図2はVMware Infrastructure 3の全体的な構成である。
VMware ESXはそれぞれの物理マシン上にインストールして利用する。内蔵ディスクにインストールすることも、Boot from SAN(つまりSANに接続されたストレージ装置からブートする)構成にすることも可能である。一般的には内蔵ディスクにインストールする方が作業が簡単になるため、ESX自体はサーバの内蔵ディスクに入れているというユーザーが比較的多い。
VMware VirtualCenterはWindows上のサービスアプリケーションであり、VMware ESXと通信してインフラ全体の管理を行う。管理用ネットワークを介してVMware ESXと通信を行い、各種制御を行っている。
VI Clientはグラフィカルユーザーインターフェイスを提供するコンポーネントである。管理ネットワークを介してVirtualCenterと通信を行い、管理者はVI ClientからVMware Infrastructure 3全体に対する各種操作を行うことができる。なお、VirtualCenterを導入していない環境ではVI Clientから直接VMware ESXに接続して操作を行うことも可能である。VI ClientはWindows上で動作するアプリケーションという形で提供されている。
ストレージはVMware Infrastructure 3環境における非常に重要なコンポーネントの1つである。もちろんVMware ESXが動作する物理マシンの内蔵ディスクに仮想マシンのデータを格納することも可能であるが、ネットワーク化された共有型ストレージを配備することで、VMware Infrastructure 3ならではのさまざまな機能が利用可能となる。
共有ストレージ装置との接続方式として利用可能なのは、ファイバチャネルSAN、iSCSI SAN、そしてNFS(NFS version 3 over TCP)の3種類である。iSCSIについてはハードウェアイニシエータ、ソフトウェアイニシエータ(VMware ESXに内蔵)の両方をサポートしている。
共有ストレージ装置の中に仮想マシンのデータを格納することができる。このとき、その仮想マシンの起動ディスクのデータも含めて、丸ごと共有ストレージ装置側に「外出しできる」という点に注目していただきたい。つまりVMware ESXが稼働する物理マシンの内蔵ディスクには仮想マシンのデータを一切格納せず、すべてをストレージアレイ装置側に格納してしまうような設計ができるということである。
これはさまざまなメリットを生み出す。VMotion、DRS、HAといったVMware Infrastructure 3の機能(これらについては後述する)が利用可能になることに加え、ストレージの統合、ストレージ資源の利用率の向上を実現し、ストレージアレイ装置の充実した監視・管理機構による適切なデータ保護を実現することができる。VMware Infrastructure 3の導入を検討されている方は、ぜひ共有型ストレージアレイ装置の利用を積極的に検討していただきたい。
各仮想マシンは、このように適切に集約・管理されたサーバ群、ストレージ群の上で動作することになる。この図では細かいネットワーク系統については記述していないが、当然のことながら多数の仮想マシンを運用するに当たって複数のネットワーク系統を適切に使い分けなければならない場面が出てくる。
例えば、サービスを提供するネットワークが複数系統ある場合もあるだろうし、ほかにDMZやバックアップ用ネットワークなど、用途に応じて独立したネットワークを配備するのが通常だろう。VMware Infrastructure 3でも当然そのような設計に対応することができる。各仮想マシンは適切なネットワーク系統に割り当てられ、完全に透過的に外部のネットワークとのやりとりを行うことが可能である。
第2回の今回は、VMware ESXそのものについて、VMkernel、サービスコンソール、仮想マシンそれぞれの位置付けを説明した。またVMware Infrastructure 3の全体像について紹介し、同時にVMware Infrastructure 3環境におけるストレージアレイ装置の位置付けや重要性などについて解説した。
次回は、VMware VMotion、VMware DRS、VMware HAなどの、VMware Infrastructure 3環境ならではの機能について紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.