Internet Explorer(IE) 6/7のころに制作されたWebページをIE9/IE10で開くと、表示が乱れることがよくある。しかしIE9/IE10に標準装備の「互換表示」という機能を活用すれば、古いIE向けのWebページでも正常に表示できる可能性がある。
対象ソフトウェア:Internet Explorer 9 / Internet Explorer 10
インターネットあるいはイントラネット上のWebページを閲覧して回っていると、表示の乱れるページに遭遇することがある。
正しく表示されない原因はたくさんあるが、特にInternet Explorer(IE) 6/7全盛のころに制作されたWebページは、その設計が古いせいで、IE9/IE10のような最近のWebブラウザだと正しく表示されないことがよくある。
そこで役立つのが「互換表示」と呼ばれる機能だ。これはIE8以降のバージョンのIEに標準装備されていて、古いIEと同等の表示結果が得られるように動作(表示方法)を切り替えることができる。IE9/IE10では、ワンタッチでIE7と互換性のある表示モードに切り替えられる。本稿ではWebページを正しく表示するために、この互換表示機能を適切に設定する方法を説明する。
互換表示機能を使ってWebページを正しく表示する場合、互換表示モードを切り替えるためのボタン(以下「互換表示ボタン」と略)がアドレス・バーに表示されるかどうかによって対処方法が異なる。
まずは対象のWebページを開いてから、アドレス・バーの右端に紙を破いたようなマークのボタンがないか確認してみよう。それが互換表示ボタンだ。灰色なら互換表示モードはオフ(つまりネイティブなモード)、青色ならオンである。ボタンをクリックするたびにオン/オフが切り替わるので、クリックしてみてWebページが正しく表示されるようになるかどうか確認しよう。
■互換表示ボタン(オフ)
■互換表示ボタン(オン)
いったん互換表示モードをオンにすると、以後、そのページを含むドメイン全体が互換表示モードで表示されるようになる。例えば、http://www.example.jp/sample.phpというページで互換表示モードをオンにした場合、次のようなURLのページも互換表示モードで表示される。
互換表示モードを切り替えようにも、ページによって互換表示ボタンがアドレス・バーに表示されないことがある。その原因は大別すると次の2つに分類される(どちらも互換表示ボタンでの設定より優先される):
1の場合、IE側で恒久的にオン/オフの設定を変えることはできない(一時的に変更する方法は後で説明する)。
2は、全サイトあるいはIEのゾーンといった、ドメインより広い範囲で互換表示モードを一律にオンにする機能である。IEの設定を変えることで無効化できるので、その上で互換表示ボタンを操作してモードを切り替えればよい。以下では、2に該当するかどうか確認し、設定を変更する手順を説明する。
まず[Alt]キーを押して、普段は隠れているメニュー・バーを表示させてから[ツール]−[互換表示機能]を実行する。
「互換表示設定」ダイアログが表示されるので、下の方にあるチェックボックスに注目する。特に[イントラネット サイトを互換表示で表示する]にチェックが入っている場合、IEの「ローカル・イントラネット・ゾーン」に分類されている全サイトで互換表示モードがオンになっているはずだ。その場合、もし対象のWebページがローカル・イントラネット・ゾーンに分類されているなら、それを別のゾーンに移動するか、[イントラネット サイトを互換表示で表示する]のチェックを外してオフにしてみよう。ただし後者の方法だと、ローカル・イントラネット・ゾーンに分類されているほかのサイトも互換表示モードがオフになるので、表示が乱れるようなら個別に互換表示ボタンをクリックしてオンに戻す必要がある。
現在表示されているWebページが、どのゾーンに分類されているか確認するには、IEのブラウザ・ペイン上で何も表示されていないところを右クリックしてプロパティを開き、[ゾーン]という項目を確認する(詳細はTIPS「IE9でゾーン情報を確認する」を参照)。またゾーンの移動についてはTIPS「アドレス表記を変更してIEのゾーンを切り替える」が参考になる。
なお、上記の(1)〜(2)の設定を変えたりゾーンを変更したりした場合は、IEを再起動してから[Ctrl]+[F5]を何回かクリックして対象のWebページを確実に再表示(再描画)させた方がよい。
また、ドメインに所属しているPCの場合、グループ・ポリシーで(1)〜(2)やゾーンが設定していて、IEのUIからは設定を変更できないことがある。その場合はグループ・ポリシーの管理者と相談していただきたい。
以上の方法で表示がまったく変わらない場合は、Webサイト側で互換表示モードのオン/オフが強制的に設定されていることが考えられる。その場合、一時的ではあるが、IE側で強制的に表示モードを変更して正常に表示できないか確認する方法がある。それにはIE9/IE10に標準装備されている「F12開発者ツール」を利用する(このツールの詳細はTIPS「Webページのトラブル原因究明にIE8の『開発者ツール』を活用する」が参考になる)。
まず対象のWebページを開いてから[F12]キーを押してF12開発者ツールを起動する。デフォルトではブラウザ・ペインの下側に現れるはずだ。
F12開発者ツールのメニュー・バーにある[ブラウザー モード][ドキュメント モード]の設定を変更しながら、正しく表示できないか確認していく。前者ではWebブラウザ全体の挙動を、後者はHTML/CSSの描画(レンダリング)の挙動をどのバージョンのIEに合わせるか設定できる。
■ブラウザ・モードの選択肢
■ドキュメント・モードの選択肢
互換表示ボタンが表示されず、前述の互換表示設定ダイアログで設定を変えても表示が変わらない場合は、まずドキュメント・モードの選択を変えてみよう。メニューの中で「(ページの既定)」が付いているのがデフォルトのモード(IEのバージョン)なので、それと大きく異なるモードを選んでみる。例えばデフォルトが「Internet Explorer 7 標準」だったら、「標準」(つまりネイティブ表示)か「Internet Explorer 9 標準」を選んでみる。
前述のようにF12開発者ツールでのモード変更は保存されず、IEを再起動すると元に戻ってしまう。正しく表示されるモードが確認できたら、対象のWebページの管理者あるいは制作者に改善を要望してみるとよいだろう。
■この記事と関連性の高い別の記事
Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.