OSPFのルータ、パケット、状態遷移、LSAの種類CCNP対策講座 ROUTE編(3)(1/2 ページ)

本連載では、シスコシステムズ(以下、シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNP(Cisco Certified Network Professional)のうち、【642-902 ROUTE】を解説します。

» 2012年03月16日 00時00分 公開
[齋藤理恵グローバル ナレッジ ネットワーク]

 今回は、リンクステート型ルーティングプロトコルの「OSPF」を学習します。OSPFはRIPなどのディスタンスベクタ型ルーティングプロトコルのさまざまな制限をなくし、より大規模なネットワークで効率のよいルーティングを行うために開発されました。

 今回は、OSPFの応用(OSPFルータの種類、パケット種類と状態遷移、LSAの種類)について解説します。なお、OSPFの基本機能に関しては連載「ネットワークの基礎を学習する CCNA対策講座」の第24回「リンクステートルーティング(OSPF)の設定と確認」を参照してください。

OSPFルータの種類

 OSPFは、複数のエリアに分割してルート情報を管理できます。シングルエリアのみで管理すると、問題点が発生します。

 例えばOSPFネットワークが大規模になってエリア内に数百台のルータがいるケースを考えてください。ルータの台数が多ければ、ネットワーク上を流れるLSAが増大して、LSDBのサイズが大きくなります。それにより、ルータのメモリやCPU負荷が増えます。

 またルータ台数が多ければ、ネットワーク内の変更による影響が増大します。変更があった場合、その変更を検出したルータは他のOSPFルータに変更情報をフラッディングして、ネットワーク全体でLSDBの同期を保たなければなりません。そのため、ある一部の変更がネットワーク全体に影響を及ぼすことになります。

 このような問題点を解決するためには、OSPFネットワークを適切なエリアに分割します。しかしエリアを分割することにより、OSPFルータの種類が増えます。「内部ルータ」「ABR(Area Border Router)」「ASBR(AS Boundary Router)」の3種類です。

 「内部ルータ」とは、全てのインターフェイスが同じエリアに所属しているルータです。

 「ABR」とは、インターフェイスが異なるエリアに所属しているルータです。ABRでエリアとエリアを接続します。他のエリアのネットワークに到達するためには、ABRを経由します。

 「ASBR」とは、インターフェイスがOSPFエリアと非OSPFドメインに所属しているルータです。ASBRで非OSPFドメインを接続します。非OSPFドメインのネットワークに到達するためには、ASBRを経由します。

図1 OSPFのルータ種類 図1 OSPFのルータ種類

確認問題1

  • 問題

 インターフェイスが異なるエリアに所属するOSPFルータの種類を1つ選択しなさい。

a.内部ルータ
b.集約ルータ
c.ABR
d.ASBR

  • 正解

 c

  • 解説

 正解は、cです。ABRはインターフェイスが異なるエリアに所属します。エリアとエリアを接続します。他のエリアのネットワークに到達するためには、ABRを経由します。

OSPFパケット種類と状態遷移

 OSPFではネイバー関係を確立して、LSA情報を通知し、LSDBを同期します。これらの動作時、OSPFでは5種類のパケットを使用してさまざまな制御を行います。

  1. Hello:ネイバー関係の確立と維持のために使用
  2. DBD(Database Description):LSDBの同期を取るときに使用
  3. LSR(Link State Request):不足しているLSAを要求するときに使用
  4. LSU(Link State Update):LSRで要求されたLSAを送信するときに使用
  5. LsAck(Link State Acknowledgement):DBD、LSUの確認応答に使用

 また、ルータでOSPFが有効になると、「DOWN」「INIT」「2WAY」「EXSTART」「EXCHANGE」「LOADING」「FULL」という状態を経て、OSPFルータを発見しLSDBを同期します。

図2 OSPFパケットと状態遷移 図2 OSPFパケットと状態遷移

1.Helloパケットを全く受信していないときは「DOWN」状態です。

2.ルータBはルータAからHelloパケットを受信すると、「INIT」状態になります。ルータBはHelloパケットの情報をチェックして、ネイバー関係の条件を満たしてれば、ネイバーテーブルにルータAの情報を格納します。

3.同様にルータAはルータBからのHelloパケットの情報をチェックして、ネイバー関係の条件を満たしてれば、ネイバーテーブルにルータBの情報を格納します。ネイバーテーブルにお互いの情報を格納したときが「2Way」状態です。

4.どちらのルータから先にLSAを送り始めるか、マスターとスレーブを決めるのが「ExStart」状態です。ルータIDが大きい方がマスターです。

5.DBDを交換しているのが「Exchange」状態です。

6.LSR、LSUを交換しているのが「Loading」状態です。

7.LSDBの同期がとれているのが「Full」状態です。

確認問題2

  • 問題

 OSPFのパケット種類を5つ選択しなさい。

a.Hello
b.クエリ
c.アップデート
d.LSU
e.DBD
f.LSR
g.LsAck
h.応答

  • 正解

 a・d・e・f・g

  • 解説

 正解は、a・d・e・f・gです。その他の選択肢はEIGRPのパケットです。

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