第2回 SQL Serverの管理ツールSQL Serverミニマム管理Q&A(1/2 ページ)

今回はSQL Serverの管理ツールの概要と、サービスや通信ポートの設定について解説する。

» 2012年08月16日 05時00分 公開
[打越浩幸デジタルアドバンテージ]
「SQL Serverミニマム管理Q&A」のインデックス

連載目次

 前回はSQL Serverのインスタンスについて解説した。今回はSQL Serverの管理ツールについて簡単に触れておく。また、SQL Serverのネットワーク・サービスで固定的なポートを割り当てて利用する方法についても解説する。

Q1:SQL Serverの管理にはどのようなコマンドを使うのか?

A:基本的にはGUIのManagement Studioを使用するが、定型的な処理を効率的に行うためにはCUIのツールも覚えておく必要あり。

 SQL Serverをインストールすると、同時にいくつかの管理用ツールもインストールされる。[スタート]メニューに登録されるようなGUIのツールだけでなく、コマンド・プロンプト上で利用するCUIのツールもいくつかインストールされる。特にExpress Editionは、GUIの管理ツールなしでインストールされていることも少なくないので、管理のためにはCUIツールの使い方を覚えておく必要がある。以下に主な管理用ツールをあげておく。それぞれの使い方については、今後より詳しく解説する。

項目 内容
GUIツール
SQL Server Management Studio GUIのSQL Server管理ツール。これ1つでほとんどすべての操作を行える。運用「IT Proから見たSQL Server 2005―SQL Server Management Studio」参照
SQL Server 構成マネージャー SQL Serverサービスの設定や動作確認、インスタンスの確認、通信ポートの設定などを行う
Reporting Services 構成マネージャー レポート・サービスの構成、管理を行う
SQL Server インストール センター SQL Serverのインストールやメンテナンス、機能追加変更、オンライン情報の表示などを行う
データのインポートおよびエクスポート データのインポートおよびエクスポート処理
CUIツール
sqlcmd Transact-SQLやスクリプトなどの実行、SQL Serverの管理。最も推奨されるCUI管理ツール
osql sqlcmdの前身。ODBCベースの管理ツール。互換性のために残っているが、非推奨
isql osqlの前身。DB-Libraryベースの管理ツール。今のSQL Serverには付属していない
bcp バイナリ・データの一括コピーなどを行うユーティリティ
sqlps PowerShellベースのCUI管理ツール
rs〜 レポート・サービス用ツール
主なSQL Serverの管理ツール

Q2:SQL Serverが動作しているかどうかをGUIで確認するには?

A:「SQL Server 構成マネージャー」で確認するとよい。

 サービスが動作しているか、管理用のポートがどうなっているかなどを確認するには、「SQL Server構成マネージャー」というGUIのツールが利用できる([スタート]メニューの[Microsoft SQL Server XXXX]−[構成ツール]−[SQL Server 構成マネージャー]で起動する)。SQL Server 2000の頃は、SQL Serverのサービスが動作中かどうかをタスク・トレイ上のアイコンで表示する「SQL Serverサービス・マネージャ」というツールがあったが(解説「IT Proから見たSQL Server 2005」参照)、SQL Server 2005以降では、このSQL Server構成マネージャで動作状態を確認する。

SQL Server構成マネージャ SQL Server構成マネージャ

 このツールでは、サービスの稼働状況のほか、インスタンス名の確認もできる。複数のインスタンスがインストールされているシステムの場合は、どのようなインスタンスがあるかを簡単に把握できる。またSQL Serverの通信ポートの設定もできる(Q7「SQL Serverで静的なポートを利用するには?」参照)。

Q3:SQL構成マネージャでリモートのSQL Serverへ接続するには?

A:「コンピュータの管理」ツールで目的のサーバへ接続してみる。

 SQL構成マネージャの画面を見ると(Q2の画面参照)、一番左上に「SQL Server 構成マネージャー (ローカル)」と表示されている。そのため、ほかのシステムに接続し直せば、リモートのSQL Serverサービスの状態を確認できるように思われる。だがこのツールはデフォルトではローカルのSQL Serverサービスの状態を表示するだけで、リモートのサーバへ接続する機能は持っていない(右クリックしてもリモートへ接続するためのメニューは表示されない)。これを行うには、少し別の手順が必要になる。なお、以下ではローカルのコンピュータに、SQL構成マネージャを含むSQL Serverの管理ツールがインストール済みであるものとする。

 リモートのSQL Serverの状態をSQL構成マネージャで確認するには、まずローカルのコンピュータに対して「コンピュータの管理」ツールを起動する([コントロール パネル]の[管理ツール]から[コンピュータの管理]を起動する)。

コンピュータの管理でリモートのコンピュータへ接続する コンピュータの管理でリモートのコンピュータへ接続する
まず「コンピュータの管理」ツールを起動し、次にリモートのSQL Serverコンピュータへ接続する。
  (1)このツールを起動すると、デフォルトではローカルのコンピュータが管理対象となっている。これを右クリックする。
  (2)これを選んで、リモート・コンピュータへ接続する。

 コンピュータの管理ツールが起動したら、一番上に表示されている「コンピュータの管理(ローカル)」という項目を右クリックし、ポップアップ・メニューから[別のコンピュータへ接続]を選択する。すると接続先のコンピュータを問い合わせるダイアログが表示されるので、SQL Serverが動作しているリモートのコンピュータを指定する。

接続先の指定 接続先の指定
リモートのSQL Serverへ接続する。
  (1)こちらを選択する。
  (2)リモートのSQL Serverコンピュータを指定する。

 これは結局、リモートのコンピュータを「コンピュータの管理」ツールで開こうとしているだけである。リモート側のコンピュータではリモートから管理できるように、あらかじめファイアウォールの設定を変更しておく(「セキュリティが強化された Windows ファイアウォール」で、リモート管理のためのポートをすべて開けておくこと)。

 リモートのコンピュータへ接続したら、左側のペインにあるツリーから[サービスとアプリケーション]という項目を開く。するとその下の方に「SQL Server 構成マネージャー」という項目があるはずなので、それを開く。アクセス権が不足していたり、ファイアウォールの許可設定などが不足しているとエラーになるので、その場合は設定を見直していただきたい。ただし手元で試した限りでは、ドメインに参加しているコンピュータ同士でないとうまく開けなかったり、権限不足のエラーになったりするケースがあった。そのような場合は、あきらめてリモートのコンピュータへ直接ログオンして、コンソール上でSQL構成マネージャを起動していただきたい。

リモートのコンピュータをSQL Server構成マネージャで管理する リモートのコンピュータをSQL Server構成マネージャで管理する
コンピュータの管理ツールでリモートのコンピュータへ接続すると、SQL Server構成マネージャでリモートのSQL Serverを表示/管理できる。なお、ローカルのコンピュータにはあらかじめSQL Server(の管理ツール)をインストールしておく必要がある。SQL Server構成マネージャがインストールされていないコンピュータからリモートのSQL Serverへ接続しても、この機能は利用できない。
  (1)ローカルではなく、リモートのコンピュータへ接続している。
  (2)「サービスとアプリケーション」を開く。
  (3)このように、自動的にSQL Server構成マネージャが起動する。なおSQL Server構成マネージャが2つあるように見えるが、これはローカルに複数のバージョンのSQL Server構成マネージャの管理スナップインがインストールされているためである(そうでない場合は1つしか表示されない)。どちらか一方しか使えないようなので(もう片方はWMIエラーとなったりする)、正しく表示できる方を利用する。

 以上の操作では、一度ローカルのコンピュータを管理ツールで開いてからリモートへ接続し直しているが、直接リモートのコンピュータを開くようなショートカットを作成することもできる。そのためにはまずMMCコンソールを起動後([ファイル名を指定して実行]で「mmc」と入力する)、[ファイル]メニューの[スナップインの追加と削除]で「コンピュータの管理」スナップインを追加する。このとき接続先のコンピュータを指定できるので、SQL Serverが動作しているリモートのコンピュータを指定する。その後、MMCの設定に名前を付けて保存しておけば(例:dbserver01.mscとして保存する)、以後はそのファイルを開くだけで、すぐに目的のコンピュータへ接続できる。

Q4:SQL Serverの各サービスの用途は?

A:SQL Serverサービスがメインのデータベース・サービス。あとのサービスはインストールや運用形態によってはインストールされていなかったり、停止していることがある。

 SQL Serverをインストールすると、「SQL Server」や「SQL Server Browser」など、いくつかのサービスがインストールされる。SQL Serverのバージョンやエディション、インストールするコンポーネントなどにもよるが、その主なものを次に示しておく。

サービス名 内容
SQL Server SQL Serverのデータベース・エンジンの本体
SQL Server Agent ジョブのスケジュール管理
SQL Server Browser インスタンスの列挙、管理
SQL Server Reporting Services レポートの公開/管理
SQL Server Analysis Services OLAP/データマイニング・エンジン
SQL Server Integration Services データ統合/データ変換ソリューション・エンジン
SQL Full-text Filter Daemon Launcher 全文検索エンジン起動用サービス
SQL Serverの主なサービス

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