Microsoftアカウントを使うと、複数のPC間でユーザー・プロファイルを同期させることができるが、どの項目を同期させるかは個別に設定できる。設定チャームからPC設定を開き、「PC設定の同期」を選択すると、何を同期させるかを確認/変更できる。デフォルトではすべての項目が同期対象となっている。
Microsoftアカウントではなく、ローカル・アカウントの場合は次の画面のようになり、PC設定の同期は行えない。
「PC設定」にある「ユーザー」ツールでは、ユーザー・アカウントの作成はできるが、「管理者」アカウントではなく、一般のユーザー権限しか持たない「標準」アカウントになる。Windows OSの内部的な呼び方でいえば、Administratorsグループではなく、Usersグループに属するアカウントが作成される。
これを変更して、管理者権限のあるアカウントに変更するには、従来のWindows OSの場合と同様に、[コントロール パネル]から[ユーザー アカウント]ツールを起動して行う。また、ユーザー・アカウントを削除したい場合もこのツールを利用する。もしくは、[コンピュータの管理]ツールにある[ローカル ユーザーとグループ]管理ツールを使っても同様のことが行える。
[ユーザー アカウント]ツールを起動するには、[Windows]+[X]キーで管理ツール・メニューを表示させ、[コントロール パネル]を起動する(エクスプローラのリボン・メニューからでも起動可能)。そして「ユーザー アカウントとファミリー セーフティ」の「ユーザー アカウント」を起動する。
管理者権限のあるアカウントにするには、[別のアカウントの管理]をクリックして権限を変更したいアカウントを選択し(次の画面)、[アカウントの種類の変更]をクリックして、「管理者」と「標準」を切り替える。またアカウントを削除したい場合は、アカウントを選択後、[アカウントの削除]をクリックする(現在サインイン中のアカウントは削除できないので、その場合は別のアカウントでサインインしてから削除する)。
以上の画面は、GUIのユーザー管理ツールの例であったが、従来のWindows OSのように、コマンド・プロンプト上のユーザー管理コマンド(net userコマンドなど)を使って管理することも可能である。
Microsoftアカウントをユーザーとして新規登録した場合、実際にはまずWindows OS上にローカルのアカウントが作成され、それに対してMicrosoftアカウントが関連付けられる。このときに作成されるユーザー・アカウント名は、例えば「user6_000」のように、元のアカウント名をベースにした別の名前が作成される。
これに対して、最初にローカル・アカウントで新規登録しておき、途中からMicrosoftアカウントへ切り替えた場合は、サインイン名は変わるが、もともと登録されているWindows OSのユーザー名は元のままである。例えば最初に「user02」というアカウントを作成して、これに「user68000@hotmail.co.jp」というMicrosoftアカウント名を関連付けた場合、内部的なユーザー名はずっと「user02」のままだ。
MicrosoftアカウントをWindows 8にユーザーとして追加した場合、そのMicrosoftアカウントに対して、アカウントを追加したコンピュータ(の名前)が「セキュリティ情報」として追加される。場合によっては、コンピュータ名の追加の確認(承認)を求めるメールが登録メール・アドレス(Microsoftアカウントを作成する場合に使用した、自分の連絡用メール・アドレスのこと)に送付されることがあるので、その場合はメール本文にあるリンクをクリックして、管理対象のコンピュータの追加を承認しておく。もし登録時のセキュリティ設定で携帯電話番号を使用した場合は、その番号に承認のための電話(自動応答)がかかってくることもある。
Microsoftアカウントに対して、どのコンピュータにユーザーとして登録されているかは、Microsoftアカウントの管理画面を起動し(hotmail.comやlive.co.jp、outlook.comサイトにサインインし、アカウント管理メニューにある「アカウント設定」を開く)、「アカウントの概要」画面を見ると確認できる。
Windows 8のProおよびEnterpriseエディションにはドメインへの参加機能があるが、ドメインに参加しているコンピュータのサインイン画面は少し異なる。どのアカウントが利用可能かは事前には分からないため、ユーザーはドメイン名やユーザー名をきちんと全部入力しなければならない。デフォルトは、最後にサインインした先(ドメインかローカル・コンピュータ)になっているので、必要ならドメイン名やコンピュータ名を先頭に付加してユーザー名を指定する。例えば「example\domuser01」のようにする。ローカル・コンピュータ・アカウントの場合は、TIPS「ようこそ画面でローカル・アカウントでログオンする」の方法2のように、「.\user01」と表記すると便利である。アカウント名の表記法についてはTIPS「Windowsネットワークにおけるユーザー名とドメイン名の指定方法」も参照していただきたい。
なお一度サインインしてしまえば次回からはキャッシュされるため、サインイン画面にアカウントの画像が表示されるようになるので、以後はその画像を選んでパスワードを入力すればよい。ただし表示される画像の数には限界があるため(画面サイズにもよるが、数個しか表示できないようである)、多数のアカウントを切り替えながら使っている場合は、いちいちユーザー名とパスワードを入力する必要がある。
ドメイン・アカウントでサインインした場合のPC設定画面は次のようになる。これを見ると分かるように、通常のローカル・アカウントの場合と比べると、ピクチャ・パスワードは利用できるが、PINパスワードは利用できないという違いがある。また「Microsoftアカウントへの関連付け」という機能も利用できる(次の画面の(2))。これは、ドメイン・アカウントを有効にしたまま、ユーザー・プロファイルなどをインターネット上に保存して共有するという機能である。ローカル・アカウントの場合は、この部分のメニュー名は「Microsoftアカウントへの切り替え」となっており、アカウントの種類を完全に切り替えてしまうようになっている。
この「Microsoftアカウントへの関連付け」機能を使って、ドメイン・アカウントに対してMicrosoftアカウントを関連付けると、ドメインにサインインしたまま、ユーザー設定をインターネット上に保存できるほか、Windowsストアからアプリを導入する場合などに要求されるMicrosoftアカウントが不要になり、すぐにアプリを導入できる。そうでない場合は、必要になるたびにMicrosoftアカウント情報を手動で入力することになる。
上の画面で[Microsoftアカウントの関連付け]というリンクをクリックすると、関連付けるMicrosoftアカウントの入力画面が表示される。最初にどの項目を同期させるかという設定画面が表示されるが(次の画面参照)、これはPC設定の「PC設定の同期」にある項目と同じだ。
Microsoftアカウントと関連付けた場合は、一番上にあるユーザー名の表記が次のように変わる。
今回はユーザー・アカウントの管理方法とパーソナル設定について解説した。次回はWindowsストア・アプリ(Metroアプリ)について説明する予定である。
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