本連載では、シスコシステムズ(以下、シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNP(Cisco Certified Network Professional)のうち、【642-902 ROUTE】を解説します。
今回から、ディスタンスベクタープロトコルとリンクステートプロトコルの両方の特徴を持つ「EIGRP」を学習します。EIGRPはCisco独自のプロトコルで、コンバージェンスが高速です。EIGRPはルーティングテーブルのほかにいくつかの独自のテーブルを保持します。今回はEIGRPの応用(パケット種類、集約、ロードバランシング)について解説します。
なお、EIGRPの基本機能に関しては「CCNA第25回 高速なコンバージェンスを実現するEIGRPを学習する」を参照してください。
EIGRPでは、ネイバー関係を確立してルート情報の通知を行います。サクセサダウン時には内部的な再計算によりフィージブルサクセサをサクセサに昇格し、非常に高速な経路の切り替えが可能です。
またフィージブルサクセサがない場合でも、ネイバーに問い合わせをし、ネイバーから応答が来ると能動的に再計算して高速な収束を実現しています。これらの動作時、EIGRPでは5種類のパケットを使用してさまざまな制御を行います。
なお、これら5種類のパケットは高信頼性パケットと無信頼性パケットに分類されます。
●高信頼性パケット
この3種類のパケットは定期的に送信されるわけではなく、ネイバーに正しく送信できたかを確認するためにACKを必要とします。
●無信頼性パケット
この2種類のパケットはACKを必要としません。
EIGRPでACKを必要とするパケットを3つ選択しなさい。
a.Hello
b.クエリ
c.アップデート
d.ACK
e.応答
b、c、e
正解はb、c、eです。ACKを必要とするパケットはアップデート、クエリ、応答です。これらは定期的に送信されるわけではなく明確な確認応答を必要とするので、「高信頼性パケット」と呼ばれます。
「ルート集約」とは複数のネットワークアドレスを1つのネットワークアドレスにまとめることをいいます。
ルート集約を行うことにより、トラフィックを削減してルーティングテーブルのサイズを小さくすることができます。また、集約前のネットワークのフラッピングの影響を小さくすることもできます。
●自動集約
主要ネットワーク境界で自動的にルート情報をクラスフルネットワークアドレスに集約して通知する機能です。この自動集約はデフォルトで有効になっています。しかし、以下の図1のようにネットワークが不連続で自動集約が有効な場合、ルートを正しく学習できなくなるので、自動集約を無効にする必要があります。
自動集約を無効にする場合、主要ネットワークの境界ルータ(今回の場合はAとC)で以下のコマンドを設定します。
(config-router)#no auto-summary
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