ITエンジニアに必要な各種資格情報を解説する「@IT自分戦略研究所 資格辞典」。今回は、IPAが実施する情報処理技術者試験の「高度試験」9区分のうちの一つ「ITストラテジスト試験」を紹介する。
ITストラテジスト試験は、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が行う「情報処理技術者試験」の一つ。経済産業大臣が認定する国家試験である。
情報処理技術者試験は、IT利用者向けの「ITパスポート試験」と「情報セキュリティマネジメント試験」、情報処理技術者向けの基本知識や技能を問う「基本情報技術者試験」、応用知識や技能を問う「応用情報技術者試験」、そして9つの専門分野別に高度な知識や技能を問う「高度試験(下図ピンク色の部分)」の計12区分から構成されている。
ITストラテジスト試験は高度な知識を問う高度試験の一つ。
高度IT人材(※)として確立した専門分野を持っているか、企業の経営戦略に基づくビジネスモデルや企業活動のプロセスを、改革、高度化、最適化するための基本戦略を策定、提案、推進できるか、または組み込みシステムの企画および開発を統括して新たな価値を実現する基本戦略を策定、提案、推進できるか、が問われる。
試験は「午前1(50分)」+「午前2(40分)」+「午後1(90分)」+「午後2(120分)」の計300分。年に1回、10月の第3日曜日に実施する。受験料は5700円(税込み)。
「午前1(50分)」と「午前2(40分)」に分かれている。
午前1は高度試験共通で、「応用情報技術者試験に合格する」「いずれかの高度試験に合格する」「いずれかの高度試験の午前1試験で基準点以上の成績を得る」のいずれかであれば、その後2年間午前1試験が免除される。
問題は午前1、午前2とも四肢択一の多肢選択式。午前1(30問)+午前2(25問)の計55問。共に100点満点。
試験範囲は、午前1は左記の表全般、午前2は下記項目の専門知識が問われる。
「午後1(90分)」と「午後2(120分)」に分かれている。
午後1は記述式、出題4問のうち2問に解答する。午後2は論述式で、出題3問のうち1問に解答する。
試験範囲は以下の通り。
経営戦略に基づく情報技術を活用した事業戦略の策定、情報技術によるビジネスモデルの開発提案、業務改革の企画、新製品・サービスの付加価値向上の提案、システムソリューションの選択、アウトソーシング戦略の策定など
業務モデルの定義、情報システム全体の体系の定義、情報システムの開発課題の分析と優先順位付け、情報システム基盤構成方針や標準の策定、システムソリューション適用方針の策定(ERPパッケージの適用他)、中長期情報システム化計画の策定、情報システム部門運営方針の策定、IT全般統制整備方針の策定、事業継続計画(BCP)の策定・実施、システムリスクの分析、災害時対応計画の策定、情報システム化年度計画の策定など
システム化構想の策定、業務のシステム課題の定義、業務システムの分析、業務モデルの作成、業務プロセスの設計、システム化機能の整理とシステム方式の策定、システム選定方針の策定(システムソリューションの適用他)、全体開発スケジュールの作成、プロジェクト推進体制の策定、システム調達の提案依頼書(RFP)の準備、提案評価と供給者の選択、費用とシステム投資効果の予測など
製品・サービス・業務・組織・情報システムの改革プログラム全体の進捗(しんちょく)管理、情報システム基盤標準やシステムに関する品質管理標準の標準化推進、改革実行のリスク管理と対処、システムソリューションの適用推進、システム活用の促進、改革プログラムの効果・費用・リスクの分析・評価・改善、事業戦略・情報システム戦略・全体システム化計画・個別システム化計画の達成度評価など
通信・情報・アーキテクチャ・ヒューマンインターフェース・ストレージ・半導体・計測・制御・プラットフォームなどの技術動向分析、製品市場動向・社内技術評価などを踏まえた製品戦略策定、知的財産・規格・法令・製品の安全性や環境対策などへの考慮点の整理、リスク分析、調達方針の策定、経営戦略との整合性評価、要求の確認と調整など
午前1、午前2、午後1の得点が全て60点以上(100点満点)、かつ午後2(論述式)の評価ランクが「A」以上であること。
なお、午前1試験の得点が基準点に達しない場合は、午前2、午後1、午後2試験の採点を行わずに不合格とされる。同様に、午前2試験の得点が基準点に達しない場合は、午後1、午後2試験の採点を行わずに不合格とされる。
合格率は14.6%(平成27年度実績)。
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