本連載では、シスコシステムズ(以下シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNA(Cisco Certified Network Associate)を解説します。2007年12月に改訂された新試験(640-802J)に対応しています。
今回は、Telnetを使用したリモートデバイスの情報収集について解説します。
前回紹介したCDP(Cisco Discovery Protocol)は、インターフェイスで直接接続されたほかのCiscoデバイスを検出して、それらの情報を収集することができます。今回紹介するTelnetを使用すると、直接接続されていないデバイスにリモートでログオンし、情報収集や設定などを行うことができます。TelnetはTCP/IPアプリケーションのため、セッション(コネクション)を確立します。
通常、ルータやスイッチといったネットワークデバイスやサーバなどは、鍵のかかったサーバルームのような場所に配置されます。Telnetを使用すれば、管理者がオフィスの自分の席にいながら、サーバルーム内のルータやスイッチの操作が行えます。
Telnetでリモートデバイスへ接続するには、ユーザーモードか特権モードでtelnetコマンドを使用します。図1ではRouterAからRouterBにTelnet接続しています。
telnetコマンドの引数には、あて先ホストのIPアドレスを指定します。Passwordプロンプトが表示されたら、RouterBであらかじめ設定したVTYパスワードを入力します。セキュリティ上、入力したパスワードは画面に表示されません。
Telnet接続が成功すると、プロンプトがリモートデバイスのホスト名に変更されます。
RouterA#telnet 10.1.1.2 Trying 10.1.1.2 ... Open User Access Verification Password: RouterB> |
なお、Telnet接続を受けるリモートデバイス(RouterB)側では、line vtyに対してログイン用のパスワードを設定しておく必要があります。
以下はログインパスワードの設定手順です。VTYパスワードをciscoに設定しています。
RouterB#configure terminal |
また、リモートデバイス側では特権モードのパスワードも設定する必要があります。
Telnet接続の方法について正しく記述しているものを2つ選択しなさい。
a.Router(config)#telnet 10.1.1.2
b.Router>telnet 10.1.1.2
c.Router(config-if)#telnet 10.1.1.2
d.Router#telnet 10.1.1.2
b、d
telnetコマンドは、ユーザーモードか特権モードで実行できます。telnetコマンドの引数にはあて先ホストのIPアドレスを指定します。選択肢aと選択肢cはモードが違いますので不正解です。
リモートデバイスへのTelnetセッションを中断し、いったんローカルデバイスに戻ることができます。ローカルデバイスとは、telnetコマンドを実行したデバイスのことです。
図2ではRouterAは、RouterBとRouterCに同時にTelnet接続をしています。リモートデバイスにログオン中、Ctrlキー、Shiftキー、数字の6のキーを同時に押し、その後xキーを押すとTelnetセッションを中断し、ローカルデバイスに戻ることができます。
ローカルデバイス側でshow sessionsコマンドを実行すると、ローカルデバイスが確立しているTelnetセッションを確認できます。Connにはセッション番号、Addressにはあて先デバイスのIPアドレスが表示されます。直前まで確立していたセッションには、アスタリスク(*)が表示されています。
RouterC#<Ctrl - Shift - 6> x RouterA#show sessions Conn Host Address Byte Idle Conn Name 1 10.1.1.2 10.1.1.2 0 0 10.1.1.2 *2 10.2.2.2 10.2.2.2 0 0 10.2.2.2 |
この状態で、Telnetセッションを再開するにはresumeコマンドを使用します。resumeコマンドには、show sessionsで確認したセッション番号を指定します。
10.1.1.2のIPアドレスを持つリモートデバイス(RouterB)とのTelnetセッションを再開したい場合、resume 1と指定します。[Resuming connection 1 to 10.1.1.2 ……]メッセージの後にEnterキーを押すと、RouterBとのTelnetセッションを再開できます。
RouterC#<Ctrl - Shift - 6> x RouterA#show sessions Conn Host Address Byte Idle ConnName 1 10.1.1.2 10.1.1.2 0 0 10.1.1.2 *2 10.2.2.2 10.2.2.2 0 0 10.2.2.2 RouterA#resume 1 [Resuming connection 1 to 10.1.1.2 ... ] RouterB# |
Telnetセッションを中断するコマンドを選択しなさい。
a.Router#exit
b.Ctrlキー、Altキー、6キーを同時に押した後に、xキーを押す
c.Ctrlキー、Shiftキー、6キーを同時に押した後に、xキーを押す
d.Router#resume
c
Telnetセッションを中断するコマンドは、Ctrlキー、Shiftキー、6キーを同時に押した後にxキーを押すのが正しいので、正解は選択肢cです。選択肢aは、リモートデバイス上でTelnetセッションを終了するコマンドなので誤りです。選択肢dは、中断したTelnetセッションを再開するコマンドなので誤りです。
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