<progress>要素は、処理の進捗(しんちょく)状況を表す「プログレスバー」を表します。基本的な使い方は、max属性に最大値を、value属性に現在の進捗率を指定します。
max属性を省略した場合は1.0となります。value属性を省略した場合は、「処理は進行中だが、具体的な進捗率は不明」という意味になり、ビジュアルもそのように変化します。現在、この要素に対応しているのはOpera11とGoogle Chrome9です。
以下のサンプルは、進捗率が不明なプログレスバーと、進捗率が明らかなプログレスバーを並べて表示してみたものです。
<!DOCTYPE html> <meta charset="UTF-8"> <progress>処理が進行中...</progress><br> <progress value="50" max="100">50%</progress>
上のサンプルをそれぞれのWebブラウザで表示したもの(上の画像をクリックすると、Webブラウザで表示します)
また上記のように、<progress>要素に対応していないWebブラウザのことを考慮し、要素内に進捗率を示すテキストを記述することが推奨されています(未対応Webブラウザでは、要素内の文字列が表示される)。
進捗率が不明でない(value属性が与えられている)<progress>要素については、JavaScriptを使用して進捗率を更新していくのが一般的です。そうした動的なプログレスバーは、value属性の値をJavaScriptを用いて読み書きすることで実現できます。
また、読み取りのみが可能なpositionプロパティも有用です。この値を読み取ると、value属性の値をmax属性の値で割った値(0.0〜1.0)を取得できます。
以下の例では、ページが表示された瞬間から進捗率が上がっていきます。ページが表示された瞬間に進捗の最大値(max属性)をランダムに決め、value属性を更新することで進捗率を上げていきます。プログレスバーの横に表示されるパーセンテージは、positionプロパティの値から算出しています。
<!DOCTYPE html> <meta charset="UTF-8"> <progress></progress> <span id="percentage"></span> <script> var progress = document.getElementsByTagName("progress")[0]; var percentage = document.getElementById("percentage"); // 500〜1000までの値を最大値とする progress.max = Math.random() * 500 + 500; progress.value = 0; // 定期的に繰り返す var timer = setInterval(function() { // 100までの値をランダムで進捗率にプラスする progress.value += Math.random() * 100; // positionの値に100をかけるとパーセンテージが分かる var percent = Math.floor(progress.position * 100); // 進捗率がマックスに達したら繰り返し処理終了 if (progress.value >= progress.max) { percent = 100; // 強制的に100%と表示する clearInterval(timer); } // プログレスバーの横にパーセント表示 // progress要素の中身も同時に更新する percentage.textContent = progress.textContent = percent + "%"; }, 500); </script>
<meter>要素はディスク使用量や格闘ゲームにおける体力ゲージなど、一定範囲内に占める割合を表すのに適した視覚要素です。現在の仕様と実装の下では、使い方も見た目も<progress>要素とあまり変わりませんが、要素のセマンティックが異なるので、きっちり使い分けるようにしましょう。
<meter>要素では、最小値を表すmin属性(省略時は、0.0)、最大値を表すmax属性(省略時は、1.0)、現在値を表すvalue属性(省略不可)を使用して、範囲と値を指定します。以下がその利用例です。
<meter min="0" value="40" max="100">40%</meter>
また、「low」「high」「optinum」といった属性を指定することで、値の範囲を区分けできます。low属性を下回る範囲が「値が低めの範囲」、high属性を上回る範囲が「値が高めの範囲」、optimum属性が「適切な値」となります。これらの属性を使用した例として、温度計をイメージしたマークアップを掲載しておきます。
現在室温:<meter min=-20 max=50 value=22 low=10 high=30 optimum=20>22度</meter>
2011年3月の原稿執筆時点では、これらの属性に対応して見た目を変化させるWebブラウザはありません。
<keygen>要素は、公開鍵暗号方式における秘密鍵と公開鍵をクライアント上で生成し、公開鍵をサーバに送信することのできるフォーム要素です。<keygen>要素を含むフォームを送信しようとすると、Webブラウザが鍵の生成を自動的に行い、公開鍵をリクエストパラメータに含めて送信します。
<keygen>要素は、以下の属性を持ちます。
<keygen>要素を使用すること自体は簡単です。<form>内に<keygen>要素を記述するだけです。<input>要素などと同じく、name属性を指定することで、リクエストパラメータにその名称で含まれます。
<!DOCTYPE html> <meta charset="UTF-8"> <form> <keygen name="key"/> <button>送信</button> </form>
こうして生成された公開鍵は、サーバによってクライアント証明書を生成するためなどに使用できます。
今回は、新しく追加されたフォーム関連要素についてお伝えしました。次回でHTML5のフォーム要素に関する説明は終わりです。次回は、入力値のバリデーションについてお伝えしたいと思います。
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株式会社オープンウェブ・テクノロジー 代表
白石俊平(@Shumpei)
Google API Expert(HTML5)
HTML5開発者コミュニティ「html5-developers-jp」管理人
HTML5関連でいろいろ活動中。いまはHTML5をビジネスに活用すべく、日々奮闘中です。第1弾サービス、「DaVinciPad」は順調に稼働中。趣味は子どもたちと遊ぶこと
著書
・「HTML5&API入門」(2010 日経BP社)
・「Google Gearsスタートガイド」(2007 技術評論社)
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