ここでいうスケジュールとは、それぞれのアクティビティに対して、予定開始日と予定終了日を入れる作業になります。そのベースとして、これまでに作成した「スケジュール・ネットワーク図」「アクティビティ資源に対する要求事項」「アクティビティ所要期間見積もり」を使用します。また、スケジュールの作成に当たり、「クリティカル・パス法」「スケジュール短縮技法」「資源の平準化」「クリティカル・チェーン法」などのツールや技法が使用されます。
クリティカル・パス法では、アクティビティに対する資源の制限がないものと見なし、すべてのアクティビティの最早開始日、最早終了日、最遅開始日、最遅終了日を分析します。これにより、プロジェクト全体の予定終了日を求めることができます。この予定終了日は当初のプロジェクト完了日よりも早くなることも遅くなることもあります。この後、「スケジュール短縮技法」「資源の平準化」などを用いて、現実的なスケジュールを作成していきます。
作成されたプロジェクトのスケジュールは、ガントチャートやマイルストーンチャートという形で表現されます。
プロジェクト・スケジュールに関連して、「クリティカル・パス」という言葉をよく耳にします。これを機にクリティカル・パスを理解しましょう。
まず、簡単にクリティカル・パスを説明すると、「そのアクティビティの作業が遅れると、プロジェクト全体のスケジュールが遅れてしまうアクティビティの連なり」となります。では、簡単な例を使用して具体的に考えてみましょう。
いま、A〜Eのアクティビティがあり、順序関係は図1-1のように定義されています。
まず、フォワード・パス計算により、各アクティビティの最早開始日、最早終了日を求めます(図1-2)。
次に、バックワード・パス計算により、各アクティビティの最遅開始日、最遅終了日を求めます(図1-3)。
各アクティビティにおいて最遅開始日と最早開始日の差(これをフロートいいます)を求め、フロートが0であるアクティビティをつなげてクリティカル・パスを求めます(図1-4)。
今回の例では、クリティカル・パスがB-C-Eの経路であることが分かります。
すでに、前回の記事「プロジェクト全体の成否を左右する、スコープ」をご覧になった方は、ぜひスコープ・コントロールプロセスを思い出してください。スケジュール・コントロールプロセスの役割は、スコープ・コントロールと同じです。このプロセスでは、プロジェクト・スケジュールの現在の状況を把握し、プロジェクトのスケジュールを変更する要因に働き掛けを行い、是正処置を提案します。また、変更が必要な場合には、統合変更管理プロセスによる承認を得た後に、スケジュール・ベースラインの変更を行います。スケジュール・ベースラインとは、プロジェクト・スケジュールそのものですので、統合変更管理プロセスの承認内容に基づいて、プロジェクト・スケジュールを変更すると考えればよいと思います。
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