ビジネスの形が、組織構造を決める情報系学生のためのIT業界入門(2)(1/2 ページ)

就職活動を行ううえで欠かせない「業界研究」。学生にとっては非常に分かりづらいIT業界について、新人社員の行貝くん、色主さんと一緒に学んでいこう。

» 2010年08月20日 00時00分 公開
[イノウ@IT]
冠里さん

「IT業界の仕組み」の講義、第2回を始めます。

 前回のテーマは「ビジネスの仕組み」でした。まずはちょっと復習してみましょう。前回、IT業界にはさまざまな業態が存在することを説明しました。日本企業が得意とする業態、外資系企業が得意とする業態はそれぞれ何でしょうか?

行貝知蔵

行貝知蔵(ぎょうかい しるぞう)

ABCソフトウェアサービスの新入社員。何にでも興味を持って前向きに知識を吸収するが、おっちょこちょいで早とちりな一面も。先輩にかわいがられる愛すべきキャラクター。22歳。


色主識代

色主識代(しょくしゅ しるよ)

ABCソフトウェアサービスの新入社員。真面目で業界研究をしっかりやるタイプ。もともとは別業界を志望していたが、ABCソフトウェアサービスの会社説明会に参加したことをきっかけに入社。22歳。


冠里邦彦

冠里邦彦(かんり くにひこ)

ABCソフトウェアサービスのプロジェクトマネージャ。国立大学理学部卒。駄洒落好きで気のいいオジさんだが、仕事には厳しい。いまだに自分でもコードを書く。お洒落を自認し、いつもベストを着用している。44歳。


行貝くん

日本企業は「受託システム開発」や「システム管理運営受託」を得意とし、外資系企業は「パッケージソフト開発」を得意としています。


冠里さん

そのとおりです。では、得意とするサービスが違うと、企業にどのような違いが生まれると思いますか、色主さん?


色主さん

え〜と……必要とされるスタッフの能力でしょうか?


冠里さん

たしかに、それも正しい答えですが、それだけではありません。「得意とするサービス=業態」の違いは、すなわち、「企業の中核組織」の違いにつながるのです。

企業には一般的に、企業の収益活動を担う「中核組織=プロフィット部門」と、企業の効率的な運用を担う「バックオフィス組織=コスト部門」があります。後者は基本的に全業種共通であるのに対して、前者は、業界はもちろん業態によっても大きく異なってきます。

プロフィット部門とコスト部門 図1 プロフィット部門とコスト部門
行貝くん

どうしてですか?


冠里さん

プロフィット部門では、顧客に「提供する価値」と顧客から「対価を得る手段」に応じて、組織が最適化するからです。例えば、顧客企業に営業をかけて案件を受託し、システム開発・運用管理のサービスを提供する企業の多くは、顧客ニーズの理解が最も重要であるため、業界ごとの部門が中核組織となっています。また、営業が吸い上げた顧客ニーズをいち早くシステムに反映するため、開発と営業で1つのチームになっていることが多いようです。

システム開発・運用管理サービス型企業の組織図(例) 図2 システム開発・運用管理サービス型企業の組織図(例)
行貝くん

じゃあ、外資系企業はどんな組織になっているのですか?


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