筆者の考えを改めさせた「Material Honesty(マテリアルオネスティ)」とは、工業製品は素材に忠実であるべきだという考え方であり、多くの工業デザイナーに影響を与えている。マテリアルオネスティの概念に基づいて作られた製品は、長きにわたって愛用され、高い価値を保持することができるという。
先述の記事では、イームズチェアを例として挙げている。この椅子は80年以上にわたって世界中で生産が続けられている。素材には成型合板が使われ、その外観から素材や製造工程が分かる。このようなものがマテリアルオネスティの考えに基づいた製品であると考えられている。
マテリアルオネスティのもう1つの特徴として「高い価値の保持」がある。記事では、ステンレス製の電子レンジが例として挙げられている。ステンレスむき出しの外観から素材がはっきりと分かり、非常にシンプルで洗練された印象を作り出している。ドイツのMieleという会社がそういった製品を出しているが、高級キッチン家電として認識されている。
記事では言及されていなかったが、アップルのiMacやMacBookといったアルミ削り出しの筺体は、非常に美しく高い価値を保持している。
ここまで、マテリアルオネスティのデザイン思想が、製品への愛着や高い価値を生むことを紹介してきた。
私たちも日常生活の中で、単なる流行と長い間好まれるデザインを目にしていると思う。その考えの1つとして、マテリアルオネスティがあり、これをWebに取り入れることで、長い間愛されるデザインになると考えられている。これがフラットデザインの根本だ。
以下の画像は、Webには当てはまらない点が1点ある。
それは光源だ。Webには画面を表示させるための光はあるが、そのデザインの中には光源がない。つまり、そこに光があるかのように、光源をデザインで疑似的に作り出しているのだ。
すなわち、今までよく使われていた、本物のボタンのようなデザインは疑似的な光源によるものであり、Web本来のデザインではない。これがフラットデザインの考え方だ。
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