いよいよ就職活動が本格化する。面接や自己分析などがうまくいかなくて、悩む場面も多くなるだろう。学生相談を担当するカウンセラーが、就活生の悩みに答える。
最近、友人と話すのがつらいです。これまでずっと、クラスの友人と就職活動の進み具合について相談し合ってきました。しかし、自分の就活が思うようにいかないのに、「エントリーシートで落とされなくなった」「最終面接まで進んだ」と友人が話すのを聞くと、いらつきと不安を抑えることができません。最近では、意図的に友人を避けてしまいます。心に余裕のない自分が嫌なのですが……。
(情報学部系4年 U.Sさん)
4月に入ると、企業はどんどん内定を出すようになります。「就職活動は人それぞれ」と分かっていても、友人の報告を聞くとつい焦りを感じてしまう――これは当然のことでしょう。しかし、こんなときこそ自分のペースを保ちたいものです。今回は、焦りを感じたときの考え方についてご紹介しましょう。
友人の就職活動状況について知ると、つい自分の状況と比較してしまいます。焦りやいら立ちなどのネガティブな感情に支配され、自己嫌悪に陥ってしまうこともあるでしょう。
心理的に解釈すれば、「焦る」「落ち込む」のは「なんとかしたい」という気持ちの表れ、「いら立ち」「悔しさ」は「負けたくない!」という前向きな気持ちの表れです。マイナス面だけではなく、プラス面の感情に着目して、再スタートしてみましょう。
心理学者のフェスティンガーが提唱する「社会的比較理論」では、人は自分自身を近い他者と比べて、自己評価すると考えられています。
「人と比べずにマイペースでいく」のが理想ですが、実際はなかなかうまくいきません。あるときは優越感や高揚感を感じ、あるときは「人より劣っている」と感じて余裕をなくすのは、誰しも経験することです。特に、われわれ人間は「属性が近いほど、周囲と同じ行動をしたり比較したりする」習性があります。同じ学校や同じ専攻、同じ性別など、自分と属性が近ければ近いほど比較してしまうのです。
「友人が内定をもらった」と聞いた場合は、この事実を思い切ってよく見直し、自分と相手を比較分析してはいかがでしょうか。あえて比較することで、自分の価値観や方針、個性が明らかになり、自分のペースが確立されてくるかもしれません。
比較した結果、自分と相手の共通点が見つかれば、「同じ属性のあの人が内定をもらったのだから、自分だって内定は近い」と考えられます。その人と比較した結果、違う点が見つかれば「自分と相手の違い」や「就職活動に対する考え方の違い」が明確になります。
友人は、「早く内定をもらう」ことを第一に考える人かもしれません。あなたは、卒業研究を優先する方針、もしくは「企業の社風」にこだわりを持ち、じっくり就職活動を行う方針かもしれません。 焦り始めるこの時期に、マイペースを取り戻すことは非常に重要です。マイペースを取り戻すためのワークを紹介します。
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