元プログラマ、現Web系企業の人事担当者による、エンジニア転職指南。「応募書類の書き方」や「自己PRの仕方」について、エンジニアの視点を持ちながらアドバイス。エンジニアの幸せな転職のために、菌類が奮闘する。
こんにちは、きのこる先生です。節電とセミの夏が終わり、秋の味覚まっ盛り。これからは私の季節です。というわけで、まずはレシピをご紹介します。「菌類に付き合っている暇はない」というちょっと気が早い方は、今回のまとめをどうぞ。
さて、今ごろになるとスーツを着てもそれほど暑くありません。転職にはうってつけの季節。張り切って「いよいよ俺のターンだ! 転職カード、ドロー! 」といきたいところでしょうが、ちょっとお待ちください。
職務経歴書をもう1回見直してみましょう(参考:第2回「ラブレターは読まれてなんぼ――“読ませる”エンジニアの職務経歴書を書く」)。
「過去」と来れば、残っているのは「現在」「未来」のアピールです。
今回は「現在」のアピール――効果的な「自己PR」の書き方をお送りします。
企業が中途採用面接で知りたいことは、シンプルにまとめればたった2つです。
「今、何ができるか」と「将来、何ができるか」。
このうち、「今、何ができるか」については「過去=職務経歴」から知ることができます。
とはいえ、完全にニーズとスキルがマッチする転職は、めったにありません(自分の好みにばっちり合う完全無欠の三次元女子がいないように)。もし、企業が求めるスキルを全て身に付けているエンジニア“だけ”を待っていたとしたら、いつまでたってもエンジニアを採用できません。それは、企業とエンジニア、どちらにとっても不幸なことです。
そこで、企業はミスマッチを前提とした上で、エンジニアが「ミスマッチの部分を自分で埋めていけそうかどうか」を見ます。これが、「自己PR」のコアです。
中途採用のエンジニアは、即戦力になることを期待されています。のんびり教育のためのコストや期間をかける企業はほとんどありません。エンジニアは、不足しているスキルを業務の内外で「素早く」「自発的に」獲得していくことが求められます。さらに、ソフトウェア開発では、次から次へと新しい問題が発生します。新しい問題に立ち向かうための知識やスキルを素早く身に付けられるかどうかも、選考の重要なチェックポイントなのです。
「自己PRのコア=ミスマッチの部分を自分で埋められるかどうか」??では、具体的に何をアピールすればいいのでしょうか。答えはシンプルです。
……おやまあ、これだけ? そう、これだけです。
菌類は素晴らしい生物です。しょうゆやみそといった発酵食品をはじめとして、薬などにも応用できる幅広さがあります。さらに、植物や動物の体を作る複雑な物質を分解し、自然に還します。生態系を効率よく運営するために、「分解者、リサイクルする者」としての菌類は、必要不可欠な存在なのです。
やや唐突に菌類をPRしてみました。これをエンジニアにも応用してみましょう。心配ですか? 大丈夫。人類と菌類の壁を超えて相互理解することはなかなか難しいかもしれませんが、人類同士ならきっともっと簡単です。
さて、「長所って何ぞや」という声をエンジニアからよく聞きます。ざっくり言ってしまえば、長所とは「客観的に見た自分の性格」を「いい方向に解釈する」ことです。よく言われることですが「長所と短所は表裏一体」です。「良いところが思い浮かばない」と悩まず、ここは割り切って、「自分の性格」を良く解釈して書いてみましょう。例えば、こんな感じです。
●良い例:
毒きのこのぼやきのように、長所はいくらでも悪いように解釈することだってできます。なので、変に悩まずにアピールしてしまいましょう。ですが、くれぐれもウソはつかないように。いずれバレます。
逆に、自己PRでよく見掛ける「NGワード」があります。
●悪い例:
いかがでしょうか。「あれ? SIerではこう書かされたぞ?」という方。あなたが転職しようとしている先は、Web系企業です。SIer向けの書類を持ってくと、連戦連敗間違いなし。ちょっとした違いが、「書類選考合格/不合格」の大きな境目となるのです。
●残業自慢は最悪です
最後にもう1つ。「体力には自信があります」「徹夜をしてでも納期に間に合わせます」といった、いわゆる「奴隷の鎖自慢」は、転職の自己PRとしては最悪です。
残業/徹夜/休日出勤の経験を書くことはアピールではなく、むしろ「恥」だと心得ましょう。これらが「アピール」として通用してしまう企業に就職することは、新しいデスマーチへの一歩にほかなりません。デスマーチに赴くソルジャーを志願するなら止めませんが、そうでないなら他のアピールを考えましょう。
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