連載
» 2009年09月15日 00時00分 公開

社内情報管理のためのCMS−Wiki/ブログ/Twitter独断と偏見のCMS比較(2)(3/3 ページ)

[清水亮,株式会社ユビキタスエンターテインメント]
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最も有名な元祖ブログエンジン「MovableType」

 主にPerlで開発された元祖ブログエンジンです。有料版と無料版があります。最も有名なブログエンジンの1つで、世界中にユーザーが存在します。MovableTypeによるブログ構築をテーマとした解説書も豊富で、カスタマイズ性にも優れたエンジンです。また、MovableTypeはNiftyのココログなど、さまざまな商用ブログサービスで採用された実績もあります。

 プラグインもたくさん用意されていて、Web上にはMovableType用のスキン(デザインテーマ)が多数アップされています。トラックバックやコメント機能などにも対応し、迷惑コメントやトラックバックスパムフィルタなども多数開発されています。

 また、1人のユーザーが複数のブログを編集することが可能で、個人ブログと部署ブログを別々のブログとしても管理できるようになっています。この機能は社内ブログ用と考えると、なかなか便利です。

 良いこと尽くしのようですが、最も古いエンジンの1つでもあり、インストールや初期設定はお世辞にも簡単とはいえません。そのため、インストールやカスタマイズを専門に請け負う業者が存在するくらいです。コンピュータに詳しい人が自分で管理するサーバにインストールするときに向いています。

 また、MovableTypeを提供しているシックスアパートは「TypePad」というサービスを提供していて、こちらは個人だと1000円前後、ビジネス用は25200円〜(年間)で自前のブログを持つことができます。ただ、社内ブログとして使うには社外からアクセスできては問題があるので、TypePadを使うわけにはいかないでしょう。そうすると、社内に専門のIT担当者が居ることが必須となります。

 MovableTypeには「MovebleType Enterprise」という、社内ブログ向けの製品が存在しています。これは、LDAPやOracleをサポートした本格的なもので、大組織での社内ブログ運用を実現するために必要と思われることをすべて盛り込んだ高機能版です。

 これを利用すると、ユーザーをグループごとに分けたり、グループごとにブログへの投稿権限やシステム管理権限を設定できます。ただし、価格は100万円以上と、かなり高額なため、小規模な組織が導入するには躊躇する金額です。

「再構築」を必要とせす手軽に導入できる「WordPress」

 WordPressは、PHPで開発されたオープンソースのブログエンジンで、MovableTypeより比較的新しく、画面も美しくて使いやすいので急速に人気が出てきました。

 設置には、MySQLというオープンソースのデータベースを必要とするため、この設定も必要になりますが、PHPとMySQLという非常にポピュラーかつ簡単な仕組みを利用するため、インストールは比較的容易です。

 MovableTypeの場合、サイトのデザインを修正した場合などに「再構築」という非常に時間のかかる処理が必要で、時々これはひどくストレスになります。現行版では動的生成も可能です(ダイナミックパブリッシング)。

 WordPressの場合、「再構築」を必要としない動的生成方式を採用しているので、ブログ数がそれほど多くない場合は、常に快適に使えます。ただし、WordPressはより簡易的なものとして設計されたため、MovableTypeに比べていくつかの点で劣る場合があります。

 例えば、1人のユーザーが複数のブログを持つことは標準ではサポートされておらず、「WordPress MU」という派生バージョンを利用する必要があります。また、デザインテンプレートの仕様がMovableTypeほど細かく定められておらず、デザインを変えるとページの論理構造が崩れてしまうことがあります。

 しかし、導入の手軽さから、WordPressは世界中で支持者を増やしています。

小規模な企業向けのサッパリ構成「Nucleus CMS」

 Nucleus CMSは、WordPressと同じくPHPとMySQLで動作するブログエンジンです。構成としては、非常にシンプルな設計となっていて、多くのブログエンジンでは標準で搭載されているトラックバックなどの機能さえもプラグインとして導入するというサッパリさが特徴です。

 ほかにも際立った特徴としては、WordPressでは派生バージョンのみのサポートとなっている複数ユーザーによる複数ブログの更新などをサポートしていることが挙げられます。

 管理画面も非常にシンプルなので、逆に最初はあまりに機能が少なくて戸惑う場合もありますが、慣れてくると、かえって機能が少ないおかげで迷わず使えます。また、管理画面の随所にポップアップヘルプが配置されており、解説書などに頼らずとも自然に機能の使い方が理解できるのは優れた点といえます。

 有料版は存在しないので、無料版ならではの機能制限などは一切なく、寄付のみによって開発が継続されています。その意味では、複数ブログ/複数ユーザー管理が必要な小規模な企業が採用するブログエンジンとしてはNucleusは理想的といえます。

 PHPベースなので導入は比較的簡単ですが、管理画面はお世辞にも美しいとはいえず、その辺りが非常に残念なところです。

つぶやき 〜 さまつな情報でも全員に伝えられるCMS

 「社内つぶやき」は、前述の社内ブログよりもより抵抗感の少ないソリューションとして選択肢の1つに挙げられます。Twitterのようなマイクロブログは短い発言が気軽にできるという特徴があるので、ブログのように長い文章を書く手間もモチベーションも必要としません。社内つぶやきは率直なアイデアを出し合うような社内ブレストや企画会議などの用途に向いています。

 また、こうしたコミュニケーションを社内で行うと、上から下まで全社的にコミュニケーションできる、誰がいま何をしているのか分かる、さまつな情報でも全員に伝えられる、というメリットがあります。

 しかし、あまりにも多人数になると、情報が多すぎて分かりにくくなるので、タグ付けやカテゴリ分類が使える仕組みがあるものを使った方がいいかもしれません。

 プロジェクトごと、部署ごとの「つぶやき」をストリームとして記録しておくことで、なにか問題にぶち当たったとき、過去に同じ問題に遭遇した人が居ないか瞬時に検索できます。

社内つぶやき用のツール

 社内つぶやきとして利用できそうな無料のマイクロブロギングツールとしては「status.net(旧、Laconica)」「しゃべる」などがあります。

 また手前味噌ですが、UEIでは独自に開発したマイクロブログエンジンを提供しており、これを利用すると、単なるつぶやきの管理だけではなく、スケジュールとの連動やケータイからGPS、画像投稿、Twitterとの連携などを比較的簡単に実装できます。また、このエンジンを利用して実際に「イマチュー!」というマイクロブロギングサービスも提供しています。

 社内つぶやき(社内マイクロブログ)はまだまだこれから伸びていく分野だと考えています。実際、UEIでも「Ubitter(ユビッター)」という名前の社内マイクロブログを実験運用しています。

まずは、Twitterから

 いきなりマイクロブログエンジンを会社に導入しようとすると、手間も経費も掛かりますから、まずはTwitterなどのオープンサービスを利用してみることをお勧めします。社員の何人かがTwitterを使ってお互いをフォローし合うだけで、かなり便利に使えることに気が付くと思います。

 もちろん、Twitterそのものではオープンな情報しか書き込めませんから、取引先の情報や営業上重要な情報を書き込むわけにはいきませんが、「いま、赤坂に居ます」などの場所の情報や「今日も残業だ」などのような情報を見ることで、普段なかなか目に見えない同僚の動きを簡単に把握できます。

社内ブログを導入する際に必ず使いたいプラグイン

 社内CMS用のシステムには、さまざまな種類がありますが、社内ブログを管理することを考えたときに便利なプラグインがあると俄然、利用効率が上がります。

RSS出力プラグイン

 これは標準で搭載されていることも多いのですが、RSS出力をするようにしておくと、前述したWikiなどとの連携がしやすくなり、社内でRSSリーダーを導入したりした場合にも便利です。各ブログから吐き出されるRSSだけでなく、すべてのRSSを統合したRSSを吐き出せるようなプラグインを使うと、登録するRSSが1つだけにまとまって便利です。

ケータイ投稿プラグイン

 ケータイからの投稿を受け付けるプラグインもあります。ただし、これはセキュリティ上のリスクがあるので、それを踏まえたうえで導入しなくてはなりません。

 ケータイからの投稿を受け付けるメリットは、出先などで得た情報をケータイのカメラで撮影し、瞬時に社内ブログで共有したり(取引先や内容によってはこれがNGな場合ももちろんあります)、電車などの移動時間中に業務日報を書いたりと、活用範囲が広がります。パスワードのロックや端末認証、SSLなどをサポートしているエンジンでは、ケータイからブログ内容そのものを閲覧できるようにもできます。

検索プラグイン

 検索機能は社内ブログを考えるうえでは必須です。何しろ情報の再活用が主な利用目的であるわけですから、検索ができなければせっかくの情報も、宝の持ち腐れとなってしまいます。検索プラグインは大抵のブログエンジンに用意されているほか、イントラネット用の検索エンジンそのものもオープンソースのものも含めて出回っています。

次回はCMSの定番「Webページを管理するためのCMS」

 社内情報管理のためのCMSとして、Wikiやブログ、Twitterを紹介しましたが、いかがだったでしょうか。特に、ブログは遊びで使うというイメージがあるかもしれませんが、社内の業務日報をブログ化すると、それまで埋没していた情報を資産化させ、社内の交流を活発化する役割があります。

 全社的にブログを導入するというのは大変だと思いますが、部署ごと、プロジェクトごとに部分的に社内ブログを導入すると、いままでとは違ったアイデアの活用が生まれるかもしれません。

 さて、次回はいよいよCMSの定番、「Webページを管理するためのCMS」を紹介したいと思います。

著者プロフィール

清水 亮

清水 亮(しみず・りょう)
株式会社ユビキタスエンターテインメント 代表取締役 兼 CEO

98年、電気通信大学在学中に米Microsoft corp.初のゲーム機向けオペレーションシステム WindowsCE for Dreamcast SDKの開発に携わる。99年同大学を中退し、株式会社ドワンゴに入社。同社研究開発部門の立ち上げに参加する。同社で初となる携帯電話コンテンツ「釣りバカ気分」を企画・開発し、その後同社アーキテクトとしてコンテンツ開発部隊を率いる。2002年3月にカリフォルニア州サンノゼで行われたゲーム開発者会議(GDC)をきっかけに海外市場に目覚め、同年7月より単身渡米。米DWANGO North America社のコンテント開発担当副社長として コンテンツ開発を行う。2002年末に帰国し、2003年より現職。2005年、IPAより天才プログラマー/スーパークリエイターとして認定される。



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