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» 2012年01月13日 00時00分 公開

EIGRPのパケット種類/集約/ロードバランシングを学ぶCCNP対策講座 ROUTE編(1)(2/2 ページ)

[齋藤理恵,グローバル ナレッジ ネットワーク インク]
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●手動集約

 手動集約は、任意のルータの任意のインターフェイスで集約が可能です。集約が設定されると、ルーティングループを防ぐために、そのルータのルーティングテーブルには「null0」をネクストホップとしたルートが追加されます。これにより、集約前の一部のルートがダウンしたことによって発生するループを防止できます。

 以下の図2のnull0ルートがないケースを考えます。

図2 手動集約 図2 手動集約

 ルータAからルータBに手動集約したルートが送信されています(【1】)。ルータBは集約ルートをルーティングテーブルに追加します(【2】)。

 ルータAの10.7.1.0/24のルートがダウンしました。ルータAはダウンすると、ルーティングテーブルからルートを削除します(【3】)。ただし、集約ルートの一部がダウンした場合でもルータBへの通知は行いません。集約範囲に含まれる全てのルートがなくなるとルータBに通知されます。これにより、ネットワークのフラッピングの影響を小さくすることができます。

 ルータBにダウンした10.7.1.1あてのパケットが到着しました(【4】)。集約ルートを使用してルータAに送信します(【5】)。ルータAはデフォルトルートを使用してRBに送信します(【6】)。これにより、ルーティングループが発生します。null0ルートがある場合は、デフォルトルートは使用せずにパケットは破棄されます(【6】)。これにより、ループを防止できます。

 なお、null0ルートは自動集約時にも作成されます。集約の設定をしたルータに追加されるnull0をネクストホップとしたルートのアドミニストレーティブディスタンス値は「5」となります。手動集約の設定は、インターフェイスモードで行います。

(config-if)#ip  summary-address  eigrp  <AS-NO>  <集約ネットワークアドレス>  <サブネットマスク>
<手動集約>

 なお、自動集約が有効な場合には、手動集約したルートと同時に自動集約したルートも送信されてしまいます。手動集約する場合には自動集約をオフにします。

確認問題2

  • 問題

 EIGRPの手動集約に関して適切なものを2つ選びなさい。

a.ルータコンフィグレーションモードで設定
b.インターフェイスモードで設定
c.任意のルータで設定
d.ABRのみで設定

  • 正解

 b、c

  • 解説

 正解はbcです。EIGRPの手動集約は、任意のルータの任意のインターフェイスで集約が可能です。選択肢aとcはOSPFの集約の特徴です。

EIGRPのロードバランシング

 EIGRPでは、「等コストロードバランシング」「不等コストロードバランシング」をサポートしています。

 「等コストロードバランシング」とはメトリックが等しい経路を複数学習した場合には、複数のルートをルーティングテーブルに載せて負荷分散します。

 「不等コストロードバランシング」とは、メトリックが等しくない値でも設定をすることにより負荷分散を実現できます。

 設定は以下のコマンドが必要です。

(config-router)#variance <係数>
<不等コストロードバランシング>

 係数により最小メトリックの何倍までの経路を使用するのかを制御できます。例えば係数が2であれば最小メトリックの2倍までの経路を使用することが可能です(イコールも含む)。デフォルトの係数は1であり、これは等コストロードバランシングを意味します。

 以下の図3を例に考えます。

図3 不等コストロードバランシング 図3 不等コストロードバランシング

 ルータAから192.168.2.0/24あてにパケットを転送するときのサクセサルートはFDが最小(20)のルータC経由です。ルータAにvariance2が設定されています。

 サクセサのFD(20)に係数である2を乗じます。すると、40以下のメトリックを持つルートが不等コストパスとして選ばれます。今回はサクセサルートであるルータC経由と不等コストによって選択されたルータB経由が使用されます。

 なお、ルータD経由はもともとフィージブルサクセサになるための条件を満たしていないため不等コストパスの選択対象から除外されます。

 なお、サクセサ、フィージブルサクセサの詳細説明は「CCNA第25回 高速なコンバージェンスを実現するEIGRPを学習する」を参照してください。

確認問題3

  • 問題

 EIGRPで不等コストロードバランシングを実現するコマンドを1つ選択しなさい。

a.variance
b.maximum-path
c.auto-summary
d.variance eigrp

  • 正解

 a

  • 解説

 正解はaです。不等コストロードバランシングを実現するには、varianceコマンドが必要です。varianceの後、係数を入力することにより、最小メトリックの何倍までの経路を使用するかを制御できます。デフォルトの係数は1です。これは、等コストロードバランシングを意味します。

筆者紹介

グローバル ナレッジ ネットワーク ソリューション本部

齋藤理恵(さいとうりえ)

Cisco認定トレーナー。トレーナー歴は11年。マイクロソフト、サン・マイクロシステムズ、シスコシステムズなどIT業界でトレーナーとして活動。現在は、グローバル ナレッジ ネットワークで、Cisco認定トレーニングコース(CCNA、CCNP)、ネットワーク系オリジナルコースを中心に講師を担当している。グローバル ナレッジ ネットワーク講師寄稿記事一覧はこちら



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