ZFSはどう活用できるかSolaris ZFS集中講座(3)(3/3 ページ)

» 2009年05月28日 00時00分 公開
[山田尚之サン・マイクロシステムズ株式会社]
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3. ニアラインストレージとしての活用

 ZFSは、ニアラインストレージの用途にも適しています。

 ニアラインストレージとは、OLTP系の本番システムで使用されている高パフォーマンスと高信頼性を要求されるストレージと、テープドライブのようなバックアップメディアの中間に位置するストレージです。

 ニアラインストレージは、通常、大容量のストレージ領域を必要とするので、バイト単価の安いストレージが求められます。ZFSは、ソフトウェアRAIDでありながら高信頼の設計がされていますので、高価なRAIDコントローラ付きのストレージシステムでなく、SATA HDDを搭載したJBODストレージによる安価で大容量のシステムを構築可能です。

 実際、ZFSのストレージプールは、1ファイルシステムで2の64乗(事実上無制限)バイトのサイズを管理できますので、大容量のデータを扱うシステムでもパーティションの管理から解放され、ファイルシステムの制限を気にせず運用できますし、もし物理容量が足りなくなった場合でもオンラインでディスクの追加が可能です。

 この特徴を生かす具体的なシステムとして、メールアーカイブの保存先、画像ファイルやEDAデータの保存先、データウェアハウスの格納庫などがあり、まさにニアラインストレージとしての用途に適しています。

 上記のような大容量のデータを扱うシステムでは、データのバックアップやデータレプリケーションの運用が問題になる場合があります。ZFSでは、前回紹介したsend/recvコマンドを利用して単なるバックアップや筐体間レプリケーションが行えるだけでなく、差分管理ができるので、余計なバックアップ時間やデータトラフィックを増やすことはありません。

 ZFSによるデータレプリケーションの運用時は、スナップショットを使ってデータの静止点を取ることが必要になります。その為、レプリケーション間のリアルタイム同期処理はできませんが、1日数回の同期を行う運用で要件を満たす場合であれば、簡易ディザスタリカバリもZFSの標準機能で構築可能です。

4. 今後注目される機能

 いままでのファイルシステムの常識を打ち破る画期的なファイルシステムであるZFSは、開発されてからさまざまな機能が追加されてきました。今後注目される追加機能として、ファイルシステムの暗号化(Encryption)と重複排除(de-duplication) があります。

 現在、OpenSolarisのZFS Communityで意見交換されており、暗号化機能は、正式なプロジェクトとして開発が行われています。

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