コンサルティング・インテグレーション統括本部 ビジネスオペレーション本部 蛭町明彦氏は、多くの育休経験者を部下に持つマネージャであると同時に、共働きの妻との間に4人の子どもを持つ育児経験者として登場。それらの経験から、子育てしながらの仕事のコツを披露した。
蛭町氏が実践した工夫とは以下の3つだ。
1.ある程度はお金で解決する
子どもを迎えに行く時間を短縮するため、移動にタクシーを使うなど、可能ならある程度はお金で解決する。ずっとお金が掛かり続けるわけではない。本当に大変なのは最初の半年〜1年。
2.リスクへの備えをしておく
例えば保育園で子どもが熱を出し、急きょ迎えに行くこともある。父母のどちらかが仕事を中断せざるを得なくなったとき、一部は次の日にまわす、一部は上司に戻す、同僚に依頼するなど、コンティンジェンシープラン(危機管理計画)を出せるよう、普段から仕事を整理しておく。
3.周囲とのコミュニケーションを緊密に
上司/部下/同僚とのコミュニケーションを取っておく。突発的な事項が起こっても、普段からそれに備えていることが伝わっていれば、周囲の協力が得られやすい。
蛭町氏は、育児の当事者に「プロ意識をしっかりと持ってほしい」と呼び掛ける。産休・育休を取っても、スキルを発揮してアウトプットを出し、顧客からお金をもらうプロであることに変わりはないと説明し、「会社の支援は重要だが、本人のキャリアへの強い志向が必要」だとした。「キャリアへの強い志向を持ち続ければ、できることはいくらでもある。その姿を周囲に見せれば支援は得られる。私の実感です」(蛭町氏)
とはいえ、子育てしながらの仕事に不安は付き物だ。蛭町氏は「子どもが保育園に慣れない、よく病気になるなどで大変なのは最初の半年〜1年。3つの工夫で乗り切ってほしい」とする。さらに「時間に制約がある人は、非常に生産性が高い。タイムマネジメント、セルフマネジメントができている。だから育児は決してハンディではない。将来のためにもいい経験になる」とエールを送った。
育休の当事者として登場したのが、コンサルティング・インテグレーション統括本部 技術本部 川粼由佳理氏。現在1歳10カ月の子どもがおり、11月に第2子を出産予定だ。
初めて育休を利用したときには、やはり不安があった。
「仕事を継続したいが、周囲はそうは思わないかも」
「プロジェクトリーダーを打診され、ぜひ引き受けたいが、体調次第で迷惑を掛けるかも」
「管理者にとって、こういう社員は使いにくいだろう」
これに対処するため、
「自分の状況、今後の予想を早め早めに伝える」
「できることとできないこと、したい仕事をきちんと伝える」
「常に仕事の終わりの時間を意識する」
「明日休むことになるかもしれないという意識を持ち、周囲との情報共有に努める」
などの工夫を行っているという。
その立場から、今後育休を取る社員に向けて具体的にアドバイスした。「子育てにまったく縁がない同僚がどう感じるかを意識しておく」「やりたい仕事は思い切って『任せてほしい』ということが大切」「上司は、『任せては悪いかな』と思うのではなく、背中を押してあげてほしい」(川粼氏)
イベントでは、本記事で紹介した経験者の講演のほか、人事部門による産休・育休制度の詳細な説明、経験者を交えたセッションが行われた。
セッションでは、
などさまざまな内容が話し合われた。
今回の「産休・育休に関する説明会・交流会」は、2007年9月、2008年3月に続き3回目。育児関連制度の利用が思うように進まなかったため、社員の理解促進のために企画されたものだ。前回までの実施が功を奏し、特に男性社員の育休取得件数が大幅に伸びている。今年度(2008年度)は11人が取得したという(前年までは毎年数人ほど)。今回は男性社員30人、女性社員30人の計60人が参加した。
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