共有フォルダの例では、手動でMSCSの提供するサービスを設定したが、MSCSをサポートしているEnterprise Server製品ではウィザードなどでMSCSを構成する手助けをしてくれる。
■Microsoft SQL Server
データベース・システムはフェイルオーバー・クラスタで最も広く利用されているアプリケーションだろう。SQL Serverは古くからMSCSをサポートしている。現在利用されていると思われるSQL Server 2005/2008では、フェイルオーバー・クラスタ上でインストールを実行すると、ウィザード形式で必要な情報を入力するだけで、いくつものリソースを手動で作成しなくてもSQL Serverのフェイルオーバー・クラスタによる可用性を提供可能となっている。
■Oracle Fail Safe
SQL Serverと同じく代表的なデータベース製品であるOracleもOracle Fail Safeという製品としてMSCSのサポートを行っている。Oracle Fail Safeでは、Oracle Fail Safe Managerをクラスタで管理するための専用のツールが用意されており、Oracleに適したリソース管理が可能となっている。
MSCSに対応していないアプリケーションであっても、汎用アプリケーション、汎用サービス、汎用スクリプト(これらをここでは汎用リソースと呼ぶ)を利用することで、MSCS上で独自のアプリケーションなどを動作させることが可能だ。また、HKEY_LOCAL_MACHINE以下に限定されるが、固有のレジストリ情報をほかのノードへ複製することもできる。
ただし、汎用リソースでは、障害の検知の仕組みには制限がある。汎用リソースでは、専用のリソースDLLがないため、アプリケーションやサービス固有の障害検知の仕組みを提供できない。つまり、アプリケーションの障害そのものは検出できない。何らかの理由、例えばプロセスが停止するなどでアプリケーションが応答しなくなった場合のみ、クラスタ・ サービスがアプリケーションを再起動するか、フェイルオーバーするアクションを実施する。
■汎用サービスの作成手順
汎用サービスの作成手順を簡単に紹介する。今回はTelnetサービスをMSCS上で動作させてみる。
6. 「レジストリ レプリケーション」では何も指定しない。これで汎用サービスの作成が完了となる。
汎用サービスを構成する場合の注意点として、各ノードの該当サービス、今回の例の場合はTelnetサービスの[スタートアップの種類]を[手動]または[自動]の設定に変更しておく必要がある。サービスの起動ができない状態では、汎用リソースをオンラインにした途端に障害となる。
動作確認としては、サービスの管理やNET STOPコマンドでサービスを停止したり、タスクマネージャからプロセスを強制終了させたりすると、フェイルオーバーすることが確認できる。
参考までに汎用リソースに限ったことではないが、MSCSで実行するアプリケーションの選定に役立つ情報として下記のサイトを参照するとよいだろう。
Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.