Java言語を使って構築されることが多い、オープンソースの業務用ソフトウェア/アプリケーションを紹介しながら、企業で行われる業務処理の常識を身に付けていく連載
本稿では、オープンソースのERP(Enterprise Resource Planning、企業資源計画)ソフトウェア「Adempiere」の紹介を通じて、ERPの常識・概要、オープンソースの利点などを説明します。
ERPとは、簡単にいってしまえば業務管理システムのことです。ただし、業務管理システムをすべてERPと呼ぶわけではなく、企業の業務を全体にわたって管理するシステムのことをERPと呼びます。
「ERPとは何なのか」については、ここでは説明しきれないので、詳細は、記事「5分で絶対に分かるERP」をご覧ください。
上記記事にもあるとおり、ERPとは、概念・手法を表す言葉です。ERPを実現するには、そのためのソフトウェアが必要で、「ERPパッケージ」と呼ばれています(※ERPという概念がソフトウェアを使わずに実現することが難しいこともあり、ERPという単語はERPパッケージという意味で使われることの方が多いのではないかと思います)。
本稿で紹介するAdempiereは、オープンソースのERPパッケージですが、現在、実際に企業に導入されているERPパッケージは、ほぼすべてといっていい割合で、商用製品のERPパッケージです。
インターネット上で閲覧できる市場調査のデータによると、下記企業のERPパッケージが市場シェアの上位を占めています。
これに対して、オープンソースのERPは下記数種類のERPパッケージが存在しますが、日本での導入事例は、すべてのオープンソースERPを合わせても(2010年2月時点で)100件を超えていないのではないかと思います。
オープンソースのERPは、まだ普及しているとはいえず知名度も低いですが、海外では知名度も上がってきています。経済情勢の変化により費用削減が急務となっている現在、オープンソース自体の普及が進んでいるようなので、日本でもこれからオープンソースの業務アプリケーションが普及していくことが見込まれています。
Adempiereは、2006年9月に、「Compiere」というオープンソースERPから分岐して作られたオープンソースプロジェクトです。SourceForge.netのAdempiereプロジェクトで開発が行われています。
Adempiereは、Java言語で書かれていて、OracleまたはPostgreSQLをデータベースとして利用します。Adempiereの機能を本稿ですべてを説明することはできませんが、主な機能として以下があります。
次ページでは、Adempiereのアプリケーション構造や使う利点、使うための参考資料などを説明します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.