生誕20年となる節目を迎えて、プログラミング言語「Ruby」の最新版がリリースされた
Ruby開発チームは2013年2月24日、5年ぶりのメジャーバージョンアップとなる新バージョン「Ruby 2.0.0-p0」をリリースしたことを発表した(リリースノート、RubyコミュニティによるRuby2.0.0リリース特集)。また、Rubyは1993年の誕生から数えてちょうど20年目となり、Rubyコミュニティは前日にRuby20周年記念パーティーを開催した。
Ruby 2.0.0はRuby2.0系列の最初の安定版リリース。リリースノートによれば、言語コア機能、組み込みライブラリ、デバッグサポートなどに新機能を搭載し、性能改善も図られている。5年前の1.8系から1.9系へのアップデートでは互換性のために移行に若干の時間がかかったが、1.9系から2.0系への移行は「1.8から1.9の移行より苦労しない」(リリースノートより)という。すでに、人気の高いRuby on RailsやtDiaryなどのライブラリで動作が確認されている。間もなくリリースが予定されているRuby on Rails4では、Ruby処理系として1.9以上が必須、推奨環境は2.0となっている。
言語コア機能で目を引くのはキーワード引数と、クラス拡張の新しい方法である「Module#prepend」の2つ。キーワード引数は多くのオプションを指定してメソッドを呼ぶケースで端的に書く文法をサポートし、Module#prependは従来からRubyにあるミックスインに加え、クラスの振る舞いを柔軟に変更する機能となる。これらは「今後、ますます大規模化、複雑化が予想されるRubyプログラム開発へ備える意図」(Rubyの生みの親のまつもとゆきひろ氏)が含まれているという。
このほか、組み込みライブラリでは遅延ストリームのサポート、新しい正規表現エンジンの搭載、デバッグサポートとしてDTraceのサポート、トレースAPIの改善、ビットマップマーキングによるGC最適化、メソッドディスパッチなどのVM最適化などを実施。多くのユーザーを抱えるRuby on Railsで起動時間を大幅に短縮する最適化も含まれるなど、パフォーマンスも改善されているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.