NTTデータは5月9日、2008年3月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比294億円増の1兆744億円、連結子会社の増収が要因だった。営業利益は56億円増の959億円、当期純利益は201億円減の304億円だった。受注高は1兆122億円で、初めて1兆円を超えた。金融機関の大規模システムにおける受注拡大で増加した。
純利益が減少したのは、受注損失が要因の1つだ。中期経営方針に「開発プロセスの変革」を掲げ、原価率の低減に取り組んでいるものの、要件定義がしっかりと定まらず、開発工程で手戻りが発生したことが原因。同社は、数年前からシステム開発の契約を2段階に分けるフェージング契約を始めている。同社 取締役執行委員 塩塚直人氏はフェージング契約の効果について「短期間では難しい。また、業界全体の問題として考えなければならない」と述べた。
同社 代表取締役社長 山下徹氏は、社長になって約1年。この1年間についてこう振り返る。「1番ほっとしたのは出向政策(転籍)の問題だった」。同社は、「グループ会社への出向政策の見直し」を課題とし、約2000人をグループ会社へ転籍させる出向政策を4月1日に実施した。「出向政策は過去5年以上引きずってきた問題。ようやく形になった。(定年前に退職する)転進支援も他社の例とは違うが、組合からの要望に基づいて実施できた。多くの社員の理解を得られ、1年を通じて非常に大きな出来事だったと思う」と出向政策について安堵を交えた感想を述べた。
山下氏に続けて、代表取締役常務執行役員 榎本隆氏は「出向政策はリストラではなく構造改革」と説明。「転籍対象の98%の社員が理解をしてくれたことに感謝している」と述べた。
2009年3月期業績の見通しは、売上高1兆1200億円、営業利益1050億円、当期純利益540億円、受注高1兆円。
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