前回はSQLという言語がどういうものであるか簡単に説明し、勉強するために必要な環境を紹介しました。ご自身のPCにRDBMSがインストールしてある方ならすぐに学習を始められますが、RDBMSのインストールは面倒で時間がかかるものです。今回は、WebブラウザさえあればSQLを試せるOracle Application Expressの設定法を詳しく説明します。(編集部)
この連載では、皆さんがSQLを学習する上で役立てていただける実行環境として、オラクルが提供するOracle Application Express(APEX)の評価サイト、「apex.oracle.com」を活用します。前回予告した通り、今回の連載では「apex.oracle.com」の使い方をご紹介します。
APEXは、Oracle Databaseを使ったWebアプリケーションを容易に開発するための環境です。APEXを使うと、簡単な操作でデータベースのデータをレポート形式で表示したり、グラフで表示したりすることができます。APEXは、通常Oracle Databaseと一緒にインストールして使用します。
APEXは、本来はWebアプリケーション開発ツールですが、開発時にSQL文を試すことができるように、SQL実行環境として「SQLワークショップ」という機能を備えています。本連載では、SQLワークショップを利用してSQLを実行しながら学習していきます。
「apex.oracle.com」は無料でご利用いただけますが、使用にあたっては、ユーザー登録が必要です。今回は、ユーザー登録を済ませて、初めてのSQLを実行するまでの手順を解説します。
Webブラウザで「apex.oracle.com」のユーザー登録サイトを開きます。画面の文字が英語になっている場合は、画面下方の「言語」欄にある「日本語」をクリックしてください。
図1の画面を開いたら、下にスクロールし、図2の欄を見つけ、「ワークスペースのリクエスト」をクリックします。
登録ウィザードが起動します。「はじめに」をクリックして、次の画面に進みましょう。
あなたのお名前と電子メールアドレスを入力して「次」ボタンをクリックしてください。ここで登録したメールアドレスに、ログインに必要な情報が届きます。正しいメールアドレスを入力するよう注意してください。
「ワークスペース」の欄に、任意の名前を登録します。ワークスペース名は半角アルファベットで指定してください。ここで指定したワークスペース名を使って、APEXにログインします。
「作成する新しいスキーマ」欄に、任意のスキーマ名を半角アルファベットで入力します。スキーマとは、APEXで接続するデータベース上にデータベース管理システムが作成するユーザーです。ワークスペースをリクエストすると、対応するデータベースユーザーが作成され、そのユーザーが表などのオブジェクトを所有することになります。
「初期領域の割当て(MB)」欄は、初期状態のまま25Mbytesにしておきます。
サービスの利用を申請する理由を入力します。例えば、「SQLを実行するため」としておけばよいでしょう。この欄は日本語で入力しても問題ありません。
「検証コード」という、字体がバラバラな文字が5つ出てきます。これを、「検証コード」欄に入力してください。この手順は、コンピュータプログラムによる自動登録を防ぐためのものです。
手順4で指定したメールアドレスに、メールが届きます。リンクをクリックすると、ワークスペースが作成され、パスワードが設定されます。パスワードは、指定したメールアドレスに届きます。
手順9で届いたユーザーID、ワークスペース名、パスワードを入力してログインします。
初回ログイン時には、パスワードの変更を求める画面が現れます。ご自身の好きなパスワードを設定してください。
パスワードを変更できたら、APEXにログインできます。SQLを入力して試すには、「SQLワークショップ」をクリックします。
「SQLワークショップ」をクリックして現れた画面で、「SQLコマンド」をクリックしてください。
SQLを入力して、実行する準備ができました。
SQLを入力して実行してみましょう。「SELECT * FROM emp;」と入力して、「実行」ボタンを押してください。SELECT文の詳細については第3回で説明します。
これで環境の準備ができ、SQLを問題なく実行できることが確認できました。次回(12/21公開)は、基本的なSELECT文について解説します。
APEXでSQL文を実行し、その結果が現れる部分のすぐ上を見ると、小さなタブが並んでいます。このタブを活用すると、APEX環境をより便利に使うことができます。
「実行計画」のタブをクリックすると、Oracle DatabaseがSQLを実行するときの実行計画(処理の手順)を確認できます。詳細はいずれで説明しますが、SQL文をチューニングするときは、実行計画の確認が非常に重要です。
また、「DESCRIBE」のタブで表の名前を入力すると、表の構造(表の列名やデータ型)を確認できます。
ほかにも、よく使うSQLを保存して再利用することを可能にする「保存されたSQL」や、過去の実行履歴を確認できる「履歴」など、便利タブが備わっていますので、ぜひ活用してください。
日本オラクル オラクルダイレクト所属。
須々木尚子(すすき なおこ)
オンラインセミナーの講師や、お客様への提案、案件の支援などを担当。著書に「Oracle SQLクイズ」(翔泳社)があります。
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