連載
» 2011年07月19日 00時00分 公開

イーサチャネルの機能と構成法を学ぶCCNP対策講座 SWITCH編(6)(1/2 ページ)

本連載では、シスコシステムズ(以下シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNP(Cisco Certified Network Professional)のうち、2010年12月に日本語版が改訂された新試験【642-813 SWITCH】を解説します。

[内藤佳弥子,グローバル ナレッジ ネットワーク]

 今回はイーサチャネルについて学習します。イーサチャネルとは、複数の物理回線を1本に束ね、1本の論理的なリンクとして使用する技術です。イーサチャネルを利用すると、広い帯域幅の確保、ロードバランシング、耐障害性の向上などといった効果を見込めます。

イーサチャネルの概要

 VLANの回で解説したIEEE802.1Qを覚えていますか? スイッチの間を接続した1本のトランクリンクに、複数のVLANのフレームを伝送させる技術です(図1)。もしも、この1本のトランクリンクがダウンしたらどうなるでしょうか? VLAN間のすべての接続ができなくなります。またトランクリンクは複数のVLANのトラフィックが集中して流れるリンクですので、場合によっては帯域幅不足に陥る可能性も考えられます。

図1 トランクリンクを1本の物理ケーブルで接続した場合 図1 トランクリンクを1本の物理ケーブルで接続した場合

 そこで、スイッチ間を接続するケーブルを2本にしたらどうなるでしょう(図2)。スイッチ間を接続するケーブルを2本にすることで、スパニングツリープロトコルが動作して、ブロックポートが構成されます。図2でFa0/10がブロックポートになると、下のリンクはバックアップとして待機しているだけで、普通の状態では使わなくなります。これでは、スイッチ間を接続している2本のケーブルを、あまり有効に活用しているとはいえません。

図2 トランクリンクを2本の物理ケーブルで接続した場合。2本目のケーブルは通常時は使用しない 図2 トランクリンクを2本の物理ケーブルで接続した場合。2本目のケーブルは通常時は使用しない

 イーサチャネルを構成すると、複数の物理回線を1本に束ね、1本の論理的なリンクを構成できます(図3)。1本に束ねた論理インターフェイスをポートチャネルと呼び、番号を付けて管理します。以降ではスイッチ間のリンクは100Mbpsと想定して説明します。

図3 イーサチャネルの構成例 図3 イーサチャネルの構成例

 イーサチャネルを構成する利点としては、まず広帯域の論理リンクを構成できるという点が挙げられます。例えば、100Mbpsのリンクを2本束ねると、全二重通信ならば400Mbpsの帯域幅を確保できます。

 2つ目の利点としては、複数のリンクを構成することでロードバランシングができるという点が挙げられます。例えば、ある一方向の通信に特定のリンクを使用し、反対方向の通信には、ほかのリンクを使用するという具合に、負荷を分散させられるのです。

 さらに、自動的にフェールオーバー機能が働くので、耐障害性を高めることができるという特長もあります。図3のように、2本のリンクでイーサチャネルを構成した場合、一方のリンクがダウンしたときに、自動的にもう一方のリンクに切り替えて通信を継続することができるのです。

 もう1つ、イーサチャネルを構成すると、論理インターフェイス単位で各種設定ができるという利点もあります。物理インターフェイス単位で設定をする必要がないのです。ポートチャネルインターフェイスの設定を変更すると、そのポートチャネルインターフェイスに関連付けられているすべての物理インターフェイスに反映されます。また、スパニングツリーはポートチャネル単位で動作します。

 イーサチャネルを使うと、トランクリンク(L2イーサチャネル)だけでなく、アクセスリンク(L2イーサチャネル)やルーテッドポート(L3イーサチャネル)も束ねることができます。

 イーサチャネルを構成するときは、それぞれのリンクが以下の条件を満たしている必要があります。まず、物理リンクは、すべて同じ速度と二重モードにする必要があります。次に、すべてのインターフェイスはトランクリンクか、同じVLANが割り当てられたアクセスリンクとして設定しなければなりません。

 トランクリンクを作るときは、接続するVLANは同じものでなければなりません。ネイティブVLANもそろえる必要があります。

イーサチャネルを構成する設定

 イーサチャネルを構成する方法は2種類あります。スタティックとダイナミックです。スタティックでは、強制的にイーサチャネルを構成します。ダイナミックでは、PAgPLACPというプロトコルを使用し、対向側とネゴシエーションをすることによりイーサチャネルを構成します。

 PAgPは、Cisco独自のプロトコルで、最大で8ポートを使用してイーサチャネルを構成できます。一方、LACPはIEEE802.3adで標準化されているプロトコルです。ほかのベンダスイッチが混在する環境でも使え、最大で16ポートを使用してイーサチャネルを構成できます。ただし、同時に動作できるのは8ポートまでで、残りのポートは予備となります。

 イーサチャネルを構成するモードとしては、以下の3種類があります。1つ目はDesirable(PAgP)とActive(LACP)です。この場合、リンクがアップするとPAgP/LACPフレームを送信します。積極的にポートチャネルを構成しようとするモードです。

 2つ目は、Auto(PAgP)とPassive(LACP)。対向側からPAgP/LACPフレームを受信したとき、PAgP/LACPフレームを送信します。Desirable、Activeモードと比較するとイーサチャネルの構成には消極的といえるモードです。AutoとPassiveは受動的な動作を見せるので、AutoとAuto、PassiveとPassiveの組み合わせでは、イーサチャネルを構成することはできません。

 3つ目はOnです。このモードにすると静的にポートチャネルを構成します。

確認問題1

  • 問題

PAgPとLACPにおいて正しい説明を、次の選択肢の中から1つ選択しなさい。

a.LACPはCisco独自のプロトコルである
b.PAgPは最大16ポート使用してイーサチャネルを構成できる
c.PAgPはCisco独自のプロトコルである
d.静的にポートチャネルを構成することはできない

  • 正解

 c

  • 解説

 正解はcです。PAgPはCisco独自のプロトコルであり、LACPはIEEE802.3adで標準化されているプロトコルです。PAgPは最大で8ポート使用してイーサチャネルを構成できます。

確認問題2

  • 問題

スイッチAとスイッチB間で、イーサチャネルを構成する場合、イーサチャネルを構成できる正しいモードの組み合わせを、次の選択肢の中から3つ選択しなさい。

a.SwitchA : On - SwitchB : On
b.SwitchA : Passive - SwitchB : Passive
c.SwitchA : Auto - SwitchB : Auto
d.SwitchA : Desirable - SwitchB : Auto
e.SwitchA : Active - SwitchB : Active

  • 正解

 a、d、e

  • 解説

 正解はa、d、eです。AutoとAuto、PassiveとPassiveの組み合わせでは、イーサチャネルを構成することはできません。ネゴシエーションプロトコルとしてPAgPを使用する場合DesirableとAutoは適切な組み合わせです。また対向側同士が積極的なモードであるActive同士(LACPの場合)でもイーサチャネルは構成されます。Onは静的にポートチャネルを構成するモードです。Onにしたときは対向側もOnにする必要があります。

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