次期サーバOSであるWindows Server 2008の連載開始。初回はWindows Server 2003の概要と仮想実行環境について解説。
「Windows Server 2008の基礎知識」は、2008年に出荷が予定されている、Windows Server 2003の後継OSである、Windows Server 2008の注目機能について解説するコーナーです。
2007年春、マイクロソフトは、Windows Server “Longhorn”というコードネームで呼ばれていた次期Server OSの正式名称を「Windows Server 2008」であると発表した。これとほぼ同じタイミングで、Webや雑誌を通じてベータ3を一般に広く配布し、顧客やパートナー、そしてエンジニアの方々とともに製品出荷に向けたラストスパートが始まった。Windows Server 2008の正式な製品出荷の時期はまだ確定していないが、現在のところ、2008年第1四半期にRTM出荷予定とされている。
Windows Server 2008に関する情報、およびベータ版の入手に関しては、以下のページを参照していただきたい(2007年9月現在、ベータ3が公開されている)。
すでにベータ3やCommunity Technology Preview(*1)を入手して、Windows Server 2008を評価したというユーザーもいらっしゃるだろう。しかし、これから次期サーバOSに触れてみようというユーザーも多いと思う。そこで本稿では、新機能や強化された機能を中心に紹介しながら、Windows Server 2008の概要を全3回に渡って解説する。その後、Windows Server 2008の各機能について、回を改めて詳細に解説していく予定である。
*1 ベータほど大掛かりではないが、いくつか修正を加えつつ限定的に公開されるテスト・ビルド。
エバンジェリスト(*2)である私は、イベントやセミナーで話をするために、1年以上前のまだ動作が不安定なころから、Windows Server 2008(当時はコードネーム「Windows Server “Longhorn”」と呼ばれていた)と付き合ってきた。この段階ではまだ、会社としてのマーケティング・メッセージは決まっていなかったので、Windows Server 2008の特徴を独自に考える必要があった。少々悩むところもあったが、私は以下の3つの大きなカテゴリに分けて説明することにした。
*2 マイクロソフトの新技術などを各種イベントやセミナー、記事執筆などを通じてエンジニアに紹介することを業務とする役職。
いままでのサーバOSであれば、新機能一覧をベースとして、その価値を説明することが多かった。それは、ITインフラを成熟させていくうえで、サーバOSに求められる新機能を生み出すことが優先され、ユーザー側もそれを望んでいたからだと考えている。しかし、実際にWindowsを利用するエンジニアと話をしていると、既存機能の改善の重要性を身にしみて感じることもあった。恐らく、Windows Serverの成熟度を高めるには、市場が必要としている新しい機能の提供と、実際に利用するエンジニアにとって意味のある既存機能の改善をバランスよく行っていくべきなのだろう。
個人的に今回のWindows Server 2008は、この新機能追加と既存機能改善が、非常にバランスよく実施されたサーバOSであると思う。仕事柄、社外のエンジニアの方たちと話す機会が少なくない。この際、ベータ版をご評価いただいた多くの方々から好意的なご意見を多数頂戴した。これまで、新サーバOSの発売を何回か経験したが、今回のWindows Server 2008は、それらの中でもベータ版に対するエンジニアの前評判が高いと感じる。
それでは、Windows Server 2008の魅力はどこにあるのか。前述した3つのカテゴリに従って説明を進めていこう。すでに述べたとおり、これらは、エンジニアを対象としてWindows Server 2008を紹介するために、筆者が独自に考えたものであり、製品販売を目的とするマーケティング上のポイントではない。エンジニアにとっては、こちらの方がより理解しやすいと自負している。
記事ボリュームの関係から、Windows Server 2008の概要について、カテゴリごとに回を分け、全3回で解説する。第1回である今回は、セキュリティやファイル・システム、サーバ・コア、仮想などといったWindows Server 2008のベース・システムについて解説する。
Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.