先にもお話ししましたが、Linuxの操作の基本はコマンドの実行です。インストールした後に起動される画面はGUIで、使い勝手もWindowsとそれほど変わらないように見えます。ユーザーレベルで使うならば基本的にGUIの操作のみである程度のことはできるようになっています。それではなぜコマンド操作が必要になるのでしょうか?
いろいろ理由はありますが、管理者という側面で考えると基本的に管理するサーバはリモート操作を行うことが多いはずです。つまり遠隔操作が基本になるのですが、遠隔操作で提供されるUIの基本はCUIです。このため自身のクライアント環境がGUIでもサーバを操作する機能のUIがCUIであるため、コマンドの操作が必要とされます。それに、必ずしも機能がGUIで用意されているとは限りません。CUIでしか用意されないものもありますので、GUIの操作しかできないのでは、まだLinuxを操作できているとはいえないでしょう。また、GUIの実行はある程度のハードウェアスペックも要求されますし、リソースも多く消費されます。極力余計なリソース消費は避けたいものです。そのため、あまりGUIを利用せず、コマンドの実行が基本であると考えられます。
ということで何事も勉強です。まずはコマンド実行から学んでいきましょう。コマンド入力はシェルといわれるソフトウェアを利用して実行します。アプリケーションは端末(ターミナル)という形で提供されていますので、アプリケーションメニューのシステムツールから端末を実行します。この中でシェルが実行されコマンドの処理を行ってくれるようになっています。
コマンドの入力はシェル上のプロンプトから行います。プロンプトはコマンド入力の待ち受け状態を表します。このプロンプトが出ていない状態はコマンドが実行され、その処理が行われていることを表します。
[user@hi ~]$ ←プロンプト(入力待ち受け状態)
コマンドの利用はプロンプトからコマンド名を入力し、Enterキーを押すことで実行します。コマンドには基本となるフォーマットがあり、そのフォーマットに従う形でコマンドの入力を行います。基本フォーマットは以下のようになります。
コマンド名 [オプション...] [引数(パラメータ) ...]
オプションは、指定することによってコマンドの動作に変化を与えたり、コマンド自体の機能を変化させるものもあります。引数はそのコマンドを実行する対象となります。引数の指定はする場合としない場合がありますが、どういった引数を指定するかはコマンドに依存します。例えば以上のフォーマットに従って、lsコマンドにオプションを指定する際には以下のようになります。
[user@hi ~]$ ls -l .bashrc
上記は、「ls」というコマンドにオプション「-l」を指定し、引数に「.bashrc」を与えています。これは.bashrcというファイル情報の表示を詳細に行うことを意味します。
このような考え方がコマンド実行の基本となります。あとは実行するコマンドを覚えていけばコマンド実行の基礎はクリアということになります。Linuxで利用するコマンドは無数にありますが、それをすべて覚える必要はもちろんありません。基本的には最低限のコマンドと目的とする内容やアプリケーションに応じて利用するコマンドを覚えておけば問題ないでしょう。ただ少なくとも以下のコマンドは最低限暗記して実行できなければ、基本操作に支障が出るでしょう。
コマンド名 | 機能 |
---|---|
ls | ファイル、ディレクトリの表示 |
cd | カレントディレクトリの変更 |
pwd | カレントディレクトリの表示 |
touch | 本来の機能はファイルのタイムスタンプの変更だが、指定したファイル名がない場合にはファイルの新規作成となる |
mkdir | ディレクトリの作成 |
cp | ファイル、ディレクトリのコピー |
mv | ファイル、ディレクトリの移動、リネーム |
rm | ファイル、ディレクトリの削除 |
rmdir | ディレクトリの削除 |
more | ファイルを1画面ずつ表示する |
cat | ファイルを連結して出力 |
shutdown | システムの再起動、停止などの指定 |
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.