知的財産権と有体物に対する権利は相互に関連していますが、独立した権利です。例えば、CDを買った人(所有権を得た人)が、そのCDを人に売ったり、譲ったり、捨てたりするのは自由です。しかし、CDを買ったからといって、そのCDを複製したCD-Rを売ったり、CDの内容をネットにアップすることは自由ではありません。CDに入っている音楽の著作権などの知的財産権は、CDの持ち主が持っているわけではないからです(通常は、JASRACそしてレコード会社等が権利者になります)。
知的財産権と所有権は、権利者に独占性を提供するという点で似ている部分もありますが、相違する部分も数多くあります。例えば、有体物の所有権は原則的に永遠に続きます(所有者が亡くなれば相続されます)が、多くの知的財産権には期限を設けた方が適切です。例えば、当たり前ですが、レオナルド・ダ・ビンチの子孫の人が「モナリザのパロディ作品を作るのならライセンス料を払え」といっても理不尽に思えるでしょう。
なお、かつては、知的財産権のことを「知的所有権」と呼んでいましたが、この名称はいまではあまり好ましくないとされています。所有権に似てはいるが、情報財ならではの独自の制度が必要という点を明確にするためです。
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