Windows Phoneは、9月に日本でも端末が発売されたばかりのスマートフォンのプラットフォームで、マイクロソフトが仕様を策定し、アプリ開発環境やツールを提供しています。
アプリ開発には、基本的に「Silverlight」という技術を用います。Silverlightは従来デスクトップのWebブラウザ向けに提供されている、いわゆる「RIA(Rich Internet Alpplication)」を開発するための技術で、そのWindows Phone版(「Silverlight for Windows Phone」とも呼ばれる)を用いてアプリを開発します。
また、その他に主にゲーム開発で用いられる「XNA」でも開発が可能です。こちらは主にXboxなどの本格的なゲーム開発で用いられていたもののWindows Phone版です。ゲーム開発者の方以外は、このツールに関する情報を収集する必要はないかと思います
Silverlightはマイクロソフトの.NET Frameworkを基に作られた技術です。.NET Frameworkはマイクロソフト製の開発技術および、そのランタイム(実行環境)のことを表します。Windows向けのデスクトップアプリやWebアプリなどを開発する際に利用されてきました。
Silverlightの開発は下記2つの技術のペアを用いて進めていきます。
XMLと何らかの開発言語を触ったことのある方であれば、筆者の経験上、他のスマートフォン開発環境に比べ、早くWindows Phoneに慣れることができると思います(具体的には後述)。
Silverlightで用いられているXAML技術はWindows Phoneと同じくMetro UIを採用した、Windows 8のアプリ開発技術としても採用されています。
上記Windows 8のスタート画面も多分XAMLで作られているのではないかなと予想しています。
Windows Phoneで開発を行う際に使うツールがVisual Studio 2010とExpression Blend 4です。
Windows Phone向けのSilverlightアプリ開発の大きな特徴の1つに、開発ツールが無料で提供されているという点があります。
従来の.NETアプリ開発では有償の開発ツールを使う必要がありましたが、Windows Phoneアプリ開発向けVisual StudioとExpression Blend(それぞれVisual Studio 2010 Express for Windows Phone、Expression Blend for Windows Phone)は無償で入手可能です。
これらはプラグインを導入できないなどの制限がありますが、特に本格的な開発をする前の検証段階で利用するツールとしては十分でしょう(アプリのコーディング周りの機能は、もちろん有償版と差がありません)。
この2つのツールを含め、Windows Phoneの開発ツール一式が入ったのが「Windows Phone SDK」です。このWindows Phone SDKには他にもさまざまななツールが同梱されていますが、まずはこの2つをとにかく触って、Windows Phoneアプリ開発の世界を体験していきましょう。
Web上では、「Visual StudioとExpression Blendの2つをバランスよく使い分けて開発しましょう。特に、Expression Blendを活用していきましょう」といった記述は少ないです。
プログラマである筆者は、数年前Silverlightを利用し始めたときからExpression Blendも使って開発していました。画面とロジックをそれぞれ異なる最適なツールで開発すれば、Silverlight開発は非常に高い生産性を得られるので、.NET未経験の方は最初からExpression Blendに慣れることをお勧めします(ガチのプログラマの方も「デザインツールだろ」と毛嫌いせずに、ぜひExpression Blend触ってみてはいかがでしょうか)。
Expression Blendを使ったWindows Phone アプリ開発については、連載「Silverlightベースで作るWP7アプリ開発入門」をご覧ください。
次ページでは、6つのタイプ別で他のプラットフォームからの移行について解説します。
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