就職活動を行ううえで欠かせない「業界研究」。学生にとっては非常に分かりづらいIT業界について、新人社員の行貝くん、色主さんと一緒に学んでいこう。
「IT業界の仕組み」の講義、第2回を始めます。
前回のテーマは「ビジネスの仕組み」でした。まずはちょっと復習してみましょう。前回、IT業界にはさまざまな業態が存在することを説明しました。日本企業が得意とする業態、外資系企業が得意とする業態はそれぞれ何でしょうか?
行貝知蔵(ぎょうかい しるぞう)
ABCソフトウェアサービスの新入社員。何にでも興味を持って前向きに知識を吸収するが、おっちょこちょいで早とちりな一面も。先輩にかわいがられる愛すべきキャラクター。22歳。
色主識代(しょくしゅ しるよ)
ABCソフトウェアサービスの新入社員。真面目で業界研究をしっかりやるタイプ。もともとは別業界を志望していたが、ABCソフトウェアサービスの会社説明会に参加したことをきっかけに入社。22歳。
日本企業は「受託システム開発」や「システム管理運営受託」を得意とし、外資系企業は「パッケージソフト開発」を得意としています。
そのとおりです。では、得意とするサービスが違うと、企業にどのような違いが生まれると思いますか、色主さん?
え〜と……必要とされるスタッフの能力でしょうか?
たしかに、それも正しい答えですが、それだけではありません。「得意とするサービス=業態」の違いは、すなわち、「企業の中核組織」の違いにつながるのです。
企業には一般的に、企業の収益活動を担う「中核組織=プロフィット部門」と、企業の効率的な運用を担う「バックオフィス組織=コスト部門」があります。後者は基本的に全業種共通であるのに対して、前者は、業界はもちろん業態によっても大きく異なってきます。
どうしてですか?
プロフィット部門では、顧客に「提供する価値」と顧客から「対価を得る手段」に応じて、組織が最適化するからです。例えば、顧客企業に営業をかけて案件を受託し、システム開発・運用管理のサービスを提供する企業の多くは、顧客ニーズの理解が最も重要であるため、業界ごとの部門が中核組織となっています。また、営業が吸い上げた顧客ニーズをいち早くシステムに反映するため、開発と営業で1つのチームになっていることが多いようです。
じゃあ、外資系企業はどんな組織になっているのですか?
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