ここでも公式の仕様の中の用語集から説明します。
●End User
実際にConsumerに対して自分のIdentityを認証しようとするユーザーのことです。
●Identifier
IdentifierはURLのことです。OpenID authentication protocolのすべてのフローはEnd Userが所有するURLを認証することに関するものです。
●Claimed Identifier
End Userが自分で所有していると主張するIdentifierのことで、Consumerによってまだ確認されていないIdentifierです。
●Verified Identifier
Consumerに対して、End Userが所有していると認められたIdentifierのことです。
●Consumer
End Userが所有するClaimed Identifierの認証を、IdPに対して要求するWebサービスのことです。
●Identity Provider
IdP(Identify Provider)やServerとも呼ばれます。ConsumerがEnd Userが所有するClaimed Identifierの暗号化された証明に対してコンタクトを取る相手がIdentify Provider(以下、IdP)です。どのようにしてEnd Userが自分を認証するIdPに対して自分のIdentityを証明するかはOpenID Authenticationの範囲外です【注3】。
【注3】
OpenIDの仕様上、誰でもConsumerやIdPになれるという点から、特にConsumerはどのIdPを信用したらよいかという問題が残ります。
これに関しては現行仕様の中では触れていませんし、現時点で有効な解決策も見つかっていません。詳しく知りたい方はopenid-jaグループの以下のスレッドを参照してください。
How to authorize the identity providers in OpenIDhttp://groups.google.co.jp/group/openid-ja/browse_thread/thread/24237e403a7ef82a?hl=ja
●User-Agent
End Userが所有するWebブラウザのことです。特別なプラグインやJavaScriptの実行環境は必要ありません。
この用語集に出てくる言葉はいわばOpenIDにおける登場人物のようなものです。仕様書の訳なので若干難しいですが、下記のようなシナリオを描くと理解しやすいと思います。
Consumerが提供するWebサービスはOpenID Authenticationに対応しています。
いまこのWebサービスを利用したいと考えるEnd Userがいて、そのEnd UserはOpenID Authentication protocolをサポートしたIdPによって認証されるIdentifierを所有しています。
End UserはConsumerに確認されていないClaimed IdentifierをConsumerに提示することにより、ConsumerはIdPと連携し、End UserのUser-Agent経由で認証を行い、Verified Identifierとします。
さて、ここで一度まとめておきましょう。
これらから分かるように、OpenIDは個人のアイデンティティをURLとして表現し、分散型の認証方式を提供するオープンな認証システムだといえます。
次回はこれらを押さえたうえで、実際にどのような手続きによってClaimed IdentifierがVerified Identifierとなるのかを紹介します。
山口 徹(やまぐち とおる)
サイボウズ・ラボ株式会社のプログラマー。
バーテンダーからIT業界に転身後、様々なWeb制作を行い、大規模コミュニティサイトの開発・運用を経て、現在は研究開発の日々。Perl使い。
Perlを中心とした開発のノウハウやネタをShibuya Perl Mongersのイベント等で発表するなど講演活動も行う。
個人の開発日記は「Yet Another Hackadelic」、仕事のブログは「log4ZIGOROu」
●修正履歴
【2007/7/9】
初出時に「Authentication(認証)」と「Authorize(認可)」について、訳語・用法が不適切な部分がございました。本用語について全体的に見直しを行い、修正・加筆いたしました。
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