いよいよ就職活動が本格化する。面接や自己分析などがうまくいかなくて、悩む場面も多くなるだろう。学生相談を担当するカウンセラーが、就活生の悩みに答える。
これまでの体験から受けたネガティブな自己イメージが、すっかり自分の中に根付いてしまっている……という人はいませんか。どうすれば、ネガティブな自己イメージを払拭(ふっしょく)して、就職活動に向かうことができるでしょうか。今回から2回に分けて、「ポジティブな自己イメージを持つ方法」を解説します。今回は、「心理・思考編」です。
以前、「お前は接客業に向いていない」といわれたことがずっと引っかかっています。初めてやった接客業のアルバイトでミスを繰り返してしまったことが原因です。バイト先を辞め、それからは接客をしない事務系のバイトばかりしてきました。しかし、今年からの就職活動で同じことをいわれるのでは……と怖気づいています。どうすれば、過去に作られた自己イメージをうまく克服できるのでしょうか。(情報系学部3年 E.Mさん)
「過去の体験により、自分に自信が持てなくなった」という相談は、多くの学生さんから受けます。「就職を考えると、自分の苦手な面に直面しなければならず、落ち込んでしまう」というのです。しかし、皆さんはまだ若い。いくらでも自己イメージを変えることができます。どうしたら過去の苦い思いを克服し、ネガティブな自己イメージを変えて自信につなげられるでしょうか。
過去のネガティブな体験から自己イメージを変えるには、フロイトが提唱した「過去の体験を語って整理する」精神分析的な心理療法が有効とされてきました。臨床心理学者の村瀬嘉代子氏は、傷ついた気持ちの整理について、「手応えのある小さな体験の積み重ねによって、若者はまだまだいくらでも自己イメージを変えられる」と指摘しています。思考面では、自分の肯定的な側面にも意識的に目を向けること(認知療法)も有効といわれます。
心理面や思考面、そして実践行動面がすべてうまく機能したとき、肯定的自己変容を実感できます。これから、肯定的な自己イメージを作る4つのポイントを紹介しましょう。
バイトや対人関係で一方的に否定された体験を抱えている人は、就職活動が本格化する前に、できればカウンセリングなどで自分の気持ちを話して整理しておきましょう。中には「自分が悪かったから、あのとき否定されたのだ」と思っている人がいます。ですが、そんなことはまったくないのです。カウンセリングで、自分の気持ちをそのまま「受容」してもらう体験をして、心を癒しておきましょう。
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