VTPの基礎を学習するCCNP対策講座 SWITCH編(2)(1/2 ページ)

本連載では、シスコシステムズ(以下シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNP(Cisco Certified Network Professional)のうち、2010年12月に日本語版が改訂される新試験【642-813 SWITCH】を解説します。

» 2010年12月27日 00時00分 公開
[内藤佳弥子グローバル ナレッジ ネットワーク]

 今回はVTP(VLAN Trunking Protocol)について学習します。

 VTPとは、スイッチでのVLAN管理作業を容易にするシスコ独自のプロトコルです。例えば、複数台のスイッチのそれぞれにVLANが10個必要な場合、個々のスイッチにおいて個別にVLANを10個ずつ作成するのは手間が掛かります。VTPでは、VLAN情報を共有したいスイッチを「VTPドメイン」として定義します。そして、ドメインの中でサーバモードのスイッチ、クライアントモードのスイッチを定義します。VLAN番号の登録・変更・削除はサーバモードのスイッチでのみ行い、クライアントモードのスイッチはトランクリンクを通して、VLAN情報の同期を取ることができます。よって、個々のスイッチでのVLAN番号を登録する作業を容易にします。

VTP動作の概要

 Switch1、Switch2、Switch3は同じVLAN情報を共有したいスイッチだと仮定します。同じVLAN情報を共有したいスイッチをVTPドメインに含めます。VTPドメイン名は「CCNP」とします。

 図1の上の図では、3台のスイッチはVLAN10、20を共有し、同期が取れている状態です。VLAN10、20が登録されている情報に対して付けられている番号は、リビジョン番号といいます。リビジョン番号は、VLAN情報の新しさを表す番号で、VLAN情報に付けられるバージョン番号のようなものです。リビジョン番号が大きいほど、新しい情報と見なされます。

 ここで、図1の下の図で、サーバモードのスイッチにおいてVLAN30が追加されました。するとリビジョン番号が1上がり、4になります。VTPアドバタイズメントは、VLAN情報に変更があった場合、または変更がなくても5分間隔で送信されます。VTPアドバタイズメントはトランクリンクを使用して伝播されます。

 VTPアドバタイズメントには、VTPドメイン名、VTPパスワード(設定されていた場合)、リビジョン番号、VLAN情報などが含まれます。

 Switch2とSwitch3がVTPアドバタイズメントを受信すると、自身のリビジョン番号と比較します。VTPアドバタイズメントに含まれているリビジョン番号の方が、自身のリビジョン番号よりも大きいと、VTPアドバタイズメントの内容を受け入れ、同期します。つまり、VLAN番号30番を追加し、リビジョン番号も4に同期します。

図1 VTP動作の概要 図1 VTP動作の概要

 ここで、VTPの3種類のモードをまとめます。

VTPモード 機能
サーバモード VLANの追加・削除・変更を行うことができる。アドバタイズメントを送信、転送する
クライアントモード VLANの追加・削除・変更を行うことができない。アドバタイズメントを転送する。サーバからのアドバタイズメントの内容に従い、同期する
トランスペアレントモード VLANの追加・削除・変更を行うことができる。アドバタイズメントは転送するが、サーバからのアドバタイズメントの内容には同期しない
表1 VTPの3種類のモード

 なお、トランスペアレントモードのリビジョン番号は常に0になります。

 VTPのバージョンには、1、2、3があります。バージョン2が最も一般的ですが、デフォルトで動作するのはバージョン1です。バージョン2の特徴は以下のとおりです。

  • トークンリングのサポート
  • 整合性チェック(VLAN名やVLAN番号などの間違いが、ドメイン内のほかのスイッチに伝播するのを防止する)
  • 認識されないTLVの伝播(スイッチが認識できないTLVも、ほかのスイッチに伝播する。TLVとはタイプ、長さ、値のこと)
  • VTPバージョン番号を確認せずに、トランスペアレントモードのスイッチからVTPアップデートを転送

 また、VTPバージョン1と2は互換性がありません。ドメイン内のスイッチのVTPバージョンはそろえる必要があります。

確認問題1

  • 問題

 VLANの追加・削除・変更を行うことができ、サーバからのアドバタイズメントの内容には同期しないVTPモードを、次の選択肢の中から1つ選択しなさい。

a.サーバモード
b.クライアントモード
c.トランスペアレントモード
d.リビジョンモード

  • 正解

 c

  • 解説

 正解は選択肢cです。トランスペアレントモードのスイッチでは、ローカルスイッチのみでのVLANの追加・変更・削除を行うことができますが、VTPアドバタイズメントは生成しません。サーバからのアドバタイズメントの内容にも同期しません。選択肢dのリビジョンモードは存在しません。

確認問題2

  • 問題

 リビジョン番号の説明を、次の選択肢の中から1つ選択しなさい。

a.VLAN情報の信頼性を示す
b.VLAN情報の新しさを示す
c.VTPのバージョンを示す
d.登録されているVLAN数を示す

  • 正解

 b

  • 解説

 正解は選択肢bです。リビジョン番号は、VLAN情報の新しさを示す番号です。VLAN情報の追加・削除などが発生すると、リビジョン番号が1つ増加します。

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