NetBookにインストールするSubversionクライアントにはいくつか種類があります。Windowsでは、TortoiseSVNやCygwinに付属のsvnコマンドをインストールすると、Subversionリポジトリへアクセスできます。Mac OS Xでは、svnコマンドが端末から使えるので、それを使います。WindowsでもMac OS Xでも、EclipseとSubversion用プラグインをインストールして使うという方法もあります。
本稿では、WindowsでTortoiseSVNを使ってみます。ほかのものも使い方の基本は同じです。TortoiseSVNは、WindowsのエクスプローラからSubversionリポジトリへアクセスできるようになるので便利なのですが、それが逆に「使いにくい」と感じる人もいると思います。そういった場合は、svnコマンドをコンソールで実行するなり、「Subversive」などのEclipseプラグインを使うなりしてください。
TortoiseSVNのインストールは簡単です。下記の手順でファイルをダウンロードしてインストールするだけです。64bits版もあるので必要に応じて選んでください。ここでは32bits版を使っています。インストールの途中でライセンス情報が出たら、[I agree(略)]の方をチェックして[OK]をクリックしてください。
インストールできたら、早速「マイ ドキュメント」へSubversionリポジトリと同期するフォルダを置いてみましょう。Subversionリポジトリと同期するフォルダを作成するには、Subversionリポジトリをチェックアウトします。
チェックアウトができない場合は、「認証情報が間違っていないか」「http://192.168.0.100/へアクセスできる環境になっているか」などを調べて対処します。
チェックアウトが成功すると、「マイ ドキュメント」に「workspace」フォルダが出来上がっていることがエクスプローラで分かるはずです。「workspace」フォルダ内には、Subversionリポジトリへコミットした「hello.txt」が入っています。このフォルダ内にあるファイルは、CentOS上のSubversionリポジトリと同期が取れるようになるので、「複数のマシンで同期を取りたいファイルは、このフォルダへ、とにかく入れていけばいい」ことになります。
次に、ファイルを追加してみましょう。「workspace」内に「windows.txt」というテキストファイルを新規作成します。ファイルの中には「windows」と入れておきましょう。「?」マークがファイルに付きます。すぐに付かない場合もありますが、しばらくたつと「?」マークが表示されます。TortoiseSVNでは、このように追加されたファイルやフォルダ、変更があったファイルやフォルダがあることが簡単に分かるようになっています。
このファイルをSubversionリポジトリへコミットします。コミットをする前には、必ず[SVN更新]をするようにしましょう。こうすることで、別のパソコンで同じファイルを追加して忘れていた場合、誤って上書きしてしまうという失敗を防ぐことができます。以下の手順で行います。
では、ファイルを更新したいときはどうすればいいのでしょうか。試してみるために、「workspace」内のhello.txtを編集して、「windows」という文字列を追加して保存します。「!」マークがファイルに付きます。この編集結果を、Subversionリポジトリへコミットします。ちなみに、このときにworkspaceを表示させると、「!」マークがworkspaceフォルダにも付いているはずです。
次にファイルを削除したい場合は、どのようにSubversionリポジトリと同期をすればいいかを試してみましょう。workspace内のwindows.txtをエクスプローラで削除します。「!」マークがworkspaceフォルダに付きます。もし間違えて削除してしまった場合は、ここで[SVN更新]をすると、Subversionリポジトリからファイルを復活できます。削除を確定して、Subversionリポジトリへ反映するには、次のようにします。
最後に、“競合”について説明しておきます。別のパソコンで変更したファイルをSubversionリポジトリへコミットしてあるのを忘れていて、手元のパソコンで同じファイルへ編集して[SVN更新]をすると、“競合”が起きます。次のようにすれば、競合を故意に発生できるので、試してみましょう。
1.CentOS上で下記のように編集し、これをSubversionリポジトリへコミット(別のパソコンでファイルを変更し、Subversionリポジトリへコミットした状態)
# cd workspace # echo "hello centos" > hello.txt # svn commit -m "hello centos"
2.Windowsマシン上で、[SVN更新]をせずにhello.txtを編集して、「競合」という文字を追加(WindowsマシンにはCentOSで変更した内容が、この時点では反映されていない状態)
hello windows 競合
3.Windowsマシン上のエクスプローラで「マイ ドキュメント」を表示
4.「workspace」をマウス右ボタンでクリックし、[SVN更新]
5.競合が発生したというメッセージが表示されるので確認し、[OK]をクリック
競合が発生したときは、Windowsマシン上のhello.txtは次のようになって、Subversionリポジトリにあるファイルとの差分が分かります。
<<<<<<< .mine hello windows 競合 ======= hello centos >>>>>> .r5
自分が編集したものはhello.txt.mineという名前で残っています。これに加えて、前後のリビジョンのファイルが「ファイル名.リビジョン番号」という名前で作成されます。hello.txt.r3は自分が編集を加えたファイル、hello.txt.r5は現在Subversionリポジトリに登録されているファイルになります。
これらの情報から、Subversionリポジトリに残したいファイルを手作業で作成してコミットしなおします。今回は、下記のように修正して、[SVNコミット]をしました。
hello centos windows 競合
以上、Subversionクライアントの使い方について説明をしました。
筆者は、現在はSubversionリポジトリ専用の仮想マシンを用意して、時々、この仮想マシンのバックアップ取っています。デスクトップマシンとNetBookマシンとのデータ同期も、この仮想マシンを用意するようになってからは、簡単になりました。とはいえ、出掛ける直前までデスクトップマシンで作業していて、NetBookマシンへデータ同期ができないこともあります。そういったときは、USBメモリなどへファイルをコピーして持ち出します。そうすると、たまにはどのファイルが最新なのか分からないことがあります。
ただ、バージョン管理システムのおかげで、間違えてファイルを古いデータで上書きしてしまってデータを消失させてしまう心配はなくなりました。ファイルを上書きする前にリポジトリへ入れてから、上書きをすればいいだけだからです。なお、たくさんのファイルを登録すると、Subversion全体の動作が遅くなってきます。こういった問題は、年に1度ぐらいのペースで新しいリポジトリを追加していくなどの工夫で解決できるはずです。
データ同期にせよ、バックアップにせよ、いま使っているマシンの構成や、作業内容とタイミングといった要素によってベストの選択は変わってくるでしょうが、適材適所でツールやメソッドを選択して効率良く作業をしたいものです。年末も近づいてきていることですし、皆さんも、これを機会にデータ同期やバックアップについて見直してみたらいかがでしょうか。
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小山博史(こやま ひろし)
情報家電、コンピュータと教育の研究に従事する傍ら、オープンソースソフトウェア、Java技術の普及のための活動を行っている。長野県の地域コミュニティである、SSS(G)やbugs(J)の活動へも参加している。
著書に「基礎Java」(インプレス)、共著に「Javaコレクションフレームワーク」(ソフトバンククリエイティブ)、そのほかに雑誌執筆多数。
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