実機ではたいへんだが、仮想PCなら思いきったテストができる。極限状態もあえて作り、OSの挙動を学んでしまおう。
Windowsのシステム管理について学習したり、Windows OSの持つ新機能を評価したりする場合、実際にハードウェア(PC)を新たに用意してOSをインストールし、その上で実験をすることが多いだろう。しかし、ログを見るなどの簡単な操作なら問題ないだろうが、実際に稼働中のシステムを使って設定を変更したり、コンポーネントを追加/削除したり、再起動したりするのは容易ではない。こうしたテストは、ときにはシステムの破壊を招くこともあり、最悪の場合、一から環境を再構築しなければならなくなってしまうからだ。
新しいソフトウェアなどが出るたびにこのような方法で評価していたのでは、環境を切り替えるのも大変だし、時間もかかる。複数の環境を同時に使いたくなったら、いずれかの環境を削除して、新しくインストールし直す必要があるなど、非常に面倒である。
このようなケースでは、実際のコンピュータではなく、仮想PCを使って実験したり、OSの操作方法を学習したりするとよい。仮想PCなら、OSやアプリケーションのインストールが手軽に簡単に行えるし、設定変更や再起動も自由である。少々「無茶な」操作を行っても、実際のシステムにダメージを与えることは(ほとんど)ないし、環境の切り替えや操作ミスからの復旧、システムのバックアップ、リストアなども非常に高速である。システムの操作方法や新機能の学習、ソフトウェアの評価などにとって、これほど便利な環境はないだろう。
仮想PCを稼働させるためには、仮想マシンのためにいくらかメモリやディスク、そして少々のCPUパワーが必要となるが、昨今の高性能なコンピュータ・システムならば何の問題もない。
本連載ではこの仮想PC環境を活用して、Windows OSのシステム管理を学ぶことにする。基本的なシステム管理の方法について解説するほか、仮想PC環境を利用して例えばActive Directoryを構築し、複数ドメイン環境での操作を学んだり、さらにはクラスタ環境を構築したり、さまざまなサーバ・ソフトウェアを導入して、その機能や操作方法について取り上げてみたい。また仮想PC環境であることを最大限に活用し、通常は行わないような極端な操作をやってみるとか(ディスクを限界まで増設する、ディスク・フル時の挙動を調べるなど)、過負荷を与えた環境やリソースが逼迫している環境での挙動の調査、めったに目にすることのないブルー・スクリーン画面を出してカーネル・デバッガで追ってみるなど、仮想環境ならではのことをやってみようと思う。
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