本連載では、シスコシステムズ(以下、シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNP(Cisco Certified Network Professional)のうち、【642-902 ROUTE】を解説します。
今回は、リンクステート型ルーティングプロトコルの「OSPF」を学習します。OSPFはRIPなどのディスタンスベクタ型ルーティングプロトコルのさまざまな制限をなくし、より大規模なネットワークで効率のよいルーティングを行うために開発されました。
今回は、OSPFの応用(OSPFルータの種類、パケット種類と状態遷移、LSAの種類)について解説します。なお、OSPFの基本機能に関しては連載「ネットワークの基礎を学習する CCNA対策講座」の第24回「リンクステートルーティング(OSPF)の設定と確認」を参照してください。
OSPFは、複数のエリアに分割してルート情報を管理できます。シングルエリアのみで管理すると、問題点が発生します。
例えばOSPFネットワークが大規模になってエリア内に数百台のルータがいるケースを考えてください。ルータの台数が多ければ、ネットワーク上を流れるLSAが増大して、LSDBのサイズが大きくなります。それにより、ルータのメモリやCPU負荷が増えます。
またルータ台数が多ければ、ネットワーク内の変更による影響が増大します。変更があった場合、その変更を検出したルータは他のOSPFルータに変更情報をフラッディングして、ネットワーク全体でLSDBの同期を保たなければなりません。そのため、ある一部の変更がネットワーク全体に影響を及ぼすことになります。
このような問題点を解決するためには、OSPFネットワークを適切なエリアに分割します。しかしエリアを分割することにより、OSPFルータの種類が増えます。「内部ルータ」「ABR(Area Border Router)」「ASBR(AS Boundary Router)」の3種類です。
「内部ルータ」とは、全てのインターフェイスが同じエリアに所属しているルータです。
「ABR」とは、インターフェイスが異なるエリアに所属しているルータです。ABRでエリアとエリアを接続します。他のエリアのネットワークに到達するためには、ABRを経由します。
「ASBR」とは、インターフェイスがOSPFエリアと非OSPFドメインに所属しているルータです。ASBRで非OSPFドメインを接続します。非OSPFドメインのネットワークに到達するためには、ASBRを経由します。
インターフェイスが異なるエリアに所属するOSPFルータの種類を1つ選択しなさい。
a.内部ルータ
b.集約ルータ
c.ABR
d.ASBR
c
正解は、cです。ABRはインターフェイスが異なるエリアに所属します。エリアとエリアを接続します。他のエリアのネットワークに到達するためには、ABRを経由します。
OSPFではネイバー関係を確立して、LSA情報を通知し、LSDBを同期します。これらの動作時、OSPFでは5種類のパケットを使用してさまざまな制御を行います。
また、ルータでOSPFが有効になると、「DOWN」「INIT」「2WAY」「EXSTART」「EXCHANGE」「LOADING」「FULL」という状態を経て、OSPFルータを発見しLSDBを同期します。
1.Helloパケットを全く受信していないときは「DOWN」状態です。
2.ルータBはルータAからHelloパケットを受信すると、「INIT」状態になります。ルータBはHelloパケットの情報をチェックして、ネイバー関係の条件を満たしてれば、ネイバーテーブルにルータAの情報を格納します。
3.同様にルータAはルータBからのHelloパケットの情報をチェックして、ネイバー関係の条件を満たしてれば、ネイバーテーブルにルータBの情報を格納します。ネイバーテーブルにお互いの情報を格納したときが「2Way」状態です。
4.どちらのルータから先にLSAを送り始めるか、マスターとスレーブを決めるのが「ExStart」状態です。ルータIDが大きい方がマスターです。
5.DBDを交換しているのが「Exchange」状態です。
6.LSR、LSUを交換しているのが「Loading」状態です。
7.LSDBの同期がとれているのが「Full」状態です。
OSPFのパケット種類を5つ選択しなさい。
a.Hello
b.クエリ
c.アップデート
d.LSU
e.DBD
f.LSR
g.LsAck
h.応答
a・d・e・f・g
正解は、a・d・e・f・gです。その他の選択肢はEIGRPのパケットです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.