薄暗いオフィスで黙って仕事をしていると、だんだん気分が落ち込んでくる。これは、けっして気のせいではない。オフィスの明るさと気分の明るさには密接な関係がある。
ピースマインド総合研究所は、「太陽光を取り入れたオフィス環境が、従業員の生理・心理面に好影響を与える」という研究成果を報告した。
太陽光は「うつ病」に効果的だとして、うつ病治療法に取り入れられている(※1)。同研究所は「従業員のメンタルヘルス維持」「オフィス環境の改善」に太陽光が有効かどうかを検証するために統計調査を実施した。
調査は、2009年12月21日から2010年1月22日の間、A社(Webシステム開発企業)とB社(コンサルティング企業)2社の従業員88名に対して行った。太陽光を反射させて室内に取り入れる採光ブラインド「ソーラーガイドシステム」をオフィスに設置。設置前と設置後における「生理面・心理面のストレス評価」を、4つの手法を用いて調査した。
<生理面の測定>
<心理面の測定>
太陽光を取り入れたオフィス環境は、従業員のストレス値を全体的に減少させた。特に「職場環境」をストレス要因と感じる意識が減少、「全体的な気分」「活気」が改善した。また、健康さへの感覚、仕事のパフォーマンスにも改善傾向が見られた。
一方、「人間関係」「仕事以外の日常活動」「抑うつ」「イライラ」「疲労」「身体愁訴」などの項目においては、十分な改善傾向が見られなかった。とはいえ、「太陽光によってストレスが増えた」「気分が悪化した」といったマイナスの結果は出ていない。
同研究所は、太陽光が従業員のメンタルヘルスに与える影響をより長期的な視点から確認するために、「2010年4月下旬以降に再測定を実施する」とコメントしている。
※1 「高照度光療法」:太陽光などの高照度(2500〜1万ルクス)光を照射することによって治療効果を得る身体療法。
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