可用性グループについてもう少し詳しく見ていこう。9月28〜29日に開催されたThe Microsoft Conference 2011では、同社でSQL Serverカスタマーアドバイザリーチームのプリンシパルプログラムマネージャーを務める多田典史氏(写真)が登場し、担当したセッションでAlwaysOnを中心にDenaliの新機能を解説した。
多田氏は可用性グループの特徴としてデータベース単位で指定すること、従来のように共有ディスクを必要としないこと、複数のデータベースのフェールオーバーを設定可能なこと、複数のセカンダリサーバを設定できることなどを挙げた。加えて可用性グループを「柔軟」「統合」「洗練」の3つの言葉で表現した。この3つの言葉について解説しよう。
Denaliでは可用性向上のための手段が増え、選択肢の幅は大きく広がった。「柔軟」な構成を採れるようになったということだ。まず、待機するセカンダリサーバは合計で4台まで設定できるようになった。従来のデータベースミラーリングでは1台しか設定できなかったので、大きな進歩だ。フェールオーバーするタイミングは5段階の障害発生レベルで設定でき、手動でフェールオーバーさせることも可能だ。データベースの同期方法は求めるパフォーマンスに応じて「同期」と「非同期」が選べる(後述のウィザード参照)など、それぞれの現場のポリシーに合うように多様な組み合わせから好きな構成を選べるのだ。
次は、「統合」というキーワードについて説明する。これまで可用性の高い構成を組むにはWindows Serverなど、SQL Server以外の製品の機能を駆使する必要があり、運用作業が複雑になりがちだった。Denaliでは、サーバ管理のインターフェイスはSystem Centerと統合され、簡素な手順で運用監視できるようになっている。可用性グループの設定は手動でも設定できるが、ウィザードでも設定できる。ウィザードの主要なステップは5〜6段階程度とシンプルだ。また従来のデータベースミラーリングでは自動フェールオーバーをさせるにはデータベースサーバのほかに、「ウィットネス」と呼ぶ監視サーバが必要だった。Denaliの可用性グループではウィットネスを置く必要はない。
改善は機能の差だけではなく性能の差にも表れてくる。先に北川氏が述べたように、待機サーバはただ待機する「スタンバイ」ではなく、読み取り可能な「アクティブスタンバイ」として有効活用できる。そして待機サーバからのバックアップも可能になった。新機能は、既存の機能を改善して「洗練」させたものとも言える。またWindowsの新しいコマンドラインインターフェイスであるPowerShellからの操作も可能になった。
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