Windows 7では、無線LANアダプタを利用する「WoL(Wake On LAN)」、いわゆるWoWLAN(Wake on Wireless LAN)を利用できるようになった。ただし、すべてのコンピュータ、無線LANアダプタで、この機能を利用できるわけではないようだ。
筆者手持ちの無線LANアダプタで調べたところ、Intel製の3945ABGアダプタでは、デバイス・マネージャのプロパティ画面に[電源の管理]タブが現れる。そこで[このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする]のチェックをオンにできる。さらに、その下にある[Magic Packetでのみ、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする]のチェックをオンにすると、WoWLANでのみスリープ状態からの復帰が可能になる。
なお、同じインテル製品でも2915ABGではデバイス・マネージャのプロパティ画面に[電源の管理]タブが現れないため、こうした設定は行えない。
実際にWoWLANを機能させるには、さらにBIOSセットアップ画面で電力管理やブート・デバイス関連の設定を行わなければならない場合がある。この辺の事情はPCの機種によっても異なるようだ。そのため、無線LANアダプタだけでなく、PC本体も併せてWoWLANに対応させる必要があるだろう。
なお、Wake-on-LANについては、以下の記事も参照されたい。
無線LAN以外のワイヤレス機能についても触れておこう。Windows 7では、Bluetoothについても対応が強化されている。
Bluetoothの設定機能はWindows Vistaでも標準装備していたが、対応するバージョンはBluetooth 2.0までとなっていたほか、利用可能なプロファイルが限られていた。Windows 7はBluetooth 2.1に対応することでペアリングの手間を減らしているほか、以下の表にあるように対応するプロファイルが増えている。
プロファイル | Windows Vista | Windows 7 | 用途 |
---|---|---|---|
A2DP(Advanced Audio Distribution Profile) | × | ○ | ステレオ音声データの配信 |
HFP(Hands Free Profile) | × | ○ | ヘッドセットを用いる電話の発着信/通話 |
HSP(HeadSet Profile) | × | ○ | ヘッドセットとの音声入出力 |
AVRCP(Audio/Video Remote Control Profile) | × | ○ | オーディオ/ビデオ機器の遠隔操作 |
HID(Human Interface Device) | ○ | ○ | マウス/キーボードの接続 |
SPP(Serial Port Profile) | ○ | ○ | 仮想シリアルポートの構築 |
OPP(Object Push Profile) | ○ | ○ | 携帯電話相互間のオブジェクト送信 |
PAN(Personal Area Networking Profile) | ○ | ○ | PAN構築 |
DUN(Dial-Up Network Profile) | ○ | ○ | Bluetoothデバイス経由のダイヤルアップ接続 |
HCRP(Hard Copy Cable Replacement Profile) | ○ | ○ | ファイルの印刷/スキャン |
Windows VistaとWindows 7のBluetooth機能における、対応プロファイルの違い |
また、Wireless USBについてもWHCI(Wireless Host Controller Interface)を標準サポートするため、Wireless USB経由で接続した機器を有線の同様にUSB機器として認識できる。現時点ではWireless USB機器がほとんど出回っていないが、Windows 7がWireless USBを標準サポートしていることで、Wireless USB機器の普及が期待できるかもしれない。
OSのバージョンアップは、操作性や機能面の向上だけでなく、新しい種類のデバイス、新しい種類の規格に対応する、という意味もある。そうした観点から見ると、無線LAN関連の操作性向上に加えて、対応仕様の拡大・対応規格の追加を図っているWindows 7の存在と、そのWindows 7の販売が好調に推移していることの影響は無視できないだろう。Windows 7の普及が、BluetoothデバイスやWireless USB、あるいはWireless Wake-on-LANの普及・利用拡大を後押しする結果につながるよう期待したい。
また、新機能のWireless Hostes Networkは、コマンドによる操作が必要になるなど、まだ十分なサポートが行われているといはいえない状態だが、スマートフォンをはじめとする小型Wi-Fiデバイスの増加と、そうしたデバイスをノートPCとともに持ち歩いて併用するユーザーにとっての福音になるだろう。サービスパックなどで、さらに使い勝手が向上することに期待したい機能だ。
Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.