒットしてくれるはずです。
確かに、タグは便利なようですね。思想や実際のサービスを紹介します。
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