待望の標準仮想化機能「Hyper-V」が登場。今回はHyper-Vの特徴と必要システム要件、インストール方法などの概要をまとめる。
Windows Server 2008の目玉機能として話題になりながら正式リリースが待たれていたサーバ仮想化技術の「Hyper-V」であるが、2008年7月、ついにRTM版(正式リリース版)が提供された。OSの正式リリースから約4カ月遅れでのリリースとなったが、「Windows Sever 2008の製品出荷後180日以内に提供」という当初の公約を大幅に短縮したことからも、マイクロソフトの力の入れようを感じる。
それではなぜ、Windows Server 2008にHyper-Vが標準で組み込まれるようになったのだろうか? 昨今、プロセッサやチップセット・メモリなどのハードウェア技術は格段に進歩しているため、1台の物理サーバ上で1つのアプリケーションを動作させるだけでは、サーバ・リソースを使い切れないことが多い。では、リソースを有効活用するためには、1台の物理サーバ上に複数の異なるアプリケーションを動作させればよいかというと、アプリケーション同士の干渉(相性)の問題や、障害時の切り分けが複雑になる(ベンダのサポートが受けにくくなる)といった問題があり、簡単には実現できない。
そこで、サーバ自体を仮想化し、1台の物理サーバ上に複数の仮想マシンを作成、その仮想マシン上でそれぞれアプリケーションを動作させる「サーバ仮想化」技術が一般的になってきた。当初、既存サーバの老朽化に伴うハードウェア交換の際に、既存サーバを仮想マシンに変換して物理サーバに集約化するという目的が多かったが、いまでは「Green IT化」をスローガンにした省エネ目的や、運用管理面での効率化といった目的での導入も増えており、もはや新規にサーバを購入する際には必ず議論される技術になってきている。
マイクロソフトは、以前よりVirtual PCやVirtual Serverといったサーバの仮想化を実現する製品を提供してきたが、エンタープライズ環境におけるインフラになっているとまではいい難く、一般的にはテスト・評価用として使用されているイメージが強かった(もちろん、エンタープライズ領域において、VMwareが技術面や製品シェアで先行しているという業界動向も関係している)。そこで、Windows OSの「標準の機能」としてHyper-Vをリリースすることで、導入コストを抑え、セットアップを簡素化し、「サーバ仮想化」技術を導入しやすくした。また、ホストOSからゲストOSまでをマイクロソフトの製品で固めることによるワンストップ・サポートによる安心感も強調することで、サーバ仮想化技術のコモディティ化を進めていく狙いがあると思われる。
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